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幼なじみの恋人は僕の友達 友達の幼なじみは僕のXXX 〜Crossroad Cantata (1) / Pathetic Prelude〜  作者: 御子柴 流歌
1-3. スノーマジックファンタジー

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1-3-16. 晴れる懸念、次なる懸念

 星宮(ほしのみや)中央(ちゅうおう)駅の2つ手前、三番街(さんばんがい)駅。


 中央駅近辺の再開発後こそ街の顔としての役割を譲っているものの、こちらもしっかりと人が集まっている。

 昔ながらの百貨店や商店街はもちろん、今っぽい雰囲気のファッションビルも軒を連ねている。

 地下鉄改札口を抜けてすぐのところにある大型モニターの前は、恰好の待ち合わせ場所だ。


 とはいえ、人が多すぎて逆に待ち合わせの相手が見つかりづらい、という問題もあるとかないとか。

 軽く腰を掛ける程度のベンチも相当数あるのだが、人がいないところを見つけるのが難しい――というか、もはや空いていた例しがない気がする。

 今までもよくここには来ているが、空いているなと感じたことはなかった。


 ということで、ボクらの待ち合わせ場所もここではないところにしていた。

 条件としては、もう少し目的のお店に近くて、それなりにわかりやすくて、寒さをしのげるところ、という感じだろうか。



「さて、と」



 特に誰に言うでもなく呟いて、時計を確認。

 まだもう少し時間はあるけれど、自分ひとりならともかく、今日はいっしょの人がいる。

 一旦待ち合わせ場所に着いていた方が安全だろう。



「……待ち合わせの場所って、どの辺なの?」


「ここから、ちょっとだけ歩くかな。26番出口の方」


「……任せちゃってもいいですか」


「もちろんでございます」



 なぜか妙な敬語が飛んできたので、そのままお返ししてみる。

 そして、何となく同時に小さく噴き出した。

 幾分か気持ちに余裕があるような気がして、そんな自分に少しびっくりした。



「とは言っても、噴水っぽいのがある場所だから、そこまでわかりにくい場所じゃないよ」


「そっか」


「まぁ、ゆっくり行こう」



 小さく肯いた聖歌に合わせて、いつもよりゆっくりとしたペースで地下街を西に進んでいく。お

 昼時ということもあり、周りの飲食店から漂ってくる良い匂いに、思わず足が吸い寄せられるような感覚になる。

 隣を歩く聖歌も、通り過ぎていくお店に視線を奪われがちに見えた。



「やばいね、この時間帯って」


「……うん。でもこの後のこと考えると」


「そう。そうなんだよ。残念だけど、ちょっとおなかは開けといた方が安全」


「だよねー」



 彼女は、ちょっとだけ寂しそうな声を返す。

 その気持ちはよくわかる。


 危うく『また今度来たときに』などと言い放ちそうになってしまう。

 気持ちに余裕があることは良いことだと思うが、それはさすがに気を抜きすぎだ。


 丁度左に置いていくできたてのカレーパンの匂いに、おなかは正直に空腹を訴えた。

 ――聞こえてないようで、安心した。





 さらに3分ほど歩くと、今日のメインの待ち合わせ場所。

 噴水のような、滝のような、よくわからない水を使ったオブジェの側には、すでに見知った顔が居た。

 しかも、4人。

 予想していたよりも多い。


 その中のひとり、神流(かんな)がボクらにいち早く気付いて、こちらに手を大きく振っている。

 神流の反応に気付いて、横に居た和恵(かずえ)さん、結花(ゆか)好海(このみ)の3人も、神流ほどではないが小さく手を振ってきた。



「やっほー、こっちこっち!」


「早いな。……意外と」


「『意外と』ってどういうことよ」


「いやいや。まぁ、幹事としては素晴らしいよ。うん」


「取って付けたように言うなー」



 にこにことしながら脇腹辺りにパンチを繰り出してきたのを、後ろに身体を引いて回避する。

 いつもの悪ふざけの流れだった。


 好く言えばいつも活発な神流らしく、ショート丈のピーコートにブルー系のニット。

 それにスキニーパンツを合わせた動きやすそうな恰好だった。


 好海も同じような組み合わせだったが、彼女はワイドデニム。

 それでも与える印象がわりと違っているから面白いところだった。


 反面、ガーリーな雰囲気なのは、和恵さんと、意外な感じもあるが結花だ。


 和恵さんは、聖歌に近い雰囲気。

 ゆったりめのオリーブカラーのアウターにロングスカートを合わせて、甘くはなりすぎないような印象だった。


 結花はロング丈のグレーのコートに、ふんわりとしたマフラーが特徴的。

