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ピピロッテと冬の宝探し

雪の降る国、オルサポルタの港は、ノバアルビオンの他の地域に比べて冬でも比較的暖かい海水温と、港の構造のおかげで、完全には凍らない。


年中船が港に停泊し、北風が港に吹きつけ、波しぶきが雪と混じり合い、かすかに虹色の光を放っていた。

空は厚い雲に覆われ、港街の灯りが雪に反射して、ぼんやりと光る。


そんな冬の日に青空が顔出したある日、ピピロッテの住む城塞の内側、お城のお庭にて皆が楽しみにしているイベントがある。


それは、冬の宝探し。



今日も赤毛がピーンと伸びてとっても可愛いピピロッテ。


ビリジアン色の毛糸の帽子に合わせたビリジアンのコーデュロイのワンピースにいつものエプロンドレス。分厚いグレーのタイツと雪にも負けないふわふわブーツ。


グレーがかった雪ウサギの耳当てと襟巻きを付けミトンもしっかり装着して準備万端で窓から外を今か今かと眺めている。


窓ガラスには、ピピロッテの息が白く曇る。何度も何度も息を吹きかけ、窓ガラスに星を描いたり、文字を書いたりして楽しんでいた。


ピピロッテはソワソワしながら、何度も時計を見る。待ちきれなくてソファーに飛び乗って、両手で顔を覆い、今日の冬の宝探しへの期待感を募らせていた。



こんなに、ピピロッテがワクワクと待ちきれないのは、城内に勤める大人とその家族や子供に領主様からプレゼントが振る舞われるのだ。

めったに家にいないお兄様もこの日は必ず帰ってくる。



赤、青、緑、紫、ピンクなど目立つ色に塗ってある六角形の片手で収まる大きさの木箱が雪の中に埋まっている。


大人と子供で探す場所も区切られており、大人は一つ、子供は二つまで選ぶことが許されている。



その箱を宝探しの管理人に開けてもらい、出てきた中の物を貰えるのだ。

大人は最低でも銀貨1枚、その他のには金貨やネクタイピン、指輪、ネックレス、ブローチ、髪飾り、チャーム、護り石、宝石、真珠、有名店のお菓子の引換券、歌劇場券など様々である。


子供にも、護り石、リボン、レース、コマ、知恵の輪、木の玩具、ガラスの小瓶、カラフルな木のビーズ、方位磁石、ふわふわ毛玉、食堂お菓子引換券、キラキラ光る石、真珠、銅貨、銀貨などがある。


大人も子供も運試し。皆実は雪の中から堀当てるのを楽しみにしているのだ。



やっと、ピピロッテ達家族の順番がまわってきたのでピピロッテは外へと飛び出した。

雪の上を足跡をつけながら、城の庭を駆け回る。ピョンピョン飛んで大興奮。


雪をかき分けピンクの箱と青い箱を堀当てる。

中身はふわふわ毛玉と銀貨!!

大当たりー!とピピロッテは大満足。

だいたい何が当たってもピピロッテには大当たりー!の大満足!と言うのでお母様はフフっと笑顔で見守っている。




「お母様!ふわふわの毛玉は可愛いけど何に使いますの?」


「そうね、リボンを付けて鞄につけるのはどうかしら?」


「とっても可愛いに違いないです!」



銀貨はピピロッテの年では大金持ちなんですって!お菓子が山ほど買えるんですってよ!!何に使うかゆっくり考えましょう!



お父様もお母様もお兄様もお姉様も各々素敵な物を手に入れてニコニコ。

今日は久しぶりに皆で揃って夕食です。

大好きなミルクとチーズのスープに嬉しくてお尻が弾んでしまうピピロッテ。

外は雪が降り、とっても寒いけど、心も体もポカポカ笑顔が絶えない楽しい夕食。



また、来年の宝探しを楽しみにピピロッテの楽しい毎日が続きます。




幼いピピロッテのお話はここまで。

また、どこかで成長したピピロッテと出会える日までさよなら。







最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。


どこかで誰かの楽しい時間になっていれば嬉しいです。

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