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#4 図書館の少女

飯を食べ終わり、図書館に向かった。飯の最中にひそひそ話を周りでしないでほしい。どうせ、俺のことなんだし。わかんないと思っているのか。


まぁ、いいや。


そう思いながら、俺は魔術書をとり、席に座る。魔法を専門にする気はないが読んでおいて損はない。知識を入れておくことは今後、絶対に得する。


1時間ぐらい読んで、だいたいこの本に書いてあることを理解した。自分が欲しい情報は()っていなかったけれど。まだ時間あるな。次の本でも探しにいくか。

と思って立ち上がろうとする。


「あのー。神崎さんであってますよね」


が、声をかけられた。


振り返るとよく知った顔があった。ここ半年、時々図書館のこの場所であって魔法などについて話しあっている女の子だ。刀華とは違い、おとなしい女の子だ。学年は胸についているバッチを見たらわかるので同学年だと言うことは分かっているが、実はまだ名前は知らない。女子に聞くタイミングがわからない。

いつかは聞きたいが。


「うん、そうだけど」


顔を見せたから、わかっていると思うが一応答える。


「今日は、いらっしゃっていたんですね。あのー、もし時間があったら、今から話し会いませんか。用事があったら断っていただいて構わないんですけど」


歩との約束の時間まであと1時間くらいある。本もちょうど読み終わってきりもいいし、やるか。


「このあと、用事があって1時間くらいしかできないけどそれでもよければ」


「ありがとうございます」


感情をあまり表に出さない彼女だが少し、声のトーンが上がった気がした。


彼女は俺の隣の席に座る。


「でも、本当に俺でいいの?」


別に彼女と話すなら誰とでもやってくれるはずだ。可愛いんだし。俺なんかとする必要はない。


「何回も言っていますけれども、神崎さんは知識の量が多いですので、話しを聞くだけでも私の魔法の役に立ちます。別に私は噂などはきにせませんから」


彼女の役に立っているならいいや。


「じゃ、今日は何について話し合う?」


話題は毎回彼女に合わしている。


「じゃ、今回は動きが早い敵に対する魔法について話し会いませんか?」


「OK」


よし、持っている知識をフル動員して話しあいますか。せっかくの時間を割いてくれる彼女のために。


だいたい50分くらいでひと段落ついた。 彼女、普段はおとなしそうなのに魔法についてとなるとその感じが消えるんだよな。


「じゃ、今日はこのくらいで」


これ以上続けてもいいが、そうすると歩との約束に遅れてしまう。昨日も遅れてしまったので今日も遅れるわけにはいかない。


「神崎さん、ありがとうございました。またあったら続きお願い致します」


彼女は丁寧に頭を下げていた。


「いや、同じ学年なんだし、それに俺の役にもたっているし頭まで下げてお礼言わなくても。あと神崎さんじゃなくて呼び捨てでも全然構わないし」


同学年なのでそこまで丁寧(ていねい)にされる必要はない。

しかし、彼女は手を横に振って否定してくる。


「い、いえ、そんなことできません。神崎さんは私にとって二人目の師匠のようなものなので呼び捨てなんて。私がどうすればいいか困っている時に神崎さんの意見のおかげで解決したことなんてたくさんありますし」


なるほど、俺は彼女にそんなふうに思われているんだ。でも、彼女の役に立てていたのなら、うれしい。


「そうなんだ。話しあっている側としては役に立っているなら良かったよ」


なので、そう返しておく。

二人目の師匠と言われて、一人目の師匠がどんな人か気になったが、彼女のプライバシーに関わる可能性があるのでやめておこう。

彼女はメモしていたノートをしまいながら、また少し頭を下げた。


「前から思っていたけどこんな会話までメモとっているなんて真面目(まじめ)だね」


「やっぱり、ためになることも多いいですし、それに……」


「それに?」


聞くと彼女は下を向き、少し顔が赤くなった。あっ、これ恥ずかしがっているな。刀華がよくする反応だ。


「言いたくないことだったら、無理に言わなくてもいいから。ごめん。無理に聞いて」


「い、いえ、そちらこそごめんなさい。ただちょっと恥ずかしい理由で。もしかしたら笑われるかもしれないので」


少し、間をおいて下を向きながら彼女が話す。


「どうしても、追いつきたい人がいるんです。その人はとてもお強いですが早く追いつきたいので。その人は私の師匠みたいな人で私がここにいれるのはその人のおかげなので。それに、今度その人からペア戦、一緒に出ようと言われて、なのでそれまでに彼の足を引っ張らないようにしたいんです」


というと、彼女はまた顔を赤くした。


ペア戦というのは、その学校で7月にある全校生徒が参加できる大会のことた。毎年、2人のペアと8人のレギオンの二回大会があってその上位者は他の学校の上位者と戦うことのできる大会の参加権を得る。その大会に参加すると就職の時かなり有利になるそうだ。


まぁ、俺は関係ないけど。彼女それにでるのか。がんばってほしい。てか、全然恥ずかしい理由じゃなくない。


「いや、全然恥ずかしい理由じゃないと思うよ。逆にいい理由だと思うよ。あとがれの人の隣に立ちたいという理由は」


本当にそうだと思う。


「本当ですか?」


「うん、本当にそう思うよ」


「ありがとうございます」


また、頭を下げた。恥ずかしい感じがするのでやめてほしいが、しょうがない。慣れるか。

しかし、彼女、少し油断したな。さっき彼って言ってから憧れの人は男か。あと、多分同年代だな。誘われるってことは。

彼女も青春してるな。


時間だったので彼女と別れて、歩に会いにいく。

不意に


俺と彼女少し似ているなぁ〜。


と思った。


なんでだろう。



その夜、OKが出たと山中先生から連絡がきた。

やっぱり大丈夫だったらか。




風邪ひかないかな。

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