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領民0人スタートの辺境領主様  作者: ふーろう/風楼
第十五章 雪原を駆ける

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子供達の連携力


 久しぶりにした昔話は予想外に好評で、そしてこれまた予想外の影響を残すことになった。


 子供達があの話に影響されて、変わった遊びを始めた……と、ここまでは予想の範疇だったのだけど、その遊びの方向性がなんとも意外なものだった。


 戦争や戦いに憧れるのではなく、知略戦というか駆け引きというか、連携しての集団行動に憧れを抱いたようで、それっぽいことを真似し始めた。


 賢い子が作戦を考えて仲間を動かし、それに対する子達も作戦を考えて対応し。


 そうやって相手の裏をかくというか奇襲をするみたいなことに憧れたようで、あれこれとやっていたのだが……中々上手くいかないというか空回るというか、子供の考えたことでもあるので上手く噛み合わず、思った通りに楽しむことが出来ていなかった。


 そこで私達で遊ぶためのルールを作ってあげると、そのおかげで子供達のやりたいことが形になっていき……そして村の子供達の中でそのごっこ遊びが流行することになった。


 お互いに守るべき場所や物を決めて、見守り役の大人が見守る中それを取り合う。


 直接的な攻撃などは禁止で、相手の帽子の上や背中にある毛玉に触れたら攻撃成功と見なし、攻撃を受けてしまった子は一旦退場、次の開始まで休憩とする。


 あえて雪で障害物を作り、そこに隠れられるようにし、それによって奇襲とか作戦とかが成り立つようにし……そこから喧嘩に繋がったりしないよう、遊び終わったら一緒に片付けをし、食事をし、休憩というか昼寝も一緒にするようにと、ルールを定めた。


 まぁー……村の子供達は元々仲良しばかりでめったに喧嘩なんてしないのだが、それでも念の為そうしたのだが……その結果はこれまた意外なものだった。


 子供達がより仲良くなった、というかより強い信頼感をお互いに抱くようになったようだ。


 友達というよりも仲間、戦友というような感情で繋がって……犬人族だからなのか、日常のなんでもない所でもその信頼感でもっての連携をするようになった。


 家事の手伝いや、遊び道具の片付け、お互いの毛繕い……などなど、今までは自由気ままにやっていたことをきっちりと連携し、お互い助け合って行い……まさかこんなことになるとはと心底驚かされた。


 だけどもまぁ、本人達はそれを楽しんでいるし、大人達もそれを歓迎しているから悪いことではないのだろう。


 むしろ犬人族の大人達は、子供がそうなってくれたことを多いに喜んでいるようだ。


「うんうん、これでこそシェップ氏族! 子供のうちから立派だなぁ」


 と、シェフ。


「群れが何であるかをよく理解している……こんなにうれしいことはない」


 と、セドリオ。


「嬉しい、本当に嬉しい、立派な大人になってくれた」


 と、マーフ。


 各氏族長だけでなく、犬人族の大人達全員が似たような感想を抱いているようで……今度暇を見て、そのことをお祝いする、各氏族ごとの宴を開催するそうだ。


 そして……そんな子供達の成長は犬人族だけでなくセナイとアイハンにも影響を及ぼし、色々と刺激を与えることになったようで……2人の趣味でもある狩りに結構な変化が現れた。


 セナイとアイハンの狩りは以前から皆との連携を前提としたものだった。


 サーヒィ達鷹人族に手伝ってもらうし、犬人族にも手伝ってもらうし、暇な大人がいれば大人にも手伝ってもらうし……私やアルナーが手伝うこともある。


 だが今の狩りはその以前のやり方とは全くの別物となっているそうで……サーヒィからそんな報告を受けた私は、セナイとアイハンの狩りがどう変化したのかを自らの目で確かめるべく、狩りに同行することにした。


 という訳でよく晴れた日の昼過ぎ、しっかりと準備をし戦斧を担いで狩りに向かうセナイ達についていったのだが……もう何と言うか、出発時点で大きな変化があった。


 セナイとアイハンはいつも通りの冬服に矢筒を背負い、弓を体にかけるという格好で、シーヤとグリ……愛馬に騎乗している。


 シーヤとグリの鞍には棒を差し込む筒がつけられていて、そこに差し込まれた棒、とまり木の上にサーヒィの姿があり……更に鞍からは何個かの縄梯子のようなものがぶら下げられていた。


