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領民0人スタートの辺境領主様  作者: ふーろう/風楼
第三章 領主様、奮闘す

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正体不明の

投稿が遅くなってしまい、誠に申し訳ありませんでした。

今月はこんな感じのペースが続いてしまいそうです。



※10月19日に生命感知魔法に絡んで後半を大幅修正しました。


 最後の一つとなった葉肥石を砕いて磨り潰して壺の中に流し込み……本当にこれで最後かな? と葉肥石の入っていた革袋を持ち上げる。


 明らかな軽さを感じながらも、一応念のために袋を逆さにして振っての確認をして……良し、間違いなく空っぽだ。


 空となった革袋を放り投げ、やれやれ、やっと終わったか……と、一つ溜め息を吐いて両手を空に向かって振り上げ、ぐっと体を伸ばす。


 そうしながら天を仰ぎ太陽が昇りきった青空を眺めて……そのまま倒れるように広場に寝転がって……全身の力をゆっくりと抜く。


 葉肥石を砕き始めて今日で……五日目か。


 作業の途中で、壺の中を覗き見たセナイとアイハンに「これで粉? まだ石だよ?」なんてことを言われてしまって、慌てて壺の中を確認し……実際その指摘の通りに砕き方が荒かったので、壺の中身を取り出しての砕き直しをしたりして……それで五日で終わったならば早い方だと思う。


 あー……しかし私の腰に五日は長かったというか、連日の座りっぱなしの作業のせいで、腰骨自体が曲がってしまったのではないか、と思えるくらいに腰にキてしまっているな。


 しばらくはこのまま寝転がったまま、腰を伸ばしたままで、体を休めていたい……が、どうやらそうするのは無理のようだ。


 何しろ強張った顔のアルナーが、その額の角を緑色に光らせながら……感知魔法を発動させながらこちらへと駆けてくるのだから、それどころではないだろう。


 寝ている場合では無さそうだと直ぐ様に跳ね起きて、肩を回し、腰を捻り……と体を解す私の側へと駆け寄って来たアルナーは、なんとも歯切れの悪い様子で声をかけてくる。


「ディアス。

 東からこちらに近付いてくる反応がある。

 数はー……複数……で、多い……と思う」


 アルナーには珍しいその妙な態度に、私は訝しがりながら言葉を返す。


「アルナー……なんだか今日は妙に自信無さげだが……どうかしたのか?」


「ん……いや、なんだか変な感じがしてな。

 感知魔法はしっかりと発動しているのだが、どうにも数がはっきりしないというか……。

 まず人が複数、それと馬が多くて……馬じゃない何かが居て……それ以外にも何かがー……複数居るのかもしれない」


 ふぅむ?

 誰かが来たと聞いて、もしかしてカマロッツが約束の農具を持って来てくれたのか? とも思ったが……馬が多いというのが気にかかるな。


 農具を持ってくるだけなら馬車は一台で済むはずだし……馬ではない何かを連れているというのも妙な話だ。


 カマロッツ以外の誰かとなると……盗賊だとかの類だろうか?


「……その連中との距離と、連中の移動速度はどのくらいのものだ? 急いだ方が良さそうか?」


「いや、移動速度は遅いし、距離もまだ遠いから余裕はある。

 急ぐ必要があるなら、こんな風に悠長に構えていないでディアスの尻を叩いてでも急がせていたさ」


 ……ああ、うん。それはなんとも……頼もしい限りだよ。


 時間があるならまずはこの壺を片付けて、それから装備の準備をして……ああ、それとセナイとアイハンに一声かけておくとしよう。

 無断で村から居なくなったりしたら、後で何を言われるか分かったものではないからな。


 そうした旨をアルナーに伝えて……分かった、と頷いてくれたアルナーと共に、壺やらを倉庫にしまい込み、セナイとアイハンと、それと村の皆に何者かが来たようだから少し出かけるとの事情の説明をしていく。


 そうしてユルトへと戻り鎧を身に着け、戦斧を担ぎ、遠眼鏡を一応持っていこうと用意してー……っと、ん? んん? 一体何故アルナーまで身支度をしているのだ? それにその化粧は……。


「……アルナー、何故戦化粧をしているんだ……?

 それに弓と矢筒まで用意して……」


「それは当然私も一緒に行くからだ。

 相手が敵かもしれず、しかも数がはっきりしないというのに、ディアス一人だけを行かせる訳にはいかないだろう。

 ……たとえディアスが駄目だと言っても私はついていくぞ」


 そう言うアルナーの目はいつも以上に真剣で、そして少し瞳が揺れていて……。

 まぁ、アルナーの魔法があれば色々と便利なのは確か……だな。


「そうか……アルナーが一緒に来てくれるなら頼もしいよ。

 それと、心配してくれてありがとうな」


 私のその言葉にアルナーは目を丸くして、それからしばし沈黙し……そして手に持つ矢筒でもって軽く私の尻を叩いてくる。


「んん!?

