転入
九十九大学付属高校。
百年を超える長い歴史と多くの生徒を抱えるマンモス校であり、有名一流大学の付属高校であるために当然のように偏差値も高く、学業優秀な人間が集まっている。
ただ、それだけというわけではなく、部活動も非常に活発的であり、多くの種目において圧倒的な成績を残している。
非常に総合力の高い名門高校と言えるだろう。
「それでは皆さんの新しい仲間となる転入生を紹介したいと思います」
そんな高校において、たった一人の転入生がやってきていた。
「皆さんももう一度は見たことがあるかな?うちのクラスメート桃葉ちゃんであると一緒に動画の方に出てきていたナナシちゃんこと」
その人物とは誰か?
そう、それはもちろん桃葉によって半ば一方的かつ強制的に高校のほうへと通うことが決まってしまった僕である。
中学校に行っておらず、辛うじて四則の計算ができる程度の僕が通うレベルの高校ではないところに自分は迷い込んできてしまっていた。
「有馬咲良さんです。自己紹介の方をお願いできるかしら?」
教卓の前に立って転校生を紹介する言葉を並べているこのクラスの担任である女教師、京野美鈴先生はその隣にいる僕へと自己紹介をするように促してくる。
「あっ、はい。え、えっと……有馬、咲良です。あっ……趣味はダンジョン探索。と、特技も、ダンジョン探索です。よ、よろしくお願いします」
自分の前にいる多くの生徒たちの視線を受けて今すぐにでも倒れそうな気分になりながらも僕は自己紹介を言いきって深々と頭を下げる。
そんな中で。
「それじゃあ、新しいクラスメートになった有馬咲良さんとも仲良くしてあげてね。本人からの許可ももらっているからいうけど、家庭的に多くの不満を抱えているために出来ないことが多く、本当にダンジョン探索の実力だけがトップクラスのような現状らしいから、みんなで勉強などは手伝ってあげてね!」
どうして、どうして、どうして。
どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああっ!!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああっ!!!
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああっ!!!
人が、人がいるぅぅぅぅうぅぅぅぅうううううううううううううううううっ!!!
おぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええっ!!!
「……」
僕は頭を中々上げることはせず、内心で絶叫をし続けるのだった。
もう、ただただ陰キャの僕にはこうすることしかできなかったのである。
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