表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/249

信長の属性

「さて権六、わしはその方の頭なぞどうでもよい」

(いや、今散々聞いてきたよね)

希美は突っ込むのを我慢した。


「わしは美濃攻めをする」

「はあ……」

「腑抜けた返答じゃの。その方、桶狭間に連れていかなんだのを恨んでおるのだろ?美濃攻めに連れていけと言わんのか?」

「いえ、無理にとは申しませぬ。何、某は外様のようなもの。弘治3年、某は弟君から殿へと寝返り申した。すぐ信用できぬのも仕方ない事かと」

(ええと、確か勝家は美濃攻めに参加しなかったはず。よしよし、合戦とかないわ。内政チートで屋敷や領地を好きに改造してやろ)


「ふむ……その方を連れていってやろう」

「えっ?」

信長はニヤリと笑った。

「その方が面白そうだからな。そもそも今さらその方が裏切るとも思えぬわ」

(こいつ……野生のカンかなんかでこちらの思惑を見抜きおった!その上での嫌がらせか、このドS俺様野郎)

「何やら不満そうだな」

「滅相も御座りませぬ、ドS野郎(ドS野郎)」

「どえす、とな?」

「はわわわ……何でも御座りませぬ」

(やっべー、腹立ち過ぎて心の声漏れた!)


信長は胡乱な目で希美を見た。

「その方、前も猪武者で愚直であったが、今は通り越してうつけであるの」

「ぐ……」

(さらっと悪口言われた)

「まあよいわ。何もかも忘れておるようなら隠居させるつもりであったが、まだ使えよう。存分に槍働きせよ」

「ははっ」


信長は立ち上がると来た時と同じくダンダンと足音を立てて去っていく。

希美は辞去のために来たのを思い出し、慌てて声をかけた。

「あ、殿、部屋や着替えをお貸し下さりありがとうございましたっ。本日はこれにて下がりまする」

信長は振り返り、呆れた顔をして希美を見やったが、ふんっと鼻で笑って向こうを向いた。

「……その方が使った剃刀はわしが日頃使っておるものの一つよ」

「はあ……殿のご愛用の品をお貸し頂いたのですか。ありがとうございました」

「ふん、権六の使った剃刀などわしはもう使わん。うつけが移るわ。持って帰るなり好きに致せ」

「……あ、有り難き……」

(なんか、デレたーーー!!)


信長はこちらの返答を待たず、去っていった。

「な、生ツンデレ……」

(よくライトノベルに出てくるけど、現実では見たことない。だって実際そんなやついたら、社会的にアウトだから)

(でも織田信長なら、許されるのか?)


「多少は可愛いような気がする。が、何かお前には言われたくない的な意味でイラッとするわー」

元祖うつけの人に、うつけが移る呼ばわりとか屈辱だわ、と希美はぼやいたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