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領民0人スタートの辺境領主様  作者: ふーろう/風楼
第九章 二年目の春、飛躍の季節

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辺境領主様の新装備

・ディアスの周辺にある不思議アイテム紹介


・戦斧

 獅子の顔の意匠のある戦斧、損傷を自動で修復する力があり手入れが一切必要ない。また強く念じることで修復速度を上げることが出来る。ディアスが愛用している。


・火付け杖

 宝玉を掴んだドラゴンが絡みついているという意匠の杖、その先端から火を吹き出す、竈の着火に便利。ディアスが使うこともあればベンが使うこともある。


・サンジーバニー

 メーアモドキがディアスに手渡した、どんな病気でも治すとされる不思議な薬草、ディアスやエルダンがその薬効によって体調を回復させた。広場の畑に種が植えられており、すくすくと成長中。

 悪意を持って使用したり売ったりすると枯れてしまうらしい? セナイとアイハンが管理している。


・謎の石

 メーアモドキがセナイとアイハンに手渡した、謎の石。

 溶かして鉄に混ぜると効果が発揮されるらしい? ナルバント達が工房で使用していた。


・毒のナイフ

 鞘にサソリの意匠があるナイフ、狙った対象だけの魔力を乱し、体調を悪化させることが出来る。いざという時の備えとしてベンが所有。


・投げ斧

 黄金色で縞模様の猫のような模様のある投げ斧。念じるとそれだけで手元に戻ってくる、投げやすさを優先した形となっている。ディアスが常に携帯している。


 武器はいつもの戦斧と、ネハから貰った投げ斧。

 両手でもって戦斧を持ち、投げ斧はアルナーが作ってくれた革鞘に納めておく。

 

 防具はナルバント達が作ってくれた全身鎧と兜を身にまとい……そんな感じの装備でウィンドドラゴンを見かけたという北部へ向かって歩いていく。


 ナルバントが私の鉄鎧を元にして作り直してくれた全身鎧は、以前のものとは全くの別物へと進化していて……私の全身をほぼ完璧に、手の指一本一本までを隙間なく覆う形となっている。


 そんな風に隙間なく覆ったりしたなら動きにくくなりそうなものだが、そんなことは全く無く……私が走ってもしゃがんでも、腰を捻っても邪魔になるようなことはない。


 どこを取ってもその動きは滑らかで静かで、パーツ一つ一つがまるで生き物かと思うように動く仕組みになっていて……よくもまぁこれほどの物を作り上げたものだと驚かされてしまう。


 鎧がそんな風に動いてくれるのは、肘や膝など関節部分や、手の指やつま先などの細かく動く部分が、以前に見せてもらった仕組み……蛇の腹のような作りになっているからなのだろう。


 鋲で止められた何枚もの金属板が綺麗に折り重なっていて、その板の動きを制御するための溝が作られていて、私が腕を曲げるとそれに合わせて、溝に促されるままに滑らかに動き……そのおかげで耳障りな金属音は無く、動きの邪魔になるような抵抗感も無く、これは本当に金属鎧なのか? と、そんな疑問を抱いてしまうほどだ。


 全体の重量としてはかなりのものとなっているそうだが、その重量が鎧全体と言うか、私の全身に分散するような形となっているためか、負担も思った程ではないし……以前の鎧とは比べるのも失礼なくらいの、完全な別物となっている。


 ……とまぁ、そんな風に褒めようと思えばいくらでも褒められるこの鎧にも一つだけ欠点というか問題点があって……それは鉄鎧だったはずの、地味な鉄色をしていたはずの鎧が、驚く程に派手で思わず着用するのを躊躇ってしまうような、赤みを帯びた金色となってしまっていることだろう。


 純粋な金色ではなく、遠目で見ても分かる程度に赤みを帯びていて……金赤色とでも呼びたくなるような、そんな独特な色に仕上がっている。

 

 赤銅によく似ているというか、より輝きと金色を増させた赤銅というか、そんな色となってしまったのは……例の不思議なメーア、メーアモドキから貰った石のせい、なんだそうだ。


 ナルバントが言うには、鉄にあの石を混ぜ込んだことで出来上がった合金は、出来上がったばかりの頃は普通の鉄とほぼ変わらない、鈍い鉄色をしていたらしい。


 見た目は鉄とほぼ同じなのだが、不思議と鉄よりも強度があって……その時点では、鉄よりも難しくはあるものの、普通に加工出来るレベルの代物だったようだ。


 ところがこの合金には不思議な力……というか特性があったようで、まず太陽の光に当てておくと、太陽の光を吸収でもしたのか、その色をどんどんと変化させていくらしい。


 そんな風に太陽の光を吸収させただけならただ色が赤く変わるだけなのだが、更にこの合金は触れている者の魔力まで吸収してしまうんだそうで……そうやって太陽の光とナルバント達の魔力をたっぷりと吸収すると、今のような金赤色になってしまうんだそうだ。


