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現世から来た探偵の子  作者: フェア
9/9

第5話:月夜の水面下

 昨日の4日目、


一日中、魔力放出の練習をさせられた。


 魔力を使っていくと貧血のような感覚になっていき、

さらに使うと睡眠状態、莫大な量を使うと昏睡状態になるらしい。




 今日は5日目、


 正直このまま大人しく暮らしていた方が、

この村に居残れるんじゃないかと思えてきた。


だが、村長に掛かる汚名を晴らさないと"今後"が危うくなる。


 まだこの世界に馴染めてないし、

怪しまれている状況で衣食住を失えば確実に居場所が無くなってしまう。


 この世界に来てまだ一週間くらい、

世間知らずが働き口を捜すのは困難だろう。



 昨夜は魔力放出のの練習で、その前は機械のメンテナンス。

このままでは裏会議の情報が手に入らない。


 そろそろ本格的に動こう。



 まだ日中、外には村人がいて、

俺が行動できるのは夜に限定されそうだ。


 しかし昨日までの感じだと、夜中の外には人気があって、

行動するのも難しそうだった。



 ……そうか。


 今の俺は村内での"監視対象"で、

村人が定期的に村長の家を警戒、監視している。



 ならば、裏をかけば……。



俺の口元が緩み口角が上がる。


 早速、考え付いた事を実行するため、

エリーさんに協力してもらうことにした。



俺「エリーさん、お昼までの間、

  この前の本の続きを読み聞かせてくれない? 」




ーーーー【ルク(村人A)サイド】ーーーー




僕「もう5日目の夜だ。

  アイツの動きが全く感じられない。」


村人B「だが、油断は出来ない。

    いつ暴れるかなんて見当も付かんぞ。」


 役人の若い男が後ろから歩いてくる。



ゼルガ「おい、動きはあったか? 」


僕「動きはありません。ですが、

  村長の孫娘に本を"読ませている"ようです。」



 ゼルガは舌打ちしてボソッっと呟く。


ゼルガ「ッチ! 他所モンの分際で……。 」



 そうだ、ゼルガはエリーを(めと)るつもりでいるが、

突然現れた"堕とし子"に、エリーを横取りされたと思っているのだ。


 堕とし子がここに来てから、村長の家に泊まり、

エリーとの風呂の件があって、それでもなお居続ける事に腹を立てている。



 まあ無理も無い、もともとゼルガは何も言い出せない腰抜け、

その所為もあって、エリーは好意に気が付いていないのだ。



ゼルガ「お前らはもう引き上げていいぞ。

    こっからは俺が見ててやるからよ。」


僕「分かりました! 」

村人B「了解です! 」



 やっと、ここから開放されるのか。

危険人物を見張るのは精神的に疲れる。早く帰って寝よ。



ゼルガ「そこのお前。」



僕「え? ……はい、何でしょうか。」


ゼルガ「ジジイ呼んで来い。」



僕「と言いますと……? 」


ゼルガ「ベイ爺に決まってんだろ! 」


僕「は、はい! 了解しました! 」



 何で怒鳴るのかな、怒鳴ることなんて無いのに……。


僕「これだから彼女の一人も出来ないんだ。(ボソッ 」



ゼルガ「余計なことは考えるな。殺すぞ? 」


僕「すみませんでした!! 」



 面倒くさいことだけど、

ベイ爺さんを呼びに行かなくちゃいけない。


 僕は駆け足でこの場を去った。



 走っているとき、

村で二番目の美人のリウさんが住んでいる、

家の窓が一瞬だけ光った気がしたけど、……気のせいだろ。


 最近は魔術にハマってるって聞いたし、光ったのは光魔法の類だろうな。


村に居る間は使うことなんて無いのに……。




 それから少し走ってすぐにベイ爺さんの家に着いた。


 窓の明かりは消えているが、

テラスの方にベイ爺さんとラッカ婆さんの姿が見えた。



ビギンス村原産の桃の果実酒を飲み進めている。


 僕みたいな村人ですら高額すぎて手を出せない酒、

役人くらいになると余裕で飲めるのだろう。



僕「ベイ爺さん、ゼルガが呼んでましたよ。」


ベイ「ほう……と言うことは、

   通知が来たという事じゃな? 」



 通知……?

どこかの誰かと連絡でも取ってたのかな?



僕「では、僕はこれで失礼します。」


ベイ「うむ今日はご苦労だったな。」



 今日の見張りも、

特にこれと言った成果は無かった。


 けど、冒険者にならない僕みたいな人でも、

こんな簡単な仕事で2日分の給料が貰える。



 どうか、堕とし子は当分の間、

安心安全でありますように……僕の食い扶持の為に……。




ーーーー【マコト(主人公)サイド】ーーーー



 午前中の間、ずっと俺はエリーさんの声を"録音"していた。


 そして昼飯の時間に、

ボイスレコーダーに自作充電器を付けたまま音声を流し、

俺は家の裏口から外に出て、村の外れにある木の上で夜を待っていた。


 昼食と夕食はエリーさんから貰った

手作りサンドイッチを食べて万全の状態を維持する。



俺「夜か……そろそろ始めよう。」


 まずは遠くから、村長の家を監視している人達を偵察(マーク)して、

それから役人の家に潜入(もぐり)、資料の撮影をする。


 見たところ外には、橙色の髪の"ゼルガ"と村人が二人と、

ゼルガを見ている女性、青髪のエルフの"リウ"がいる。


 当分動きそうに無いゼルガの家に行くべきだが、これは後回し、

"当分動かない"人よりも、

後で動きそうなリウの家の探索を、先に済ませたほうが良い。


 ……他意はない。



 秘書であるリウの家には、

リボンやドレスで着飾った綺麗なマネキンや、ぬいぐるみが沢山あり、

資料室や研究室がしっかり部屋分けがしてある。



 早速部屋の物色と撮影を済ませ分析。



 リウ自体、几帳面な正確だからか、

"メモ"や"書類"は日付の付いたファイルに保管してあった。


数字自体は一緒で、日付の見分けがすぐに付いて助かる。



 それと、エリーさんから貰った紙のおかげで、

『夜 "ボルス家" 会議 』の紙も見つける事ができた。




 "ボルス"とは一体……。

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