第1話 降臨
人にはいつもの日常というものが必ずある。
通勤路や通学路、いつも話す人や楽しく笑う友人
家族や流れる音楽、映像。
日常はつまらないが同時に素晴らしいことでもある
だけど…私は心からそう思うことができない。
何不自由ない生活、多くの友達や仲睦まじい家族
だけど…何かが足りない、でも分からない。
そんな風に毎日をなんとも言えない物足りなさで過ごしている。
私は今日もそんな事を考えながら自分の教室へと入る。
おかしい、今日はいつもの雰囲気ではない
何か起きたのだろうか、疑問に感じ私は友達に話しかける。
私は「何かあったの?」と問いかけると
友達はスマホのネットニュースを向けてきた。
友達「これだよ!これ!天使が舞い降りたんだって!」
私はあまりにも現実離れした事に一瞬思考を止める
だけどそんな事はありえない。
私は友達に笑いとばした。
レイカ「そんなベタな嘘分かるって笑」
それでも友達は少し興奮と不安の混じったような表情を変えることなく、映像を見せてきた。
確かに天使だ、しかし見た目は絵画のような天使ではなかった。
鎧を着ているのだろうか、少し機械的でそれでも人間のような姿に翼が生えている姿はそれを天使と認めるのに十分だ。
映像を見せつけながら友達が立て続けに話す
友達「この事で政府が会見するんだって!」
それを聞き私はこれが本物の映像なのだろうと思った、だけど…仮にこれが本物だとして、今まで何故天使は来なかったのか、どういう要件で地上に舞い降りたのか、色々疑問は残る。
だけどそれ以上に今はとてもワクワクしている自分がいる。
今まで足りなかった物が見つかったような、これまでにない期待と不安が混ざるこの気持ちをとても楽しんでしまう。
ふと気がつくと教室に先生が入ってきて口を開き始めた
先生「お前ら今日は休校だ、家にすぐ帰れ」
先生の表情は険しく、休校の喜びよりも不安が強く教室に沈黙が包み込む。
全員が不安になる中、静かに帰宅していった
私も帰ろうといつもの道を歩いていくと……
居た
とてもあっさり見つかった。
まさかこんな早く目の前で見ると思わなかった
天使だ。天使がいる。
映像の天使と似ているが少し違う見た目をしている
でもその姿にはとても味方と思えるような事ができない。明らかに赤い液体が付着している
血だ、間違いない。
レイカ「これ…ヤバいっ!!」
天使と目が合う瞬間、私は一目散に逃げた。
殺される、絶対死ぬ
このままではマズイ、何か対策を考えようと
後ろを見た瞬間に私は腹を刺されていた。
ズシャァ!!
私の腹部を貫通した剣は見た事ないくらいの鮮血で染まっていた。
あ…死んだ。
痛みはなく、ただ意識が朦朧としていく。
何も考えられない、もう立つこともできない。
剣を抜かれて私は倒れ込み意識を無くす中微かに天使が喋る
天使「この人間であれば………に適応できるであろう」
そこで意識は完全に途切れた。