第3話 憑代
意識を無くしたまま、目を開けるとそこはいつもの通学路が広がっていた。
レイカ「夢…?」
そんな疑問を否定するように地面が赤い、きっとこれは私の血だ。
不思議と痛みがなく、本当に刺されたのが疑うくらいに体が元気だ。
レイカ「さっき何かあったような…」
思い出せない記憶に悩みつつ
私は自分の家へ向かった。
私は玄関を開け親に帰ったことを伝える
レイカ「ただいまー!」
そこに私の両親が猛ダッシュで駆け寄り私を抱きしめ話始めた。
お母さん 「レイカどこに行ってたの!今いろんな所でよくわかんないことになってるし、私達はあなたが居なくなったら本当にどうしようかって、本気で心配したのよ!?」
そう話すお母さんは目に涙を浮かべていた。
その瞬間、お母さんは顔色を変えて話してきた。
お母さん「レイカ…?あなた、レイカよね?」
レイカ「え?お母さん、どうしたの…?」
お母さん「その背中の…何なの?」
私は後ろを見た、そこには、背中にあるはずのない真っ黒な翼があった
レイカ「は え、なんで 嘘」
私は目の前の状況を理解できなかった、私は人間なのか、自分が何者なのか理解できなくなった。
レイカ「嫌…これなんなの…」
私が少し涙を浮かべると、お母さんが抱きついてきた。
お母さん「大丈夫、レイカはレイカだよ。どんな姿になっても私たちの娘なんだから。ほら、泣かないでお母さんに笑顔を見せてよ。」
レイカ「うん…!」
お母さんの優しくてあったかい言葉に励まされながら今の状況を少しずつ受け入れる。
だけど、これから一体どうなるのだろうか、私自身だけじゃない、この世界がどこに進んで行くのか私には数え切れない不安があった。
その瞬間——
???「居たぞ」
その言葉で後ろに振り返る。
そこには例の天使の姿があった。
レイカ「……!!!」
言葉にならない恐怖が押し寄せる。このままだと私だけじゃなくて、お母さんまで殺されてしまうかもしれない。最悪の事態を考えていると天使が口を開く。
天使「そう構えないで下さい。また刺したりしませんよ。レイカさん、お迎えにあがりました。」
今までとは想像のつかない優しい口調に驚いてしまう。それより、一番気になることは…
レイカ「迎えに来たってどういうこと?」
天使「勝手ながら、貴方を我々の憑代とさせて頂きました。」
その言葉を聞いて先程の出来事を思い出す。刺したのはその為なのか
天使「急ですが、ご同行をお願いします。」
その言葉は”お願い”ではなく”命令”に近いものだった。
レイカ「わかりました。」
私の同意に天使は笑顔で返事をする。
天使「それでは案内します。私の近くにお願いします。」
お母さん「待って!」
お母さんの言葉に私は足を止める。
お母さん「お母さん、いつでも待ってるよ。いってらっしゃい。」
レイカ「うん…!行ってきます。」
私はお母さんの言葉を胸にしまいながら、天使のもとへ歩き出した。