 最初それを見た時、鞍に乗りやすくするためのものか? なんてことを考えたけど、それにしては小さく、あんなもの一体何に使うのだろうと首を傾げていると、犬人族達のうち小柄な者達や子供が馬の側に駆け寄ってきて……ぴょんと飛び上がってその縄梯子に手や足をかけぶら下がり始めた。


 左右2人ずつでそれぞれ4人。


 しっかりと縄梯子に手足をかけてぶら下がり、その状態で鼻をすんすんと鳴らし……どうやらあのまま狩りを手伝うつもりらしい。


 あんな風にして危なくないかとか、しっかり手伝えるのかとか、色々と疑問はあったけども何も言わず、私も愛馬……ベイヤースに跨り、何も言わずにセナイ達の後を追う。


 村を離れて雪原を駆けて移動し……ある程度移動して、この辺りになら獣がいるのではないかとなったら、まずサーヒィが飛び上がる。


 それから空の目による捜索が始まり……獲物を見つけたらしいサーヒィが降りてきて止まり木に止まり、報告の声を上げる。


「黒ギーの群れだ、全部で5頭。

 ……野生のメーア達が雪を掘り返して作った餌場を横取りしてやがったぜ」


 黒ギーと聞いて狩ろうかどうしようか迷っていた様子のセナイ達だったが、メーアの餌場を横取りしたと聞いて目を細め、狩る決意をして弓を手に取り、弦の調子を確かめ、矢筒から矢を抜き始める。


 そんなセナイ達の様子を見て縄梯子の犬人族達は、バッと手を放して雪に着地し、そのまま駆け出し黒ギーの方へと迫る。


 それを追いかける形でセナイ達も馬を駆けさせ……そうして子供達による黒ギー狩りが始まる。


 今回サーヒィは見守り役となる、狐とかならまだしも黒ギーを相手するにはドラゴン装備が必要になるからだ。


 犬人族達は追い込み役、吠えて追い回し、黒ギー達を逃さないようにしながら、セナイ達が狙いやすい場所へと誘導する。


 そしてセナイ達が騎乗から矢を放ち……黒ギーの胸辺りに矢を当て、見事にしとめていく。


 混乱した様子の黒ギー達を1頭、2頭と仕留めた所で、残りの黒ギー達が逃げ出し、すぐさま犬人族達がセナイ達の下に駆け寄り縄梯子へとぶら下がる。


 するとセナイ達はシーヤとグリを即座に駆けさせ、黒ギーを追い回し……ここだというタイミングで犬人族達はまたも縄梯子を手放して雪原を駆け、セナイ達の狩りをなんとも上手に手伝っていく。


 合流と離脱を何度も繰り返し、馬の脚と犬人族の鼻と連携力をいかんなく発揮し……サーヒィの目もあって、黒ギーが逃げ切ることはまず不可能だ。


 1頭1頭確実に仕留めていき……あっという間の5頭、私がジョー達と連携したとしても、ここまで上手くやれるかは怪しい所だ。


 何しろ狩りの間、セナイ達はほとんど言葉を発していない。


 言葉を発していたのは黒ギーの位置や逃亡先を知らせるサーヒィばかりで、セナイ達も犬人族達もほぼ無言のまま、視線や態度での連絡と連携を成立させていた。


 ……まさかごっこ遊びで鍛えた連携力がここまでになるとは……。


「ディアスー! やったよー!」

「ぜんぶいちやで、しとめたよー!」


「ディアス様! どうです? どうです?」

「オレ達がんばりました!」

「今日はごちそうですね!」

「たくさん食べれますね!」


 そしてセナイとアイハンと、8人の犬人族達はそんな声をかけてきて……私はそれを受けて子供達に、思いつく限りの褒め言葉をかけてやるのだった。


お読みいただきありがとうございました。


次回はこの続き、その後の子供達です

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― 新着の感想 ―
相変わらず黒ギーの地位が低すぎて笑う メーア種との差が酷いよな 銀狼の話のときも思ったが、野生に関しては手を出すべきじゃないと思うわ
[一言] これ、子供たちの間で班を作って順番について行くんでしょうけど 当然班ごとで優劣がついてしまって、どんどん高め合って行って そのうち子供チームでモンスターくらい簡単に蹴散らしちゃうんでしょうね…
[一言] なるほど、こういうことね(≧▽≦)。<犬人の子供達が自立型ファンネル・ビットみたいだ(爆) サーフィてば、ドラゴン装備なら、黒ギー狩れるんや(^_^;)。
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