ちょんまげマーチ
ズキッ、ズキッ……
(うう……、なんか頭痛い)
ぼんやりした思考のまま、希美は自身の意識が少しずつ覚醒していくのを感じとった。
よくわからないが、頭痛がひどい。まず希美が考えたのは、それだった。
(やばい、脳腫瘍とか脳溢血だったらどうしよう。子ども小さいのに、死にたくないよお)
希美は病気に関しては、そうとうにビビりなのだ。不安でたまらなくなる。
しかし意識がはっきりしてくるにつれ、ガヤガヤとまわりの声を認識できるようになってきた。どうも自分は倒れていて、まわりを人が取り囲んでいるようだ。希美はそのように当たりをつけた。
(そういえば、最後に覚えているのはなんかすごい衝撃がきたってことだな。一体何があったんだろう……って)
「お迎え!!」
どのくらいの時間意識を失っていたのかはわからないが、あの時お迎えの時間はギリギリで急いでいたのだ。確実に遅刻している。というか、なかなか迎えに来ない母親を待って、あの子泣いているんじゃないかしら。
希美は慌てて、飛び起きた。
その時、ようやくまわりが目に入った。
「……え?」
なんか着物姿のおっさん達に囲まれている。
いや、着物姿だけならまあ、そういうのが趣味な同好会がたまたま居合わせたのだろう、と思える。
しかし、軒並みおっさん達の頭が、ちょんまげなのだ。
希美は眼をこすって少し眼球をマッサージした後、もう一度見てみた。
うん、確実にちょんまげ。
いや、ちょんまげ!?