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ぼっちが学年二代美少女に憧れた結果  作者: 豚太郎
後編 俺と面倒臭い彼女と必然の決別
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第47話 ばっしゃ〜ん!

 



 俺達は砂浜へ上がった。


「くっそ、こんな筈じゃ……」


「ヌフフ…………思ったよりハイレベルでビビったでござる」


「ったく、俺がビリかよ。橘の野郎に一泡吹かせたかったんだが」


「はは、後でもう一回やるかい?」


 順位は小田、橘、俺、柊の順。

 泳ぎには割と自信があったのだが、まさか三位とは。

 僅差だっただけに悔しい。


 女子達と合流することになっている海の家まで歩く。


「流石に腹減ったでござるな~」


「焼きそば食いてぇ」


「俺はかき氷かな……あれ、なんだろう?」


 海の家の前まで来た俺達は、そこにあるビーチバレーのコートの周りに人だかりを見つけた。

 何かイベントでもやっているのだろうか。

 少し様子を見ようと俺達が近づくと、集まっている人の声が聞こえた。


「あの子達可愛いね」


「パパ―、あれアイドル?」


「見たことないが……これからデビューとかかな?」


 俺達は顔を見合わせた。






「へーい!」


 一人目は無邪気な笑顔でレシーブをしている女の子。

 カラフルな花柄にフリルのついたデザインの水着に、彼女の小柄だが抜群のスタイルも合わさって、芸能人じみた華がある。

 彼女はぽーんと跳ね返したボールの軌道を見守ることもなく、ネット際に向かって走り出す。


「よろしく!」


 その期待を受けたのは黒のビキニによって一層大人っぽさを増した少女。


「合わせるこっちの身にも、なって欲しいのだけれど……!」


 言葉とは裏腹に平然とボールに追いついた彼女は、完璧なトスを上げた。

 そして放たれるアタック。


「うわ~、これ無理っぽい~」


 のんびりとした声でそう言った少女だが、きゅっとレシーブの姿勢を取った。


「……任せてください、この古賀静香、必ず止めて見せましょう!」


 一方その相方の少女は眠そうな目をくわっと見開いた。

 水色のワンピースっぽい水着を着た彼女は普段よりも幼く見え、その口調とのギャップも相まって大層可愛らしい。






「……」


 試合をしているのが美少女四人であるのが一番だろうが、その内容もそれなりにレベルが高く、注目を集めているようだ。


 ……まぁつまり、待ち合わせをしていた彼女達なのだが。


 飛鳥や未来はもちろん、古賀と姫野も美少女なのは間違いないわけで。

 周りの注目を集めるのも無理はないだろう。


 この後特に予定があるわけでもなし、楽しそうにバレーをしている彼女達を少し待つことにした。









 試合が終わり、人が散っていく。

 さて声を掛けようかと俺達が腰を上げた時、


「へーい、そこの可愛い子ちゃん達?」


 金髪に真っ黒に焼いた肌、サングラスまでかけたいかにも、という風情の二人組の男が現れた。


「俺達、ここら辺詳しいんだ。よかったら案内してアゲルよ? ――よかったら、もっとイイことも教えちゃうよ?」



「すんません、それ僕たちの連れなんで」



 俺は気付けば彼らと飛鳥達の間に割り込んでいた。 

 出来るだけ凄んで彼らを睨みつけると、


 彼らは一瞬驚いたように互いに顔を見合わせ、そしてニヤッと笑った――。









「いや、悪かった。男連れだと分かってたら最初からあんなこと言わなかったよ。気分を悪くしたなら申し訳ない」


 あっさりと頭を下げるチャラ男。


 あれ? なんか思ってたのと違うな?


