第4話 牧師さん、あざとすぎますよ
ライルがベリスと雑談している時。
遠くに美しい双眸が彼らをじっと見つめている。
牧師のエミリアはライルとベリスが笑い合っているの終始見つめている。
今日の夕食は誰も作らなかったので、ライルによって口が肥えるエミリアは仕方なく食べ物を探しに出かけた。
食べてみても何の味も感じない。
ライルは必ずしも優れた学者ではないが、料理人としての腕前は確かだ。
エミリアの心は少しイライラしていたが、その瞬間、彼女は水晶の涙の団長がライルを招きしているのを見た。
ライルは断ったをの見て、彼女は内心で笑んだ。
しかし、この卑劣な女と笑い合うのはだめでしょう?
チッ、気持ち悪い。
私のスカートの裾を捲るために私の機嫌を取りに来なくて、逆にこのあざとい女の側にいるつもりなの?
彼女の懐で寝転びたいつもり?
でも、あんたはいつも私の服の中に手を入れようとしているじゃないの?
エミリアはあの女にビンタを張りたくなった。
しかし、ライルは優しいから。
「ライル......」
ライルは顔を上げると、エミリアの疲れた表情と涙で赤く腫れた目が見えた。
「エミリア?」
ライルはぼんやりと言った。
「君はどうしてここにいるんだ?」
彼は心の中で少しほっとした。
エミリアなら大丈夫だ。
もしシアなら、自分が裏切り者だと指差されるだろう。
これを考えると、ライルは息苦しさを感じた。
「シアが怒ったよ。夕食も食べていなくて、私がちょっと心配で出かけたの」
ああ...実際は自分のために買うつもりだが。
エミリアは慎重にライルの隣に座り、身を乗り出し、話しかけた。
彼女の司祭のローブの襟元はきちんとしているが、そのぽっちりとした胸は、まるで赤ワインのグラスのように揺れ動いている。手や足の仕草が含蓄に溢れた誘惑を演出している。
ただし、エミリアの長いまつげには既に涙がついる。
「ライル、私は本当にシアがあなたにそんなことを言うとは思わなかった……あの時私がいれば……」
そっと一言、エミリアは自分をライルの陣営に取り込んだ。
彼女はわざっと脚を閉じ、手で長いスカートの裾を押さえた。
丸くて豊かな脚のラインは、彼女の純真で可哀想な表情と相まって、男性の血を躍らせる魅力を持っている。
今日はストッキングを履かなかったのは残念だ。
司祭の熱い身体が彼に飛び込もうとするが、ライルは彼女の肩を手で支えるしかなかい。
彼にとって、月下満開の中でも特に仲の良いのはこの司祭だ。
優しい人で、いつも彼に良い顔を向けている。
彼女は聖光を信じる人で、知的で優しい。
ライルは少し罪悪感を感じた。
「私は君たちとここまでしか付き合えない。エミリア、ごめんなさい」
それでも駄目か……エミリアの心のイライラとするようになった。
彼女はシアよりもずっと賢い。
彼女たちの無理矢理に付き合える人は、おそらくライルだけだろう。
彼が去るなんて思ってもみなかった。
彼がいなくなったら、こんなに幸せな日々はどう過ごせるだろうか?
エミリアは涙をぬぐいながら悲しげに言った。
「昔のあの小さなレストランに行ってみましょう。覚えてる?最初のころ、ダンジョンに入った時、毎日の収益はほんの少しだけでも、あなたはいつも肉をわたしたちに取ってくれた」
「みんなで水で乾杯し、満面の笑みを浮かべてイオフで最も伝説的な冒険団になろうと約束した」
「外が寒くても、月下満開は必ず良くなると、君は言った」
「きっと良くなるよ」
「あの苦しい日々、夜に私達は空腹で、おやつ買うお金がなくて、困っていた時、あなたが酒場で働いてお金を稼いでくれた」
「あんな苦しい日々もあなたはいつも一緒に過ごしてくれたんのに、うぅぅ......」
「その時私たちは本当お金がなくて。あなたが説得してくれなかったら、私は自分の手にある杖まで売ってしまっただろう」
「もしも、もしも家事や朝食の準備が大変だと思うなら、私もやれるのよ......ただ、ちょっと下手なので、嫌われるのが怖いの......」
ライルも彼女につられて、その苦しいけれども温かい日々を思い出した。
そう話しながら、目が赤くなり、エミリアは自分の唇をかんだ。
「どうか戻ってきてくれないの?……私はとてもあなたが必要なの......」
まずは可哀想な様子を演じる。
自分を除いて、過失をシアにぶつける。
そして、その素敵な思い出を語り、共感を引き起こす。
最後に、あなたには何か不満があるのと聞く。そして自分が愚かだと言う。
司祭さんのあざとさも最高中の最高だ。
ベリスもそれらの話を聞いて驚いた。
ライルはまさに最高の仲間なのでは?
家に連れて帰って夫にするのも悪くないね!
エミリアの目は少し戸惑いと渇望を宿いている。のどの奥から猫のような軽い鳴き声が出てくる。
彼女はまだ泣いている!
ベリスは尋ねる。
「それほど話したけど、結局あんたたちは実は何もしなかったよね?」
エミリアの表情が固まった。
ライルは彼女の涙まみれの頬を拭き、ゆっくりと断固として首を横に振った。
「早く帰ってね。これは私がしっかり考えこんだ上で決めたことだ。エミリア、あなたたちはもっと素晴らしい学者にふさわしいのです」
「ライル、あんた......」
ライルの背中を見ながら、エミリアは自分の指を噛み締めた。
彼は以前シアに辛い思いをさせられたとき、しばしば私に相談しに来ていた。
それから彼は何でもすぐにやってくれた。ただ甘えて可愛いふりするだけで、なんでもしてくれたのではないか?
でも今、私の前で逃げようとしているの?
ライルを奪おうとしているの人がいる……。
ベリス、このビッチ。
そして、あの馬鹿女、シア!
......
星空の下。
ベリスは横にいるライルを見て、少し迷いを顔に浮かべた。
「大丈夫?あなたの仲間が誤解させてしまうよね?」
しかし、女性の直感が彼女に伝える。
あの司祭……おそらくいい人ではなさそうだ。
ライルは首を振った。
「大丈夫です。むしろ私こそお礼を言わないといけません、本当だ」
ベリスは嬉しそうに笑い、口角を上げて小さな妖精のようになった。
「それなら私たちの水晶の涙に参加しましょうよ!」
重要視され、高く評価されるという感覚……それもなかなかいいものだね。
自分が特別扱いされたいわけではないが、少なくとも自分の能力と努力が人に見てもらえるとは嬉しい。
心の中も楽しい気分になる。
実は、学歴のない学者として、彼女たち三人と一緒に月下満開を始めて今日までやってこられたことは、誰でもちょっと驚くことだろう?
でもなぜシアはいつも、当然のように私を叱るのだろう?
本当に私のおせっかいが過ぎたのだろうか?
ライルは最終的にもう一度首を振った。「いいえ、ありがとう」
ベリスは手を広げてあきらめた。
ライルは本当に懲り懲りだ。
最初、夢のために集まった皆は、時間の経過で変わっていく。人の心は確かに究明に耐えられないものだ。
「水晶の涙が悪いと思っているわけではない。ただ……私はもうダンジョンに入ることはないと思います」
ベリスも何かを理解したようで、微かに沈黙した。
「考えすぎないでください」
ベリスは微笑みをした。
「もしダンジョンに入る気がないのなら、イオフで十分に遊んでくださいね。イオフでは美しいところがありますから」
「ありがとう」