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領民0人スタートの辺境領主様  作者: ふーろう/風楼
第四章 家族

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家族

あとがきにお知らせがありますので、良ければご一読ください


 私達の近くへと馬車を停めたアイサとイーライは、私が涙ぐんでいるのを見たせいなのか涙ぐんでしまって……そうして涙まじりの笑顔となってしまった私達は、合流するなり抱き合って、お互いの無事と、再会を思う存分に喜び合う。


 そうやって抱き合いながら、肩を叩きながら、頭を撫でてやりながら今までどうしていたとか、元気にしていたかとか、皆はどうしているんだとか、そういったことを語り合っていると、ようやく起き上がったエリックがだらだらと涙を流しながら合流してきて……そうして懐かしい顔達との会話が盛り上がっていく。


 なんだかんだとありながらも皆元気にやっていると聞いて安心し、それぞれ店を構えて皆で協力し合いながら上手くやっていると聞いて安心し、ゴルディアを始めとしたほとんどの皆が結婚し、子供を持ったと聞いて大きく喜び、そして心から安心する。


 そうして、そんな会話の中で、妙な部分で言葉を濁し、変に高い声を出しているエリックに、一体どうしてそんな姿を、声をしているのかと事情を聞こうとした……その時だった。


 アイサ達が乗っていた馬車の荷台からゆっくりとした仕草で降りてくる白髪の老人の姿が視界に入る。


 一体誰だろうと私が首を傾げていると、その老人は何処かで見たような立ち振る舞い、仕草でアイサ達が連れていたメーア達とフランソワを撫で、そうしてから私の方をじっと睨み、こちらへと歩いてくる。


 無言でただただ私を睨んで来る老人の……その歩き方、振る舞い、仕草を見て……そして最後にその顔をよく見て、目を擦りもう一度見て……老人の正体が誰であるかに思い当たった私は、驚きのあまり思わず大声を上げてしまう。


「い、生きていた……んですか!?

 死んだものとばかり!?」


 私のそんな声に、憤怒の形相となった――さんは、その手にあった杖を振り上げ……すっかりと老いてしゃがれてしまった大声を返してくる。


「勝手に殺すでないわ! この馬鹿モンが!!

 お前は本当に出来の悪い馬鹿で馬鹿な子供だったが、大人になってもそれか! 馬鹿のままか!!」


 そんな私達のやり取りを、アイサ達とフランソワ達がぽかんと見つめる中、――さんは、私のすぐ側までやって来て、振り上げた杖をぐっと構えながら私のことを睨み上げてくる。


 子供の頃は私よりもずっと大きく、強く、怖くて仕方のない存在だったのだが……今、こうして見てみると、小さくて、弱々しくて……そしてとても懐かしく思えてしまう。


 私がそんな――さんに対し、――さんが私に対し、それぞれ言葉を発しようとした……その時、恐らくは隠蔽魔法で隠れながら様子を窺っていたのだろう、アルナーが何も無い所からすぅっと姿を現す。


「……ディアス、大丈夫か?

 全員青だったからと黙って様子を見ていたんだが……荒事になるようなら手を貸すぞ」


 そんなことを言うアルナーの登場に、アイサ達が、メーア達が、――さんが驚き、困惑する中、私は頭を掻きながらアルナーに言葉を返す。


「ああ……荒事とかそういうことにはならないから大丈夫だ。

 ……この人はベン伯父さん。

 父の兄弟、兄にあたる人で……随分昔、父達が生きていた頃に、行方知れずになって……それで父達からは死んだものと聞かされていたのだが……どういう訳かこうして生きていたらしい」


 アルナーへと視線をやりつつ……伯父さんの様子をチラチラと見つつ、私がそんな説明をすると、伯父さんは目をクワリと見開いて、喉が張り裂けんばかりの怒鳴り声を上げる。


「だ、誰が行方知れずか! 挙句の果てに死んだとは何事だ!? 儂はこうして生きておるわ!!

