ホラースポット、即帰り
彼女とホラースポットである、廃ホテルに行った。
まだ付き合い始めで、怖くて抱き付いてくるのが目的だ。そしたら二人は帰りに宿泊施設でムフフ。
いざ廃ホテルについてみれば、真っ暗なところに俺たちの照らす灯りが白い壁に光ってゾッとする。
二人で入り口まで行ったが、山鳥の声に驚いて車まで逃げ帰った。
「あー、怖かったな」
「ふふ、本当ね」
暫く走ると、コードレスイヤホンに着信だ。俺は車を走らせながらボタンを押して電話に出た。
「もしもし。誰?」
「しくしくしくしく──」
女の泣き声にゾッとする。今はホラースポットの帰りだ。良からぬものが、電話を掛けてきたのか?
俺は声を震わせながらもう一度聞く。
「もしもし……。誰……?」
すると電話の向こうの者が答えた。
「私よ! どうして一人で帰っちゃうの? 私、こんなところに置いていかれてどうすればいいのよ!」
明らかに彼女の声──。
じゃあ隣りに居るのは……?
俺が助手席のほうを見ると、青白い顔の知らない女がニタリと笑った。