#14 初メール
寮に帰って携帯を開いていた。
明日は休日である。なので、少しでも刀華を元気づけるためにどこかに誘いたい。先生からも気にかけてあげてくださいって言われたし。そのためにさっき結城さんに女子はどこに連れていくと喜ばれるか聞いたのだ。
しかし、文面が決まらない。この学校で会ってから向こうから携帯の番号を一方的に教えられた。しかし、今まで刀華にメールを送ったことがないのだ。それに、年頃の女の子に対してメールを送ったことがない。
なので、さっきから文面にものすごく悩みこんでしまい、自分のベットの上に横たわりながら四苦八苦している。
「さっきから誰にメールを送ろうとしているんだ、蓮?」
机に向かいながら同室の五十嵐 駿から声をかけられる。
彼は新聞部なので多分今日撮った写真の整理でもしているのだろう。
「歩に明日の練習について」
適当なこと言ってごまかす。女子にメール送るなんて知ったら、興味津々に近づいてくるに決まっている。
「いつもご苦労なことで。」
カメラをいじりながら話しかけてくる。こいつ新聞部ならこういう時のメールの文面について詳しいんじゃない。
「駿、もし、久しぶりにメールする人に会わないか?っていう時どう送る?」
「俺なら自分の気持ちを正直に送るね。多分、向こうもわかってくれるはずだしな。俺だった少しユーモアを効かせるな。」
「ふ〜ん。参考にしてみる。お前、明日6時半から空いてるか?」
「空いてる。で、用は?」
「明日、話す。いつものところに来てくれるか?」
「OK」
さて、メール送るか。自分の気持ちに正直に書いて、速攻送る。少し、自分なりにユーモアを聞かせてみた。大丈夫だよね。
女子寮に帰ってすぐにベットに倒れこんだ。今日は集中できずに小さいミスをちょくちょく起こして、希美や他の隊員にかなり心配された。多分、蓮が襲われたと知ったからだと思う。
「………あ〜〜。もう今日は寝よう」
そんな時、携帯がなった。
「‥‥‥誰だろう。希美とかかな?」
希美とはよくメールするので着信音を変えているはずだけど、希美ぐらいしかこの時間にメールしてくる人いないし。
そして、送信先を見て、ギョッとした。送信先は蓮だった。確かに蓮とは連絡先を交換はした。
しかし、まさか送られてくるとは思わなかった。今まで、私からも送ったこともないのに。蓮から送られてくるなんて想定外だ!!
いったいどうなことが書いてあるんだろう。考えられるのは朝のことだ。やっぱり、素っ気なくしたこと怒っているのかな?
少し、怯えながらゆっくり携帯を開け、メールを開けるとそこには短い文章が書いてあった。
『明日、2人でデートしませんか』
一瞬で顔が真っ赤になった気がする。
な、な、な、何、これ?
こ、これ、本心。
いや、ば、罰ゲームとかかな。
で、で、で、でも、蓮に友達なんていないし。
と、と、と、ということはこれは蓮が打ったってことで‥‥
たった一言なのにいろんなことを考えて、文章を何度も読み返す羽目になった。