「僕ら二人共ここ地元で、今そこの海の家で働いてて。ここ大好きなんで、少しでも楽しんでもらおうと思って、いろんな人に声かけてるんです」


 にこやかな笑みをうかべるもう一人のチャラ男。


「さっきまでと口調違うんすね……」


 俺が思わずそうこぼすと、


「あーあれ? いやぁ、海の男感出るかなと思って。……じゃ、僕らはこれで。良かったら海の家寄ってって下さい、サービスしますよ」


 そう言って彼らは海の家へと入って行った。








 一瞬静かになったが、ぷぷっと吹き出したのは柊だった。


「……もしかして、二宮、あれナンパだと思ったのか?」


「……」


「向こうで男だけのとこにも声かけてるの見たでござる。というか、拙者たちが誰も止めていない時点で違うって分かってもよさそうなものでござるが……」


「まぁ~私達もやばそうだったら普通に大声出すし~」


「二宮さん……ふふっ」


 最後に古賀に小さく笑われてとうとう俺の羞恥心は限界を迎えた。


「うわぁぁああああああ!!」







 


 その後は海の家で昼飯をとった(彼らは本当にサービスしてくれた)。


 そしてまた遊んで回った。

 今度は8人でビーチバレーをしたり、逆に女子も混じえて泳いでみたり。

 あぶれた古賀がぺたぺたと砂の城を建造しているのを見て、あーあと面倒くさそうにそちらを手伝いに行った柊がいたり。そこから皆で砂の王国を誕生させてみたり。



 そんなこんなで、すっかり遊び疲れた夕方。


 夕日がオレンジ色にキラキラと光る海へと沈んでいく。


「じゃあ撮りますよー」

 

 金髪で肌を焼いた、チャラいようだが親切な男がスマホを構えた。


 撮影をお願いすると快く引き受けてくれた。


 まずは無難な一枚。

 続いて全員ジャンプして撮った写真。

 それにもう一枚、女子は普通にピースしているが、男は全員厨二的ポーズをキめた写真。







「さて、そろそろ着替えようか」


「そうね、楽しかったけれどさすがに疲れたわ……」


 チャラ男にお礼を言って仕事に戻ってもらった後、橘と飛鳥はそんなことを言うが。


「と、見せかけてからの!?」


「ばっしゃ〜ん!」


 彼らの背後に突如現れた怪しい四つの影。

 そして橘には柊と小田が、飛鳥には古賀と姫野がついて、それぞれ二人がかりでがっちり抱えて――そのまま海へとダイブした。


「うわぁぁぁああ!?」


「きゃーー!?」


 ばっしゃーん、どころでなく、なんならばっっっしゃぁぁああああん! くらいの激しい飛沫が飛ぶ。

 ……やがて無言ダッシュで追いかける橘と飛鳥そして逃げる四人という地獄絵図が展開された。

 取り残されたのは今朝からほとんど会話していない二人。


「ね、2人でも撮らない?」

 

 笑った未来がひらひらとスマホを見せてくる。


 彼女は隣にぴたりと近づいて、左手でスマホを構えた。

 水着を着た彼女は最早それ自体が兵器に近い。

 内心の動揺を必死に隠す。


「……んー、上手く入らない」


 背高いね、と呟く彼女からスマホを受け取り、代わりにカシャリと鳴らした。


「……よっし、ありがと!」


 俺はほっと溜息をついた。


「良かった」


「ん? 写真が?」


 こてっと首を傾げる彼女。


「いや、なんか、避けられてるのかと思ってたから」


「あー……そんなことないよ?」


「そうか?」


「そうだよ。……あ、さっき庇ってくれてありがとね」


 思わず顔が熱くなり目を逸らす。


「からかわないでくれ、ただの勘違いだった」


 目の前の美少女はくすりと笑う。


「そうだけど。……あ、ところで女の子がせっかく着たのに、水着の感想もなしかなー? 」


「……めちゃくちゃ可愛いと思う。朝着てた服もそうだけど、お前センス良いよな」


「……っ!……」


 意趣返しのつもりで言うと、彼女は俯いてしまった。

 ……失敗した、これじゃただキモいだけだ。


「やっぱなんでもないわ。それより、そろそろひと泳ぎしたくなって来ないか?」


「いや話の逸らすの下手か!」


 未来はご立腹なのか、顔が赤くなっていた。


ブクマ100件ありがとうございます。これからも頑張ります。話の展開についてや何でもいいので感想貰えると嬉しいです。

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