成長
毎日のように学校が終わった後、桃葉の家で受けている彼女の授業。
「……こうかな?」
それのおかげで僕は段々と授業がわかるようになっていた。
入学当初はてんでわからなかった数学の授業もすっかりお手の物。
僕はサクサクと問題を解くことができた……いや、これはちょっと盛ったな。そんなにサクサクと言っているわけではない。
でも、成長しているにはしている、はずである。
「んんっ」
そんなことを考えながらも集中して授業を受けていた僕が体感する時間の流れというのは早いもので。
すぐに授業の時間は終わった。
「ふぅー」
無事に授業を受けることができた僕は深々と息を吐きながら背筋を思う存分伸ばした後、体から力を抜く。
「ちょっといいか?」
そんな僕の元に一人の男子生徒、クラスメートの方が近寄ってくる。
「んなっ!?な、な、何かなっ!?うなぁっ!?」
「……あー、えっと。三日目の授業で宿題出されたこと覚えている?」
「はへっ!?」
「その提出が今日で。今、あの先生にうちのクラス分の宿題を提出していたんだよね。ちょっと今出せるか?宿題」
宿題……宿題。
あぁっ!そういれば出ていてね。
桃葉としっかりやったよ、うん。
「あっ、はい」
僕は自分のクラスメートの言葉に頷くと共に、カバンから自分のノートを出してそのまま差し出す。
「ど、どうぞ」
「おおぅ。ありがとう。今度は遅れないように頼むぜ」
僕が差し出したノートをクラスメートはしっかりと受け取ってくれる。
え、えっとぉ……忘れて、いたのだから謝らなきゃだよね。
「……っ!!!」
「……?」
「……すぅ」
「……?」
よ、よし……よし、よし。
声が、出そう。
「すぅ……はぁー」
深呼吸をして、一息に!
「えっ、あっ、うん……こ、今回はぁ、ごめんね?」
「おう、次は気を付けてくれ」
「う、うん!」
言えた……言えたよね!?僕は今、しっかりと謝罪の言葉をっ!
ふぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!
しかも、しかも、しかも!その前のところでもしっかりと会話をすることができた!できてしまったのですっ!
もう、これは、これは、これはこれはっ!
「ふ、ふへへへ」
……せ、成長しているぅぅぅぅぅ!!!
コミュ障!陰キャっ!脱却も間近かっ!?
僕はしっかりとコミュニケーションを取れたことに歓喜の声を上げながら心の中で大きくガッツポーズをとるのだった。
「……へぇ」
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