プロローグ
「……あー、死にてぇ」
自室のベッドの上、俺は手元のスマホを見ながら呟いた。
昼から惰性で続けていたゲーム画面を閉じて、そのままごろりと寝転がる。
「腹、減ったなぁ」
今日は朝から何も口にしていなかった。
「なんか作るか?……いや、確か冷蔵庫何にもなかったな」
今更外に出る気も起きないし、まぁ一日くらい食わなくても大丈夫だろ。
「……うわ。もうこんな時間か」
ふとスマホで時計を確認すると、とうに日付は変わっていた。
「ダルすぎぃ……」
スマホをベッドの脇に放り出して、ぼんやりと天井を見つめる。
あと五時間もしたら学校に行かなければならない。あぁ面倒だ。
「……またサボるかぁ?…………いや、流石にそろそろ不味いか」
辛うじて理性が働き、学校には行くことにする。
俺は偉いなぁ。
よし、そう決めたならば今は、少しでも寝ておいた方がいいだろう。
「……しゃあ、寝るぞ~。……っと、その前に少しだけ……」
だらだらと寝る準備を済ませ、再びベッドに潜る。そこで最後にタイムラインだけ確認しようと思い、横にあったスマホを拾い上げた。
「……………………………くぁ」
結局。
この日俺が寝たのは朝日が昇ってからであったとさ。
――いつも通りに怠惰に始まった一日。
クラスのアイドルと幼馴染、彼女らと道が交わったこの日から、俺の青春は始まるのだ。




