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ぼっちが学年二代美少女に憧れた結果  作者: 豚太郎
前編 クズと中間テストと学年二大美少女
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第18話 中間考査・当日

 そして、中間考査当日。


 朝の教室は普段よりずっと静かで、だけど少しの緊張感を帯びている。

 俺は自分の席に座り、教室の中を軽く見渡した。

 最後の追い込みで教科書を開いてぶつぶつ言ってる奴。

 友達と話をして緊張を誤魔化そうとしている奴。

 いろんな奴がいるが、ほとんど全ての生徒がしっかりと勉強をして、良い結果を残そうと今日ここに来ている。


 担当の教師がやってきて、問題用紙を配り始める。

 俺の所にも、前の奴から裏返しで回ってきた。


 去年までの俺なら、今頃は席で机に突っ伏していただろう。そして早く終われと念じ続けていたはずだ。


 実際、自分が勉強したと言えるのはこの1週間だけだ。

 他の生徒達は違う。彼らは今まで俺が何もしていなかった時にも、こつこつと勉強していたはずだ。


 だから俺が彼ら彼女らに勝とうとするなんてちゃんちゃらおかしい。おかしいのだが。


 時間になるまでのしばらくの間、教室に痛いほどの沈黙が下りる。

 俺はゆっくりと息を吸い、吐いた。

















 ――やれることはやった。



 最初は勉強をやる気なんてなかったはずだった。

 

 だけど。


 担任に問われて、気づいた。どうしてやる気になっていたか。



 俺が変わったのは、間違いなく二人の女の子のお陰だ。


 

 水瀬と、飛鳥。


 ……あの二人が学校の二大美少女だなんて言われるのは単に容姿が良いからだけじゃない。

 

 水瀬未来の優しさに。


 前川飛鳥の芯の強さに。


 彼女達のその在り方に、周りはどうしようもなく惹かれるんだ。


 そこに例外はなく。


 だから――ああ、なんということだろう。




 俺も、彼女達に誇れる自分でいたいと、そう思ってしまったのだ。




 故に。




 飛鳥と英語の例文を暗記しながら登校し、学校では授業は適当に分かるところだけ耳を傾け、他は自分の分からなくなった部分を探して自習した。


 休み時間もたまに彼女らと話をする以外は教科書を見ていたし、放課後の勉強会や、その帰り道はスマホに写した他の暗記物を覚え、家に帰ってからもその日の復習をこなした。


 この前の土曜日は飛鳥が荷造りで勉強会が出来なかったので、代わりに一人で一日ずっと勉強していた。


 俺は手元のシャーペンを見つめた。


 ここ一年ずっとサボってばかりだったけど。


 今だけは。


 俺に力をくれ。



 ――そして俺は、先生の合図と共に問題用紙をひっくり返した。


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