侯爵家の今
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アーリフレイト・サートレイは手にした書類に目を再び通した。
「何度見てもそうですわ。もう一度調べてもらいましょうか?」
その書類にはアーリフレイト・レオニードをサートレイ侯爵家の養女とする。と書かれていた。
その書類が破棄されれば、いや、破棄されなくても、アーリフレイトはレオニード公爵のもとへ戻ることになるだろう。アーリフレイトが自分の父よりレオニード公爵を信用している理由がそれである。実際の父だから。ついでにサートレイ侯爵は狸である。
「お嬢様」
レオネアが心配したように声をかける。
「いいえ。私は、今は昔とは違う。ですが、至らないところもあるでしょう。その時は貴方の父を頼ります」
大概、公爵のもとへ向かう際、困り事がある時である。
「もう一度、調査させましょうか?」
「いいえ、何度調査しても結果は同じです。遺伝子レベルで貴方と同じ家系なのです、あきらめましょう」
昔、レオネアと出会ってから疑問に思ったのである。
何故こんなにも似ているのかと。
侍女に頼んで調査した結果、アーリフレイトはこの家の養子であることがわかった。
出会った時に調査して、何回も調べて。
でも、なにも変わらなかった。
養子縁組を組んだ時の契約書を見て、アーリフレイトは決心した。
どうせ社交界デビューするまでなんだから、領地をそれまでに繁栄させよう。と。
今私は16歳。もう社交界デビューしてもおかしくない年齢だから、もうここでの仕事はない。
無理やり働かされることもない。
「レオネア、昔の今のような雪の景色。覚えていらっしゃる?」
「勿論でございます、お嬢様」
アーリフレイトは、昔から自分の立ち位置が分からなかった。
今でも、分からなくなる時がある。
そんな時は、侍女という名の諜報員のみんなに肯定してもらって、私は私なんだと。
それでも駄目な時は、必死に考えて。
それでやっと、私は私と思えるようになった。
今の肩書は、レオニード公爵の実子、サートレイ侯爵の養子。それだけ。
レオネアと見た雪は、人生で初めて、サートレイ侯爵の仕事を押し付けられた時、8歳の女の子ができる量ではなく、書類の中身は全て領地の事だった。
私がこの仕事をしている時、侯爵は、他の女のところへ遊びに行く。
「あの雪は、とても美しゅうございました」
レオネアがボソッと言った。
人間の心を否定するような真っ白な雪。
確かに、とても綺麗だった。
初めて渡された時、私は絶望して部屋から飛び出した。
「一目見て、あの仕事は1日では終わらない。そう思ったのでしたわ」
その後で、私はここの実子ではないことが本当に判明した。だから働かされる。
もううんざりだ。
社交界ではアーリフレイトをこの侯爵家の実子と言っているみたいだし。
でも、
「もう終わりよ」
「そうですね。あとは、レオニード公爵家に帰るだけですから」
「そうよ。この問題を解決は、出来ないでしょう。気候のことなんて、どうにもならないのだから」
数日後。
「行く準備をしてちょうだい」
返事が帰ってきた。いつでも良いというものだった。
「ベッキー、お茶を」
「畏まりました。ハーブティーに致しますか?」
「そうしてくれると助かるわ」
「了解致しました」
ベッキーは、私と同い年の女の子。
ただ、少し。というか昔、殺し屋業をやっていたようで、腕は立つし、重宝できる存在で。
今は、昔のことを忘れて、アーリフレイトの侍女として働いている。
今は、沢山の侍女たちがたくさんのところにいる。そんな状況で、アーリフレイトは暮らしている。
アーリフレイトは、レオニード公爵家へ向かう準備を整え、向かったのだった。
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