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領民0人スタートの辺境領主様  作者: ふーろう/風楼
第十章 皆で頑張る快適な暮らし作り

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ゴルディアという男

・登場人物紹介


・ゴルディア


 男、年齢はディアスと同じ程度。

 ディアスの孤児仲間で、戦争に向かったディアスに後を任され、孤児達を率いて孤児達の互助組織ギルドを設立した。

 ギルド運営の他、酒場の経営などもしていて……背は低いががっしりとした足腰でもってディアスともある程度まで渡り合う腕の持ち主


 イルク村西側の、第二の迎賓館となるユルトはゾルグ達が手早く建ててくれて……馬車を使って東にある迎賓館から家具などをそちらに移して、見栄えが良いように配置していって。


 と、そんな風にロルカ隊と何人かのシェップ氏族の若者に手伝ってもらいながら、獣人国からやってくるというお偉いさんを歓迎する準備をしていると、ガタゴトと騒がしい音がユルトの外から響いてくる。


 それを受けてもうやってきたのか!? と、驚きながらユルトの外へと顔を出すと、獣人国のお偉いさんではなくゴルディアとアイサとイーライの姿があり……今の音はどうやら三人が乗っていた馬車の音だったようだ。


「向こうでの用事はもう済んだのか?」


 反乱鎮圧のために私達と一緒に隣領に向かったゴルディアとアイサ達は鎮圧後も、ギルドの仕事をするからと隣領に残っていて……当分は帰ってこないものと思っていたのだが、なんとも予想以上に早い帰還となり、馬車に駆け寄りながら私がそう声をかけるとゴルディアは馬の世話をしながら言葉を返してくる。


「とりあえず俺に出来ることは済んだ感じだな、後はギルドの職員達がなんとかしてくれるだろうよ。

 俺も良い年で若い連中を後継として育てる必要があるからな、必要最低限の仕事以外は若いのに任せることにしてるんだ」


「はぁー……なるほどな。

 しかしそれならイルク村で待っていてくれたら良かったのに、何だってこんなとこまでやってきたんだ?」


「そりゃぁお前、途中ですれ違ったエリーからお前のことを頼むなんてことを言われたからだよ。

 その上、村ではお偉いさんが来るとか騒ぎになってやがるし……そういう訳で慌ててこっちに来てやったんだぞ?

 ……隣国のお偉いさんってのはあれだろ? エリーが商談を持ちかけた投資のお相手なんだろ?

 なら俺やアイサやイーライのような生粋の商人がいても邪魔にはならねぇはずさ」


「……ゴルディアが生粋の商人というのは、なんだか凄い違和感があるなぁ」


「なんだとこの野郎!?」


 なんて会話をしたならアイサとイーライにも礼を言い、そうしてから作業を再開させる。


 棚を倉庫にしまっておいたラデンの器などの調度品で飾り、ユルトの最奥にメーアの横顔旗を飾り、中央にはテーブルを置いて椅子を並べて……隣にもう一つユルトを建てて、そちらに簡単な竈なども作り……そうこうしているうちに日が沈んで夕方となって、私達はそこで作業を止めにしてイルク村に戻ることにした。


「……んで、このユルトはどうするんだ? このままにしておくのか?

 色々と高価な品も置いちまったし、流石に見張りを立てた方が良いと思うが……」


 帰ると決めてユルトから出て戸を閉めて……そうしていざイルク村へと向かって歩き出そうとしていると、またもゴルディアがそう声をかけてくる。


「あー……家具だけならまだしも、調度品まで飾ったからな……夜警担当の犬人族の誰かに、ここに泊まってもらうとするかな。

 こんな所で盗賊も何も無いだろうが……万が一野生の獣に壊されでもしたら事だからなぁ」


 野生の獣がユルトを襲うなんてことは聞いたこともないし、今までに起きたこともないことだが……それでもまぁ、気をつけておくに越したことはないだろう。


 万が一のことでもそんなことになったら、お偉いさんを歓迎するどころでは無くなってしまうしなぁ。


「そういうことならこちらで何人か見張りを出しましょうか? 一晩程度なら徹夜だとしても問題なくこなしますよ」


 なんてことを考えているとロルカがそう言ってくれて、私がそれに返事をしようとするよりも早くゴルディアが声を上げる。


「それじゃぁ見張りには俺が隣領で仕入れた特別な品を譲ってやるよ。

 いくら訓練しているからっていきなり徹夜しろじゃぁ可哀想だからなぁ……上等なチーズと塩漬け肉と、これまた上等なワインを数本。 

 それらがありゃぁ一晩どころか二晩だってご機嫌で過ごせるだろうさ」


 するとロルカ隊の面々が色めきだって、誰が見張りに立つのかと半ば取り合いのような話し合いを始めて……上等なチーズという部分に惹かれたのだろう、手伝ってくれていたシェップ氏族達は話し合うこともなく頷き合って、全員が一斉に駆け足で迎賓館の中へと戻っていく。