 そうなると途端にこの合金は厄介な代物と成り果てるんだそうで……この合金がなんらかの攻撃を受けそうになると、魔力を放出することでそれらを防ぐ……というか弾こうとするという、とんでもない力を持ってしまうんだそうだ。


 そのせいで槌を弾くわ、炉の熱を弾くわで……これが鎧の完成が遅くなってしまった最大の理由、ということらしい。


 何度も何度も、力いっぱいに槌を振るっても炉にくべても、溜め込んだ魔力でその衝撃と熱を弾いてしまって……そうやって魔力を吐き出したなら、吐き出す程に元の鉄色へと戻っていく。


 元通りの鉄色に戻ったなら槌や熱を弾くことはなくなるのだが、戻った瞬間からまた太陽の光と魔力を吸収し始めて……十分に吸収したらまた魔力の放出をし始めてしまう。


 太陽の光か魔力か、そのどちらかが不十分となると、途端にその特性は失われるとかで……試行錯誤の果てにそのことに気付いたナルバント達は、急いでレンガを積み上げ、木材で補強しての作業場を作り、作業場の壁の隙間という隙間を泥で塗りつぶすことで太陽の光を遮り……その作業場と夜の闇を上手く活用することで、この合金を加工できる環境を作り上げることに成功したんだそうだ。


『長年鍛冶師をしてきたオラ共だけども、こんな合金が存在しているとは初耳も良いところじゃったわい。

 それでもまぁ、こうして出来上がってみれば……防具としてはこれ以上ない性能になったとも言える訳じゃのう。

 ……この合金をあえて名付けるならば……そうじゃな、古い言葉から取ってオリハルコンといった所かのう。

 太陽が空にあり、魔力を込めてくれる者が側におる限り、このオリハルコンの鎧はフレイムドラゴンの炎でさえ弾いてくれるに違いない。

 ……ただまぁ、いつまでも炎の中におったら、いつかは弾ききれんくなって焼き殺されるじゃろうから、そん時は鎧を頼りにしすぎんで、さっさと駆けて炎の中から抜け出すなり、フレイムドラゴンの懐に飛び込むなりしたほうが良さそうじゃのう』


 と、工房で鎧を身につけている際に、ナルバントはそんなことを言っていたが……いやはや全く、戦斧と言い投げ斧と言い、世の中には不思議な物があるものなのだなぁ……。


 ……ちなみにだが兜は、鎧とは比べ物にならない簡単な作りとなっている。


 よく見かけるような頭全体と頬を覆うだけの丸屋根の兜といった感じで、目の辺りを覆うバイザーもなく……鼻筋を守るための鼻当てだけが垂れ下がっている感じだ。


 それと一応左右の上部にメーアの角を模した角が飾りとしてつけられていて……その飾りを含めて本当に簡単な作りで、質素とも言える完成度だ。


 そうなった理由としてはこの鎧を作るので精一杯だったから、なんだそうで……一応これから時間をかけて、鎧と釣り合う兜を作ってくれるつもりではあるらしい。


『どんな形の兜になるかって? そりゃぁディアス坊によく似合う、メーアの顔を模したものになるに決まっておるじゃろうが。

 その仮作りの兜にも一応のメーアの角をつけてやった訳じゃが、やはりメーアバダル領の頭目ともなればそれらしい兜を被る必要があるからのう』


 それは果たして、この全身鎧に釣り合う兜と言えるのかという疑問もあったが……変にいかつかったり、刺々しい感じになったりするよりかは、メーアの顔の方が親しみやすくて良いんじゃないかなと思う。


 こんなにも派手な鎧となると普段から使う訳でもないんだろうし、たまに起きる戦闘の時にだけ身につけるもので人目に触れるものでもない訳だから……まぁ、うん、そういう感じになっても問題はないだろう。


 とまぁ、そういう訳で今の私は金赤色に輝くメーア角兜と全身鎧という格好になっていて……周囲にギラギラと赤金色の輝きを撒き散らしながらずんずんと、徒歩でもって北へと向かって進んでいく。


 今回の戦いではベイヤースには乗らない、鎧のないベイヤースがかすり傷でも負ってしまったら一大事だからだ。

 同様の理由でアルナー達もイルク村で待機してもらっている。

 竜鱗のマントのあるマスティ達ならあの攻撃を防げるかもしれないが……イルク村を守る戦力も必要なので、マスティ達にもイルク村で待機してもらっている。


 ナルバント達もエリー達も、伯父さんや子供達、メーア達も当然待機組で……北に向かうのは私と、身震いをしながら私の肩に乗っているサーヒィだけとなっている。


 サーヒィがこうして一緒に来てくれていることにはいくつかの理由があった。


 ウィンドドラゴンがどの辺りにいるのかを知っていて、私に何かがあった時にはその翼でもってイルク村に飛んでの連絡係になることが出来て……それと何よりも本人がドラゴン狩りに同行することを強く望んでいたからだ。