 彼女の長身が生きている感じがした。



「そっか、追加メンバーって聖歌ちゃんかー」



 聖歌に抱きつきぺたぺたと頬やら肩やらいろんなところを触りながら、妙に楽しそうな和恵さんが言う。

 あの後改めて神流には誰が行くのかを教えていたが、そのほかのメンバーには教えていなかったことを、今更ながら思い出す。



「うん。……でも、あたしでよかったのかなーって」


「なんもさ! 何そんなこと気にしてるのよー。結構早い内から参加してくれたしねー。ほぼ初期メンバーって感じだし」


「むしろ来てくれて嬉しいよー」



 神流に続けて、好海も満面の笑みだった。



「ほんと?」


「そうそう! や、むしろ来てくれないと困る、って言うか」


「余っちゃうと勿体ないからねー」


「それ。マジでそれ」



 思った通り。

 最初に誘ったときからずっと聖歌は妙に気にしていたが、やはり本人だけが気にしすぎなだけだ。



「そういえば、美里ちゃんは?」


「呼んだんだけど、別の約束があるからごめんねー、って。次もしあったら是非呼んで、とは言ってた」


「お。おっけー、おっけー。だったら、間違いなく次は呼ばなきゃだわ」


「ちなみに聖歌ちゃん、甘いものは?」


「好きっ。そこそこ食べられる自信もあるよ」


「心強いー! やーもう、ミズキ、今回もグッジョブだわ」



 3人が聖歌をメインに盛り上がっているのを余所に、結花がこちらに静かに寄ってきた。



「でも、海江田くんが御薗ちゃんを連れてくるとは思わなかったな」


「そう?」


「あ。そういえば、あの時も結構話してたような」


「……同じ中学だったんだよ」


「あ、そうなんだ。なるほどね。そういうことか」



 納得してくれたようで安心する。

 少なくとも嘘は吐いていない。

 すべてを話したわけではないが、言う必要も無い。



「同じクラスだったとかは?」


「1年のときだけだった……かな、たしか」



 断定する言い方を少しだけ避けてみる。

 間違ったことを教えてはいない。

 狡い手だった。


 そんなとき、自分の身体に僅かな違和感を覚える。

 背中あたりに突っ張るような感覚がある。


 何だろうと思いながら首だけで振り向けば、その犯人は好海だった。



「あ、やっと気付いてくれた」


「ごめんごめん。何、どしたの?」


「聖歌ちゃんがね、海江田くんとは同じ中学だった、って言うから『マジでー!』って思って」


「ん。そだよ」



 そちらでもその話になっていたのか。


 一瞬だけ彼女の方を見ると、そこまで多くは話していなさそうな様子に見えた。

 だけど、妙にボクに対して申し訳なさそうな顔をしているように見えるのだが。

 何故だろうか。


 ――尤も、その疑問は一瞬にして晴れる。晴れてしまう。




「で。今度、()()()()()()()()()()って話になって」


「ふーん。…………ん?」



 いきなり、どこかおかしなところへと話が吹き飛んでいったような気がするのだけれど。

 気のせいじゃないような。


 そんなことを思っていると、好海に覆い被さるようにして和恵さんが言葉をつなげた。

 さきほどから随分とスキンシップが激しい。

 その上、とても悪い顔をしている。



「せっかくだから、海江田くんにも卒アルを持ってきてもらおう、という話になりまして」



 ――疑問は晴れたが、今度は違うところからどんどんと曇り始めてきた。



「待って待って。全然『せっかくだから』じゃないから。っていうか、持ってくるの確定なの?」


「イイじゃなーい、減るモンじゃなしー」


「ボクのHPもMPもガリガリ削られそうなんですけどっ」



 というか、既に減ってきている感じがしているのですが。



「そこまで嫌がるということは? まさか、そんな黒歴史のような何かが載っていると?」


「それは……」



 一気に卒業アルバムの中身を思い出そうとしてみるが、全く思い出せない。

 そもそも卒業式あたりの記憶自体が定かではなかった。



「あ、これ何かネタがありそう」


「楽しみだねー」


「ねー」



 実に楽しそうな神流たち3人だったが、ボクにはもはや彼女たちを止める手立てはなかった。



ここまでお読みいただきましてありがとうございます。


ネタバレ的裏話をしますと、瑞希の中学校卒業式近辺の記憶が曖昧なのは、ちょっとした「事件」があったからなのです。

いずれ明らかにしますので、それまでお待ちください。

……大丈夫です、必ず回収しますから(^◇^;)


ということで、感想などなどお待ちしてます!

あ、評価とかいうヤツは、最新話からしかできないらしいですね。最近知りましたw

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