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『異世界綺譚』 林檎が嫌いだったら魔法はなかった   作者: 竜彦
1 異世界転生と結婚
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神は言われた、光あれと

僕は見知らぬ部屋に一人、椅子に座っている自分を認めた。目の前には鏡台があった。目をやると、そこには見知らぬ若い美青年が写っていた。髪は金髪で、瞳は青。鼻も高くて顔がよく整っていた。


「ひょっとしてこれって…」


鏡台の横に扉があるのに気がついた。


こういうのはアンティーク調っていうんだっけか


さらに部屋をよく見渡すと壁が煉瓦でできていて、ベットが置いてあった。


「やっぱしこれって…そういうことだよな」


というわけで来てしまいました、異世界。


だけどここで気がかりがあった。


「僕が異世界に転生してきたということだよな。だけど僕はなんで死んだんだ?」


……駄目だ


どれだけ考えても思い出せない。


それだけじゃない


僕が前世でどんな名前で、どこにいて何をしていたとかが全く頭から消えている


いやでも自分が日本という国にいたこととか、一般的な概念だったりは分かる


僕は現に日本語で思考している


けども氏名とか誕生日とか家族構成とか住んでいた市町村とかが思い出せない。


異世界転生なのだから前より顔がよくなっているのは…まあ確かだろう


だがこれでは比較しようがない。


でも…


鏡に近づき自分の顔を観察してみる。


笑顔を作ったり変顔をしたり口角を上げて歯を見る


この顔なら女子にモテまくり、それどころか異世界の色んな種族を集めてハーレムを作りあげることだって夢じゃない!


僕は頭の中で自分の帝国の妄想をしながら鏡の顔を眺めているときに不意にある言葉が口から漏れた


「ジュリアーノ…ソレル…」


それは人の名前だ。ソレルが性でジュリアーノが名。


それが誰かといえば今目の前にいる青年のことだ。


唐突にこの名前を思い出した……いや思い出したという表現は正しいのか?


僕は以前から、というのは自分の名前がジュリアーノであると認識してからこれまでずっとこの名前を使ってきたような気がする


なら今日から僕は


いや以前変わりなくッ!


ジュリアーノ・ソレルであるということだ。


きっとこの身体はジュリアーノ・ソレルという設定でこれまで育ってきたものなんだろう


それで神様か天使様かがこの身体で第二の人生を謳歌してくれとお恵みくださったのだろう


いやはや、一体僕は前世で死ぬ前にどんな善行をしたんだ


トラックに轢かれそうになっている猫を身を呈してかばったとか


弟とその恋人を死の灰から己を犠牲にしてまで守ってやったとか

(あれは死んではないけど)


きっと異世界転生に値するようなことをしたに違いない


だとすれば僕がこれからやらなければならないことはまず一つ


この異世界で名乗りをあげること


そして自分のたくましいさというものを世の女の子たちに知ってもらう必要がある


異世界ということは魔法だってあるはずだ


まだ自分の魔法の実力がどれくらいなのかとか

そもそもここの世界の魔法がどういうシステムで成り立っているのかとかさえぶっちゃけ知らないけど


さっきみたいに自分の記憶のようにどこかで思い出すだろうと考えているときに突然隣のアンティーク調の扉の奥から


「コン、コン、コン」


とノックの音が三回聞こえた


そのとき僕の内側に電流が走るような感覚が起きた


妄想をしている最中にいきなり我に返させられて驚嘆したためではない


僕はこのとき重大なことを思い出した


それは自分のハーレムの夢が崩れ去ってしまうようなことだった

しばらくは異世界転生系の物語のテンプレのような話が続きます。ある一つの出来事を終えてから聖書にも触れていきます。

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