第19話 中間考査・結果
中間考査から土日を挟み、週明けの月曜日。
その朝。
人のまばらな通学路を歩き、学校に到着した。
まだ登校するには早い時間だったが、これから中間試験の結果発表があるのだ。
個人の成績表はホームルームで配られるのだが、成績上位者五十名は廊下に掲示される。
それを見に来たのだ。
一度教室に荷物を置いて、玄関近くの廊下に向かう。
既に数人の生徒が集まっていた。
一人で来ているらしき奴や、友達と喋っている奴など様々だが、皆一様にどこかピリピリとした、張り詰めるような緊張を纏っているように思えた。
――彼らと俺は、恐らく同じ気持ちでここに居る。
掲示が開始されるまで、俺もその場に留まってしばらく待つことにする。
………。
飛鳥の姿は見えない。
今朝は別々に登校することにしたのだが、まだ来ていないのか。
時間が経つにつれ、人の数が増えてきていた。今や人だかりと表現できる程度には人がいる。
少し離れた場所に、水瀬の姿が見えた。
期待と不安を織り交ぜたような表情で友達と話していた彼女は、俺が見ていることに気づくと、こちらに向けて手を振ってきた。
彼女に会釈を返していると、前方の生徒達がざわめいた。
どうやらこれから、貼り出されるようだ。
くるくると巻かれた張り紙を持った教師が、廊下の壁にそれを取り付ける。
初めて見るが、どうやら端から公表していく形式のようだ。
張り紙の設置が終わり、教師がいよいよ巻かれた部分に手をかける。
……知らず、汗ばんでいた手をズボンで拭った。
段々と巻物は解かれていき、50位から31位までが公表された。
ざわめきが一段と大きくなり、生徒達に悲喜交々の感情が溢れる。
名前があることに喜ぶ生徒がいる。
そうでない生徒もいる。
隣で唇を噛み締めた眼鏡の男子は、きっと自分はもっと上だと信じていたのだろう。
俺の名前は無かった。
……安心したような、不安なようなごちゃごちゃな気分だ。
30位から21位までが明らかになった。
瞬間、横から悲鳴のような声が上がる。
水瀬が友達と抱き合っているのが見えた。
俺も、おめでとうと声を掛けてもいいかもしれない。
でも、まずは自分の結果が分かってからだ。
20位から11位までの名前が見えた。
慎重に、端から名前を確認する。
…………。
………………無い。
どうにかなりそうだ。
心臓がばくばくと凄い音を鳴らしている。
恐らく、次で最後だ。
教師が最後の一部分に手を掛ける。
未だ名前が出ていない様子の奴は、自分の力を信じているのか堂々としていたり、あるいは目をつぶって神頼みをしていたり。
今登校してきたらしい飛鳥が鞄を担いだまま、人だかりの後方で壁に寄りかかるのが見えた。
そして。
上位50名、全ての結果が公表された。
10位 大徳寺 雅之 565点
9位 北条 恵子 566点
8位 水島 瑛太 568点
7位 森 忠弘 569点
6位 二川 あずさ 571点
5位 田中 光雄 572点
4位 鮫島 亜美 573点
――ゆっくりと。
自分の血の気が引いていくのが分かった。
3位 橘 圭介 582点
2位 前川飛鳥 591点
1位 天上院 唯華 596点
――俺の名前は、どこにもなかった。
『個人成績表』
236位 二宮 誠 304点