「……ゴルディア、お前なぁ……」


 そんな様子を見やりながらゴルディアに対しそんな声を上げると、ゴルディアは「ふふん」と鼻を鳴らしてから胸を張り、にやつきながら言葉を返してくる。


「これはこれで商人のやり方なんでな……魅力的な商品で相手を動かし、夢中にさせ、常連になってもらって、何度も何度もその商品を買ってもらう。

 そうやって何度も何度も買ってもらえれば生産者も安定して儲かるようになって、値下げ交渉にも応じてくれるようになって……誰もが幸せになれるって訳だな。

 俺ぁ、ギルドの運営ついでに酒場の経営もやってたからなぁ……ここら辺に関しちゃぁお手の物よ。

 品を見る目も当然優れていて、良いチーズと良い肉と良いワインだけを買ってきたからなぁ……これから来るお偉いさんだって満足させて見せらぁ」


 そんなゴルディアに私は色々と言いたくなるが……ロルカ隊の面々とシェップ氏族達が喜んでいるのは確かなので、何も言わずに言葉を飲み込む。


 するとゴルディアは一段と得意げな顔をしてきて、張った胸を更に張ってきて……そんな様子を見てか、ロルカが笑いながら口を開く。


「ディアス様の孤児仲間と聞いてどんな方なのかと思っていましたが、いやはや立派な方じゃぁないですか。

 エリーさんもそうでしたが、商売に対し真摯で真面目で、それでいて頼りになる商人というのは稀有ですからね……そういう商人相手なら財布の紐も緩みますし、気分よく金を使うことが出来ますよ。

 ……俺はこれでも酒は好きなほうなんで、今後の仕入れには期待させてもらいますよ」


「こちらとしても羽振りと人柄の良いお客様は大歓迎ですよ。

 良いワインと良いチーズならまだまだ馬車に積んであるので、村に戻ったらぜひぜひ、金貨を握りしめて足を運んでくださいな」


 するとゴルディアがそんな風に……私と話す時とは全く違う、別人かと思うような調子で言葉を返して、そうしてロルカとゴルディアは二人で笑い合う。


 笑い合ってそのまま商談を始めて、商談をしながらイルク村へと向かっていって……私とアイサ達は、そんな二人の様子を苦笑しながら見やり……追いかける形で歩を進めていく。


 ……ゴルディアと出会ったのは私が孤児になったばかりの頃だった。

 まだ仲間も少なく、仕事も少なく、何もかもを持っていない……一番辛い思いをした時期だった。


 その頃のゴルディアは暇さえあれば物陰に隠れながらこっそりと道行く人々を眺めていて……普通に食事をし、当たり前のように湯を浴び、我が家へと帰り、ぐっすりと眠りにつくであろう人々を羨み、妬み続けていた。


 どうして自分はこんな目に遭うのか、あそこにいる人達と何が違うのかと、そんなことを口にしながら……。


 そしてそうした想いがあったからこそゴルディアは、仕事をしたなら一番真面目に働いたし、金が手に入ったなら誰よりも喜んだし、仲間達……年下の子供達をそんな目には遭わせまいと誰よりも本気で日々を生きていた。


 その結果がギルドの長という立場で、今のゴルディアを作り出している訳で……今もきっと同じような想いが心のどこかにあるのだろう。


 そう思えばまぁ、ゴルディアの好きにさせてやるかという気持ちも湧いてくるもので……私はそのままイルク村まで、何も言わずにゴルディアの背中を追いかけ続ける。


 するとゴルディアはイルク村につくなり、


「しばらくはまぁ、この村と隣領を行き来することになるんだし、ここに立派な酒場を建てるのも悪くねぇかもなぁ。

 客は十分にいるし……質の良いものをそろえたら相当な稼ぎになってくれそうだしなぁ」


 なんてことまで言い始めてしまう。


 それを受けて私は、流石にそれには言いたいことがあるぞと腕を捲くり……ゴルディアとの、何度やったかも分からない『話し合い』をすべく、大股でのっしのっしと距離を詰めていくのだった。


お読み頂きありがとうございました。


次回こそペイジン登場、となります。


そしてお知らせです


まずは1つ目。

コミカライズ最新32話がコミックアース・スターさんで本日公開となりました。

サンジーバニーを飲んだエルダンのその後……が描かれていますのでぜひぜひチェックしてみてください。


そして二つ目、小説第7巻、発売まで後二日となりました!

明日辺りには書店に並び始める……かもとなっていまして、興味のある方はぜひぜひチェックしてみてください。


そういう訳で今回も宣伝を兼ねた口絵公開です


挿絵(By みてみん)


今回はディアスVSスーリオ


余裕のあるディアスの手と、防御に必死なスーリオの手が見どころの1枚となっています!


書籍では口絵は大きく広げて眺めたりできますので……手にとってくださった方はじっくり眺めてみてくださいな!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] レモンみたいな酸味を輸入すれば、メーアバダルでもチーズが作れるんですけどね。 ミルクはいっぱいあるんだし、ミルクのままじゃ保存効かないし。 [一言] 酒場なんてできたらアルナーが通い詰…
[一言] 要するに昔馴染みの喧嘩仲間ってところですかねぇ ディアスと殴り合える辺り『並』ではないんでしょうねぇ ただ周りは呆れて見てそうですけどねw
[一言] 後書きの7巻カラー口絵。カットイン右上のスーリオの必死の表情に同左上のディアスの余裕の笑みが見どころ…… じゃなくて、中央で額をぶつけあっているディアスの「ぴこーん」と光る目が怖いってw
感想一覧
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