今後の話し合い その1
各種族ざっくり解説
・犬人族
シェップ氏族長シェフ センジー氏族長セドリオ、マスティ氏族長マーフ、アイセタ―氏族長コルム
・鷹人族
次期族長サーヒィ 族長ホーラオ
・ニャーヂェン族
族長ソマギリ
・ゴブリン族
数人が領民に
・鼠人族
代表がエイマに決定
・人間族
軍事はクラウスとモント 魔法と相談役マヤ 外交エリー 酒場と宿屋とギルド長ゴルディア
・鬼人族
代表はアルナー
色々とまずいことになっているかもしれないとなって話し合いが行われることになったのだが、必要な人員を集める必要があるということで話し合いは翌日に行われることになった。
という訳で翌日、昼過ぎ。
子供達に聞かれることのないよう場所は酒場奥の談話室……どう見ても会議室のような風体で、木製の四角縦長な机と、その両脇に整然と並ぶメーアクッション付きの椅子が中央にあり、壁には伯父さんが集めた書物を入れた棚があり、いつの間に用意したのか地図までが張られたその一室に集まったのは、結構な人数だった。
まず私、エイマ、アルナー、犬人族の氏族長達、サーヒィ、ホーラオ、ソマギリ、ゴルディア、エリー、ナタリー、ベン伯父さん、マヤ婆さん。
領民となってくれたゴブリン族の長であるオルガス、クラウス、ジョン、ロルカ、リヤン、モント。
氏族それぞれの長と戦争に詳しい面々を集めたといった感じで……洞人族は興味ないと不参加、そんな話し合いを取り仕切るのはクラウスということになり、まずはクラウスがこんな第一声を上げる。
「ディアス様、今回の件を踏まえて出兵すべきと考えますか?」
「う~ん、どうだろうな……王都は遠いんだろう? いきなり私達が行っても驚かしてしまうだけだろうしなぁ、行かない方が良いんじゃないか?」
特に理由がある訳でもなくそう返すと、クラウスは頷いて……ジョン、ロルカ、リヤンもそれに続き、モントはため息を吐き出しながら口を開く。
「お前がそう言うんならそうなんだろうな。そうすると出兵以外の方法を取るしかねぇか」
そんな言葉に対して反応したのはエイマだった。
「えっと、あの、ディアスさんの一言で方針が決まっちゃうんですか? そりゃぁ領主様ですけど、今回みたいな重大な案件は皆で決を採った方が良いと思うんですけども……」
これにクラウスが返す。
「ああ、えっと、エイマさんの発言はごもっともなんですが、なんだかんだと言ってディアス様は歴戦の戦士なんですよ。
そしてディアス様のこういう時の判断力は抜群なんです、長年の経験がそう判断させているようでして……多分頭の中で色々考えたり過去の経験を引き出したりして、さっきの結論を出しているはずで侮れないんですよ。
ただディアス様はそれを言語化出来ていないだけでして……ジュウハさんでもディアス様の判断にはある程度従っていましたからねぇ。
従わない場合は、被害を覚悟しながらも必要だから仕方なく……という感じでしたから。
そういう訳で俺達全員、ディアス様の判断には従います、出兵するんだとしても何か別の手を打ってからでないと相当な危険が伴うことになるかと思います」
これにエイマは「なるほど」と呟いて自分の尻尾を撫でながら考え始め……そうして皆が黙り込んだ中、テーブルに肘をついて手に頭を乗せて、だらけた態度をとるモントが口を開く。
「そもそもよ、放置で良いんじゃねぇかな? 王都がどうなろうが知ったこっちゃねぇんだしよ。
新道派諸共、崩れてくれた方がありがてぇんじゃねぇか?」
それに対してベン伯父さんやゴルディアが言葉を返そうとするが、それよりも早く私が口を開く。
「あっちがおかしくなったらまた帝国とやり合うことになりそうだしなぁ。
それに……領民となったピゲル爺さんが困っているんだ、何かしらの動きはするべきだろうな」
我儘になってしまうのだとしてもこれは譲れないところで、出兵はしないまでも何か手は打っておきたいという私の考えに、モントを含めた皆が分かったと頷いてくれる。
