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#15 初デート(仮) 始まり

俺は待ち合わせ場所に到着していた。


昨日、刀華(とうか)にメールを送ったら返事は『わかった』だった。短い文章なのに返信が返って来たのは1時間後だった。


そして今日、もう一度冷静(れいせい)に文面を読み返してみると自分は何という文章を送ってしまっていたのだ。山中(やまなか)先生に注意されたばっかなのに。好きだけど付き合ってない女の子にデートしませんかなんて送っていたのだ。朝、起きてから少し死にたくなった。

しかし、刀華もわかったといってくれたのだ。


自分の服の中から1番おしゃれぽいものを選んだ。便利(べんり)機器(きき)、スマートフォンから検索(けんさく)したなかで気に入ったコーデに似た感じの服を選んだ。ここで障害(しょうがい)になったのは、俺の服のバリエーションがかなりの少なく、また、残念だったことだが、かなり使えるのが限られてしまったが、なんとか仕上げた。ただ、あれはイケメンのモデルが着ているからオシャレに見えるだけであって自分に合っているかの保証はない。それが心配である。

今度、服のバリエーションを増やしておこうと感じざるおえなかった。


「蓮!!」


向こうから刀華が手を振りながら走ってくる。俺も手を振り返した。

そんなに急がなくてもいいのに。


「ごめんね。遅れちゃって」


息を切らしながら謝ってくる。

だか、女の子がデートに遅れて到着することは普通である。それぐらいは恋愛経験皆無(かいむ)の俺でも知っている常識だ。


「いや、全然。全然待ってない」


本当は20分近く待った。刀華は白のカーディガンに花(がら)のスカートという格好だった。高校生の刀華の私服見るのは初めてだ。

案外、可愛いの着てるし、オシャレなのかな?

そっち方面、強いのかな?


俺、本当に大丈夫かな?

俺、興味ないしなぁ〜。

オシャレについて。


「刀華、その服似合っているよ。可愛いし、オシャレだと思う」


「え‥‥‥そうかな?私、可愛い服あまり、持っていなくて、昨日、希美(のぞみ)から貸してもらったりして、一応オシャレしてきたつもりだし、希美にも見てもらって大丈夫って言って貰ったけど、私、男の人と2人きりで歩くの初めてだからわからなくて」


どうやら刀華もファッションには疎いなか、かなり頑張ってくれたようだった。その事実が内心ではかなり嬉しかった。


「似合っているよ。俺の方こそ大丈夫かな?俺、オシャレとかわからないし」


「蓮も似合っていると思うよ」


「そうかな?ありがとう」


「「………………………………………」」


なにこれ、すごく恥ずかしい。なんか本物のカップルみたいで。


「じゃ、じゃあ、い、行こうか」


緊張のせいですごい()んだ。


「そ、そうだね。い、行こう。」


刀華も同じように噛んだ。

刀華も緊張してくれてるのかな?



デートの場所は近くてシュルツ学生、大人気の都市、学園都市シュルツにした。名前からわかるようにシュルツ第1騎士学校の近くだからこの名前になった。

そのせいか若者に人気そうな場所を多数(そろ)えている。俺たち生徒にはかなり重宝されている。

ちなみに、シュルツという都市は、東京に新しく作られた埋め立て地の上に作られた。土台は魔物によって破壊された残骸(ざんがい)のゴミを使用したそうだ。エコなのかな?自然破壊(はかい)しているし違うか。

残念だが、明日から授業もあるしここぐらいしか行けない。ここで、十分な気もしているが。


「で、刀華はどこ行きたい?」


刀華は驚いたように顔をあげた。


「私が決めていいの?」


「もちろん。刀華が行きたいところに連れて行くよ。シュルツにない所は無理だけど」


これは、昨日、結城(ゆうき)さんに教わったことだ。彼女も時々、彼と2人きりで出かけることがあるそうで、その時、彼は結城さんの行きたいとこに連れて行ってくれるらしい。初めは無理にエスコートするよりも相手に任せた方がいいらしい。

最後に、結城さんに「彼のこと好きなんだね。」と聞いたら結城さんは激しく動揺(どうよう)していたな〜〜。

青春だな〜。


「嫌だったら言ってくれていいんだけどボウリングに行ってみたい」


「別にいいけど。行ったことないの?ボウリング。友達とかと」


「ない。みんなカラオケばっかりだし、そもそも私、あんまり遊びに行かないから」


「わかった。じゃ、行こうか」


ある程度の施設(しせつ)は昨日、夜通しで暗記した。なぜって、寝られなかったからに決まっているだろ。なので、迷うことはないと信じている。



ボウリングがある総合アミューズメントパークに向かうこの辺は特に(にぎ)わっているところらしく、ものすごく人が多い。

はぐれたら面倒だし、せっかくの2人きりの時間が(けず)れてしまう。それは、避けたい。

俺は刀華に手を差し出した。


「えっ」


「繋いで。離れると面倒だから」


刀華が恐る恐る手の俺の手に重ねる。俺は刀華の手をぎゅっと握った。


「えっ、嘘」


そのまま、ボウリング場まで歩く。絶対この手を離さない。



『………………幸せ』


刀華がポツリと(つぶ)いた。


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