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悪魔の証明

ちょっと短め!

睡蓮屋堺店の一室。

風呂上がりの希美は裸の姿で横になっており、悪魔教の宣教師が希美の裸体に顔を近付けて、隅々まで調べている。

何故このような状況になったのか。

それは、宣教師が自分を悪魔呼ばわりするのに辟易した希美が、「なら悪魔かどうか、確かめてみろ!」と豪語した結果、希美の体に『悪魔の印』が無いか、確かめる事になったのである。


「フム、ココニモ無イデスネ。ナラバマダ調ベテイナイノハ、アナタノ楽園ノミ。サア、足ヲ開クノデース」

「だから、ここにだって無いって!悪魔じゃないから、悪魔の印なんてついてるわけないでしょ!」

「イイエ、キットココニアルハズデース!悪魔ジャナイト言ウナラ、見セテ証明シテクダサーイ!」


希美の閉じた足を、ぐぐぐ……と開こうとする宣教師に、希美は上半身を起こし、体育座りの状態で、手で足が開かぬように押さえている。

絵面的に、柴田勝家のM字開脚だけは、絶対阻止しなければならないのだ。



そこへ、スパンッと勢い良く襖が開いた。


「ここにいたか、ゴンさん!なんとか奴等を撒いたが、酷い目におうた……!?」

「お師匠様!ご無事でし……!!」

「よう、柴田様。光秀の野郎、一番嫌な所で俺に交代しやが……!」


ようやく合流を果たした輝虎達だった。

だが、彼らが目にしたのは、遊女屋の一室で、全裸の柴田勝家の足を開こうとしている南蛮人の男。


「取り込み中にすまぬ」


パタン……。

襖は閉められた。


「ちょっと待ってーーー!ケンさーーんっ、カムバーック!!」




「なるほど、ゴンさんを、『悪魔』とのう」

希美から説明を受け、輝虎が唸っている。


何やら誤解して去ろうとしていた輝虎達に、希美は必死で呼びかけ、なんとか戻ってきてもらったのだ。

「ちょっと、ケンさん、言ってやってよっ。ルイスさん、『悪魔じゃない』って言っても、全然信じてくれないの!」

「そうじゃのう」

輝虎は、顎の武将髭をざりざりと撫でながら、ルイスと名乗った宣教師を見た。

「わしも、最初はゴンさんを悪魔だと思うておってのう、討ち滅ぼしてやろうとしたのじゃが、負けてしもうた。それで、今は『ぺっと』となったのじゃ」

「オウ、アナタモ私ト同ジデスネ!」


輝虎はルイスに微笑みかけた。

「悪魔かどうかなど、今のわしにとってはどうでもよい事じゃの。ゴンさんはわしの『主』で、『家族』じゃからの」

「ケンさん……!」


ドヤ顔で微笑む輝虎に、希美はシビアな意見を述べた。

「なんか感動したけど、まずは『悪魔』を否定してほしかった!」

そう言って、複雑な心境のまま、肩を落としたのである。


そんな希美にルイスは頭を下げた。

「ダカラ悪魔カドウカヲ判断スルタメニ、『悪魔ノ印』ノ確認ガイルノデース。オ願イシマース。楽園ヲ暴カセテクダサーイ!」

正直、ルイスは希美を悪魔だと信じ、既に悪魔教に入信の意向を示しているので、別に確認せずともよいはずである。

どう考えても、ただ楽園を暴きたいだけだ。

しかし、熱意あふれる真摯な態度に、ギャラリーがルイス寄りになってきた。

「柴田様よお、こんなに言ってんだ。暴かせてやれよ」

「ゴンさん、暴かせてやればよかろう。それで、終いじゃ」

「某もお師匠様の未踏の楽園に、第三の足で踏み入れたいですぞ!」


河村久五郎の第三の足は、希美によって、踏み荒らされた。



久五郎の上でタップダンスを躍り終えた希美は、ルイスに懇願した。

「なあ、お前達は、『えろ』の変態性だけを取り上げて、私の事を『悪魔』だと決めつけるが、私の肩書きや噂ではなく、実際の行動で『悪魔』かどうか判断してくれないか?私は、格好こそ全裸だが、これでも清廉潔白な人間だぞ?」

全裸だの、鎖だの、危ない兜だのを装着して戦場で無双した行為のどこら辺が清廉潔白なのかはさておき、ルイスは少し思案して、希美の希望を叶える事にした。


「デハ、私ノ質問ニ、答エテクダサーイ」




『宣教師ルイス・デ・アルメイダのドキドキ☆悪魔診断~七つの大罪編』


1.コレマデニ色欲ノ罪ヲ犯シマシタカ?

「yes。……昔は確かに、色々と。え?どんな事?ええと、確か、元旦に友人と山……言わねえよっ!はい、ギルティです!」


2.コレマデニ貪食ノ罪ヲ犯シマシタカ?

「yes。暴飲暴食、確かにやりまくったよ!めちゃ太りましたけど、何か!?」


3.コレマデニ貪欲ノ罪ヲ犯シマシタカ?

「い、yesだよっ。衝動買いしまくりましたー。ストレス溜まると、買い物したくなるでしょ?え?分け与えたか?なんで私が買った服を誰かに分け与えんのよ。サイズ感とかあるでしょーが」


4.コレマデニ怠惰ノ罪ヲ犯シマシタカ?

「yes、yes過ぎるわ!『怠け者』といえば、私!家では常に、涅槃像スタイル!」


5.コレマデニ怒リノ罪ヲ犯シマシタカ?

「……yes。え、怒った事ない人間なんていんの?激しい怒り?あるに決まってるでしょ!まだ子どもが赤ちゃんの頃、やっと寝かせたと思ったら、旦那がテレビ見ながらデカイ声で爆笑しやがって……。あの時は、激しい怒りにより、スーパーサ○ヤ人になれそうだったわ」


6.コレマデニ嫉妬ノ罪ヲ犯シマシタカ?

「ああ、懐かしいなあ。yesだよ。昔、友達と同じ人を好きになってさ。そのコと仲良くしてる所を見ちゃうと、やっぱ嫉妬したよねー。逆に燃えたけど!」


7.コレマデニ傲慢ノ罪ヲ犯シマシタカ?

「傲慢かあ。私、傲慢かなあ。気をつけてはいるけど。……ん?『ペットとして自分を大切にしてくれる人が傲慢であるはずがない』?そっか。ありがとうケンさん。yesでしたわ。私は、大人気有名武将をペット扱いする、傲慢野郎でしたわ!」




「全テyesデスネ。ツマリ、アナタハ大罪人ノ『大悪魔』デース!」

「オーマイガッ!!!」


希美は、自ら『大悪魔』の証明をしてしまった。

全く罪を犯していない人なんていないだろっ!と思わせるような大罪の内容。

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