 古くからの言い伝えというか家訓で、サーヒィの一族……鷹人族はドラゴンを狩るということを重要視しているらしい。


 もしドラゴンを狩る事ができたなら、いつまでも語り継がれる勇者として扱われるんだそうで……そうなったならいつでも一族の巣に戻れるのはもちろんのこと、三人の婚約者達……リーエス達とも堂々と胸を張って、何に恥じることなく結婚することが出来るから、ということらしい。


「い、一応言っておくとオレは巣に戻るつもりはねぇからな!

 ディアス達の仲間としてずっと……死ぬまでイルク村で頑張っていくつもりだぜ?

 ただ……ほら、リーエス達にもそうしろっていうのは酷っていうかさ、爪弾きモンのオレと結婚して子供が生まれたとして、その顔を親に堂々と見させてやらねぇってのは可哀想だからさ、ここらで一つ手柄を立てておきたい訳よ、男としてさ!」


 兜の隙間から見える私の表情から考えを読んだのか、その体を震わせながらサーヒィがそんなことを言ってくる。


 先程からずっとサーヒィはそんな風に体を震わせている。

 ドラゴンが恐ろしいのか、それとも武者震いなのか……どちらにせよ逃げ出すことなく、しっかりと私の肩を掴んでいる辺り、大したものだと思う。


 私にはこの鎧があるが、サーヒィは生身のまま……少し前に作ってあげた、村人の証である骨細工を首に下げているだけの状態な訳で……並大抵の勇気では出来ないことだろう。


「危ないと思ったら私の後ろに隠れるなり、背中に張り付くなりすると良い。

 この鎧は大抵の攻撃を弾いてくれるそうだから……そうしておけば怪我をすることはないはずだ」


「お、おう……言われなくてもそうするけどよ……。

 あの岩塩鉱床に埋まってたナイフと言いこの鎧と言い、ディアスの周囲には変なもんばっか集まってくるよなぁ」


 私がそう言うとサーヒィは、首をぐいと傾げながらそんなことを言ってきて……それから私達はあれこれと、足を進めながら雑談を交わしていく。


 そうやって北へ北へ、山の麓の荒野へと近付いていくと……一体何をしているのか、何処に向かうでもなく、空をうろちょろと飛び交うウィンドドラゴン達の姿が視界に入り込む。


 右へ左へ、上へ下へ、縦横無尽といった感じでトンボそっくりの飛び方をするウィンドドラゴンを一睨みした私は……サーヒィに声をかけて肩から降りてもらってから、戦斧を近くの地面に突き刺し、革鞘から投げ斧を取り出し……力を込めながら振り上げ、じぃっとウィンドドラゴンのことを睨みつける。


 何度か試してみて分かったことなのだが、この投げ斧は念じさえすればかなりの遠方にあったとしても、問題なく手元に戻ってきてくれる。


 つまりは外してしまっても構わないというか、暴投してしまってもいくらでも取り返しがつく訳で……であればと私はそこまでしっかり狙いをつけずに、何回でも何十回でも投げてやるつもりで、とにかく威力を出すために力だけを込めていく。


 そうやって力を限界まで込めたなら、


「ぬおぉぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!」


 と、声を張り上げて全力でもって投げ斧を投擲する。


 すると投げ斧は綺麗に回転しながらトンボ達の下へと飛んでいって……そうして偶然というか運良く良い位置に居てくれた五匹のうちの一匹を、その脳天から綺麗に真っ二つに斬り裂くのだった。



お読みいただきありがとうございました。


次回も引き続きVSウィンドドラゴンです


そして次回辺りから7月15日発売の書籍6巻の情報やら、新キャララフやらを公開できると思いますので、そちらにもご期待いただければと思います!

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― 新着の感想 ―
[一言] この鎧とアースドラゴン製の鎧 どちらが頑丈なのだろう
[一言] ひどく今更ですけどディアスの戦斧って自己修復機能だけ見ると今新アニメやってるどっかの大冒険の伝説の騎士サマばりに伝説武器ですね…… さすがにアレ並みの攻撃力はなさそうだけど意思くらいはありそ…
[一言] 果してサーヒィはドラゴンを狩ることが出来るのだろうか… 下手したら爪跡を残す前にディアスが全てずんばらりんしてしまうぞ サーヒィは村に潤沢に存在するドラゴン素材で装着型の爪か嘴を作って貰うべ…
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