 あ、あの馬鹿共め、何を思って儂を死人扱いしてくれたのだ!?」


 怒鳴り終えるなり伯父さんは、力んだせいで目が回ってしまったのか膝から崩れ落ちるようにして倒れてしまい、慌てて手を伸ばし……細い枝のようなその体をそっと支える。


 そうして私達は話をするにしても何にしても、続きは一旦ユルトの中に移動し、そこで伯父さんに休んで貰いながらにしようと、話をそこで切り上げるのだった。



 馬車の馬達と、メァーメァーと……腹が減ったと声を上げているらしいメーア達の世話を、近くで待機してくれていた犬人族達に頼み……伯父さんを支え、アイサ達を連れながら村の中へと入り、私達のユルトの中へと足を向ける。


 ユルトの中に入ったら、アイサ達には適当な場所に腰を下ろして貰って、ユルトの奥にそっと伯父さんを休ませて……その近くに私とアルナー、フランソワの三人で腰を下ろす。


 それからまずはと、伯父さんとアイサ達にアルナーの紹介をし、フランソワの紹介と……騒ぎを聞きつけたのか、ユルトの外からユルトの入り口からこちらを覗き込んでいるセナイ、アイハン、エイマ、フランシスの紹介を簡単に済ませていく。


 それからアイサ達を皆に紹介し……最後にこの場に居る皆の視線の集まっている伯父さんの紹介をする。


 父の兄で、神殿勤めをしていた人で、聡明であり厳しくもあり、幼い頃の私に様々なことを教えてくれていた人。


 両親も私に色々なことを教えてくれていたのだが、私の覚えが悪かった為か、いつからか両親だけでなく伯父さんも色々なことを教えてくれるようになって……そうこうするうちに一緒に同じ家で暮らすようになっていった……のだが、ある日突然居なくなり、それきり私達の家にも伯父さんの家にも帰ってこなくなり……何ヶ月か過ぎた頃に両親から死んでしまったと聞かされていたベン伯父さん。


 当然葬式も行われ、墓も建てられたというのに、まさか生きているとは……。


「そ、葬式に、墓までとは……。

 あんの馬鹿夫婦はまったく……」


 私の紹介……というか説明を受けて、そう呟いた伯父さんはがっくりと肩を落とす。


 そうしてなんとも言えない空気がユルトの中を包む中、ユルトの入り口からセナイとアイハンの声が飛んでくる。


「ねー、ディアスのお父さんとお母さんってどんな人だったの?」

「ディアスに、にてる? おじさんに、にてる?」


「ああ、いやいや、私とは似てないし……伯父さんにも似てない、かな。

 何をするにしてもおっとりとした……優しい人達だったよ。

 確か……神殿で働いていて、雑用とか小間使いをやっていると言っていたな。

 そんな感じの人達だったから、ちゃんとした神官だった伯父さんがとても立派に、格好良く見えたのを覚えているよ」


 と、私がセナイ達に言葉を返していると……力なく肩を落とす伯父さんの方から深い深い溜め息の音が聞こえてくる。


 そうして伯父さんは、私の方をじっと見て、呆れたような失望したような目になってから、ゆっくりと口を開く。


「……子供にちゃんと説明せんかったあいつらもあいつらだが、お前もお前だ、ディアス。

 普通一緒に暮らしておったら気付くだろうに。

 ……あいつらは東の大神殿の、五つしかない神官長の座の、第一席と第二席に座っておった神官長様達だぞ」


 そんな伯父さんの言葉に、王国のことをよく知らないアルナー達は何のことだかとぽかんとし……そして私とアイサ達は、驚きのあまりに何も言えず、ただただ唖然としてしまうのだった。


 

お読み頂きありがとうございました。



以下、お知らせです。


以前小説家になろうで掲載した短編『町民皆無 僻地宿場町のお奉行様』なのですが、連載版に改良し、『僻地宿場町のお奉行様 今日も妖怪変化相手に御沙汰を下し候』というタイトルで他サイト様での連載を開始しました。


連載開始した事情等は、4月17日投稿の活動報告『今後の活動についてのご報告』に書いてますので、そちらを見て頂けたらと思います。


領民0はこれからも変わらずに、むしろやる気増し増しで続けて、新作は新作の方で頑張っていきますので、どちらも応援して頂ければと思います。


新作に興味がある方は『僻地』と『お奉行様』という検索ワードで検索して頂ければと思います。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 実は由緒ある血筋だったのだー! 設定は本当に必要だったのでしょうか? 確かにこれまでの描写では血筋には触れておらず、孤児だったことしか分かっていませんでしたが、 血筋設定がある+大神…
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