と、そこで真っ直ぐに姿勢良く手を上げたのはソマギリだった。
耳も尻尾もピンと立てて、やる気満々といった様子だ。
「こういう時にこそ俺達にお任せください。
夜間に侵入し件の王子を誘拐し、この場に連れてきてみせましょう。
あとは薬草などで治療するなりピゲル爺に任せるなりしたなら、悪くない結果に繋がるかと思います。
実は王国王都に関してはある程度情報を有していまして……帝国時代に潜入作戦が考案されたことがあり、作戦のための情報は把握しているのです。
更にゴブリンの方々に協力してもらい海路から急襲をかければ、たとえ王都であっても造作もないことでしょう」
次に声を上げたのはベン伯父さんだった。
「待った、王都に入る場合は儂かディアスが一緒でなければ許可は出せんぞ。
王子だけでも厄介だと言うのに、更にイルク村の仲間までおかしくされたとなったら収拾がつかなくなる。
誰が敵で誰が味方なのか分からなくなるなんて状況は最悪だ。
聖地に対して明確な反撃能力を持つ者が同行しなければ誰であっても近付くことを禁ずる。
サーヒィ達でもダメだ、空だからと安心出来ると思うな……聖地とはそれ程に理不尽なのだ。
儂のような動きが鈍い者や、ディアスのような無駄に目立つ者を連れた上でそれが成せると言うのなら検討の余地はあるだろうな」
まぁ、それはそうだろうなぁ。
王子だって全く無警戒ではなかったんだろうし、護衛なんかも十分過ぎる程にいたはず、それでもダメだったとなるとソマギリ達でも厳しいものがある。
王都から帰ってきたとしてそれが正気なのかどうか判断出来ないとなると……混乱だけでは済まない事態になるだろうなぁ。
と、そんなことを考えていると頭を抱えていたゴルディアが声を上げる。
「……実は王子の側に、ギルドのもんを潜り込ませていたんだ。
ナタリーはそいつらにも王都から出るよう話をしてくれてたみてぇだが……結局返事が来ることはなかったらしい。
今回の話を聞いてすぐさま手紙を書いてギルドの幹部連中に、細かい事情は書かずに王都を警戒するよう伝えたが……それで間に合ってくれるかはなんとも言えねぇ、と言うか既に何人か身内もやられているかもしれねぇな。
そんな状況にあるギルドの長として言わせてもらうと、無謀な潜入はやめておけ、ギルドの二の舞いにはなりたかねぇだろ」
……どうやらゴルディア達は大変なことになっているらしい。
昔の孤児仲間達は全員ナタリーの忠告をしっかり聞いて、それぞれの方法で王都を離れているそうだが、ギルドの全員という訳にはいかなかったようだ。
本当なら今すぐにでも助けに行きたいのだろうけど、さっき伯父さんが言った理由で行くに行けず苦悩しているようだ。
そうなると王子だけでなく、そういった面々の救出もしたい所だが……簡単にはいかないだろうなぁ。
結局一番の策は……、
「聖地をなんとかするのが一番なんだろうがなぁ、小メーアにそれはしてくれるなと念押しされたんだよなぁ。
その代わり小メーアの方でも対策を考えてくれているらしいから、それを待つのも悪くないだろう。
……とりあえず焦って行動しても良い結果にはならないだろう、今はいつも通りに―――」
と、私がそう話していたその時だった、神殿の警備を担当しているパトリックがノックの後に入ってきて、声を上げる。
「報告です、隣領からゲラント殿が来訪、翌日ジュウハ殿が来訪し今後の対応を相談するとの旨を知らせてくださいました。
またジュウハ殿から早まった真似はしないで欲しいとの伝言も預かっているようです」
その報告を受けて私達はお互いの顔を見合い……今日の話し合いはこれまでだなと察する。
続きは明日、同じ面々にジュウハを加えてとなることだろう。
ジュウハなら良い考えがあるのかもしれないし……そう言う訳で今日は解散ということになり、第一回の話し合いは終了となるのだった。
お読みいただきありがとうございました。
次回ジュウハ来訪です