 アルナー、いきなりどうした……? って、ああ、そうか、急いだ方が良いのか?」

 私がそう言うとアルナーは無言のまま二度三度と私の尻を叩いて来て……ああ、分かった、分かったから、急ぐから! そう何度も尻を叩かないでくれ……!





 アルナーに尻を叩かれながら村を飛び出し……アルナーの感知魔法を頼りにしながら草原を東へと駆ける。


 広い草原を思いっきりに駆けながら、背を押してくる草原の風の心地よさを堪能していると、私のすぐ隣を駆けるアルナーが、


「近いぞ! そろそろ見えてくるはずだ!」


 と、声を上げる。


 アルナーのその声を受けて足を止め、息を整えた私は、あちらの方から来るぞと、アルナーが指し示した方向へと遠眼鏡を向けて覗き込む。


 遠眼鏡の向こうには、肉眼では見えなかった何人かの姿と何台かの馬車の列が見えて……列の先頭を走る幌馬車の御者台に居るのは……なんだ、あの服装とあの顔はカマロッツじゃないか。


 カマロッツが御する馬車の周囲には護衛と思われる何人かが居て、その後に二台の馬車が続き、列を作りながらの移動をしていて……いや、最後尾の馬車を引くアレはなんだ? 馬では無いようだが……。


 白い毛に覆われた牛……のような、何処か黒ギーを思わせる獣……。


「……どうかしたのか?」


 その牛のような獣に気を取られて、遠眼鏡を覗き込んだまま何も言わないでいた私の様子が気になったのか、アルナーがそう話しかけて来て……私はどう説明したものかと迷い……見て貰った方が早いかと無言のまま遠眼鏡をアルナーに手渡す。


 アルナーは遠眼鏡を受け取ると直ぐ様に覗き込んで、


「なんだ、あれはカマロッツじゃないか、そうならそうと言えば良いだろう?

 ……ん? ああ、なるほど、白ギーを連れていたのか……。馬以外の妙な反応の正体はあれだな。

 護衛の数も多いし、荷物も多いし……それで感知魔法がおかしな反応を示していたのか」


 と、声を上げる。


 ああ、あの黒ギーによく似た獣は白ギーという名前なのか。

 黒い毛の黒ギーに、白い毛の白ギー……。まぁ分かりやすくはあるか。


 黒ギーとそっくりと言えなくもない体付きの白ギーだが、しかしはっきりと遠目で見て分かるくらいにその顔は優しげで、大人しそうというか、凶暴さを微塵も感じない辺り、黒ギーとは別の生き物だということが分かる。


 まぁ、暴れることなく大人しく馬車を引いているくらいだから、見たままの通り大人しい獣なのだろう。


 と、私がそんなことを考えていると、遠眼鏡を覗いていたアルナーが突然ピクリと体を震わせて、何かを遠眼鏡の向こうで見つけでもしたのか、その体を、顔を、遠眼鏡を、前へと突き出し始める。


「……ディアス、あの列の二台目の馬車……。

 あの馬車に何かが乗っているみたいだ。荷台の方でチラリと……小さな何かが動いているのが見えた」


 前へと突き出した遠眼鏡を覗き込んだままのアルナーのその言葉に、私はうん? と首を傾げる。


 小さい何かとは一体……?


「結構な数がいて……どうやら馬車の荷台からコソコソと外の様子を窺っていたようだが……今はもう見えなくなってしまったな」


 ふーむ……?


 農具を持ってくるだけのはずのカマロッツがああして馬車の列を率いているのもおかしな話なのだが、その上誰かを、小さな誰かを乗せて来たというのもまたおかしな話で……ならばと私はアルナーに、


「ここであれこれ悩んでいても仕方ない、カマロッツに事情を聞いてみるとしよう」


 と、声をかける。


 するとアルナーは、それもそうだな、と言葉を返してくれて……そうして私はアルナーと共にカマロッツ達の下へと歩いていくのだった。


お読み頂きありがとうございました。


続きに関してなのですが、未定、ということにさせてください。

ですがなるべく1週間以内の投稿を目標にして作業を進めていきたいと思います。


投稿の目処が立ち次第に活動報告か、後書きに追記をしての投稿時期の報告をさせて頂きたいと思います。


※追記

次回投稿は20日を予定しています。




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― 新着の感想 ―
[一言] 黙っていなくなると、怒ったり拗ねたりするらしいセナイとアイハンとか、心配だから意地でも随伴すると言ったら、思いの外素直に礼を言われて、照れて無言で矢筒でディアスの尻を叩くアルナーが尊い(* ̄…
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