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現世から来た探偵の子  作者: フェア
8/9

第4話:2週間の始まり

 2週間の間に、

役人達の不正の証拠を手に入れなければならない。



 だが、今は情報が何も無い。


だからまずは、情報集めをしなければならない。



▼これから集めるべき情報をまとめてみると、


1.役人の個人(プライ)情報(ベート)(名前、住所など)。


2.次の裏会議の予定。


3.裏会議の日程と場所。


4.裏会議の内容。


5.役人達の今後の動き。


▲大きくまとめればこんなもんか。



 それにしても、本当に"金の為だけ"なのか?

堕とし子についても厳しい物言いだったし……。


 ……駄目だ、考えすぎだ。

的外れにも程がある、今考えるべき事はそれではない。




 昨日の1日目は、電子機器の充電やら起動確認をして、

父の形見である小道具のメンテナンスをしてその日は終わり。



 今日は2日目、エリーさんと村歩きだ。


 村自体はそこまで広くは無く、

家は20軒ほどでそれぞれに農地を持っている。



▼役人は老人の男女二人と、成人の男女二人の合計4人。


 老人男性の名前は"ベイ"、副村長の役職。

そこそこ豪華な家に住んでいるが、村長の家ほど大きくはない。


 老人女性の名前は"ラッカ"、会計の役職。

装飾の多い家で、まるで魔女の家をモチーフにしたかのような家だ。


 成人男性の名前は"ゼルガ"、書記の役職。

それなりに良い家で、大した特徴がない。


 成人女性の名前は"リエ"、村長の秘書の役職。

オシャレな家で、女子力の様なものを感じる。


▲と、まぁこんなものだろうか……。



 一応他の家も見に行ったが、裏会議とは関係の無いようだった。


 この村には井戸や水車があり、水道関係は安定していて、

輸送関係は馬車だけで、門を通過して村に入る必要がある。


 それにここは鉱山もなければ漁業も盛んではない。

農業が主体の森の村で、獣人やエルフ族などの多種族が共生している。



 エリーさんは楽しげに案内してくれた。


 だが、最初こそは新鮮味があって好奇心も沸いたが、

ゲームのような世界だからか慣れるのが早く、その好奇心は徐々に薄れていった。



 2日目はこれで終わり。


日中は村歩きをして、夜中は普通に生活をした。



――――――――



 今日は3日目、早朝にエリーは秘書の部屋を探ったりしたらしい、

が……裏会議の情報がなかった。



 その代わり、


エリー「これを見つけたの。」



 手に持っていたのは"虫眼鏡"。



俺「え、何で持ってきたの!?

  探っているのがバレるかも知れないんだぞ! 」


エリー「だ、大丈夫だよ。

    お爺ちゃんの部屋で見つけたものだから……。」



 俺の目を見て答える。



 心理学では、女性が男性の目を見て話をする時は、

だいたい嘘を吐いている時だという結果がでている。


 誤魔化したいのだろうが……、



俺「なぜ虫眼鏡を? 」



エリー「これは昔に使われていた魔道具って言うもので、

    何かの役に立つかな……って思って。」


俺「俺、魔法は使えないんだが……。」



エリー「大丈夫! 魔力障害を克服した君なら、

    "魔力"の操作が可能なはずだから! 」



 と言われても困るんだが……、

今度は俺の目を見て答えているし、信用していいのだろうか。



俺「とりあえず、"魔力"の使い方を教えてくれ。」



エリーは凄くうれしそうだった。

多分、俺に何かしてあげたかったのかもしれない。


罪滅ぼしだろうけど……。




エリー「じゃあまずは服を脱いで。」


俺「え……えぇ!? 」



エリー「ご、誤解しないで! 魔力障害を克服できた人は、

    体のどこかに聖痕(せいこん)ができるの! それを触って確かめて、

    魔力の流れを正常にしなくちゃいけないのよ! 」


俺「お、おう分かった。あとは任せたぞ。」



とりあえず上着を脱いでみることにした。



 脱いだ後、エリーは俺の上半身を隅々まで見て、

左の肩甲骨あたりを触り「見つけた」と呟き、


 触ってから1分くらい経過してエリーが言う、



エリー「流れは掴めた、あとは治すだけ。

    痛むかもしれないけど……我慢してね。」



 俺は静かにうなずき、歯を食いしばることにしたが、

予想以上の痛みに、喉の置くから痛烈な悲鳴が出た。



 例えるならその痛みは、


 左の肩甲骨の内側の肉を()(さば)いて、

そこに手を入れて心臓部分を目指して無理やりグイグイと突っ込むような感じ。


 痛いなんてもんじゃない、もはや俺は死んだ。



エリー「成功した! 終わったよマコト君!

    ……あれ? マコト君? ――――!? 」




 意識を失ったが3日目はこれで終わり。



――――――――



 続いて4日目。



 目が覚めたときに、俺の体には何かが流れているのを実感した。

多分だが、これが魔力なのかもしれない。



 俺が寝ていた布団には、

看病してくれたであろうエリーが寄り掛かって寝ている。


 なんて無防備な……。



 そうだ、早速"虫眼鏡"で魔力の操作を練習してみよう。

やり方は分からないが、"気"とかと操るみたいな感覚でできるだろ。


 ベッド近くの机の上にある虫眼鏡を手に取る。



 体にある何かの流れを"虫眼鏡"に集中してみる。


手から魔力が漏れ、虫眼鏡に吸い込まれていく。



 すぐに虫眼鏡を覗いてみるが、特に何も変わらない。



 ……いや、変わった。

虫眼鏡をエリーに向けたときにそれが分かった。


 これは魔力の色がハッキリと見える。

エリーさんのは桃色、そして俺の手に流れる魔力の色は藍色(あいいろ)だった。



 しかし、どうやら魔力の色だけでは無さそうだ。

次に見えたのはエリーさんの裸の姿。



 いや、駄目だ!

俺はまだ未成年で15歳だぞ! 不順異性交遊は絶対に駄目だ!



 そうだ、虫眼鏡は元の場所に戻しておこう、誤解を産まないように……。



 しばらくしてエリーさんが目を覚まし、

俺は何も知らないフリをして虫眼鏡の説明を聞くことにした。



 どうやらこの虫眼鏡は、

望んだものが"可能な限り"見えるものらしい。


 つまり俺は……。



 ……いや、この話は置いといて、

使い方によっては指紋とか、足跡が見えるかもしれない。


 これはいいものだ。



俺「それにしても、

  使ってたら……なんだか眠く…………。」


エリー「魔力は使いすぎると、

    集中力が低がって眠くなってしまうの。

    使う時はほどほどにね。」



俺「あぁ……そうだな。」



 エリーさんが水の入ったコップを俺に渡し、


エリー「水やコーヒーを飲むと魔力回復が早まるから、

    疲れたときは何か飲んだほうがいいよ。」



俺「……ありがとう。」


エリー「魔力が回復するまでは無理に動かないこと、いい? 」


俺「はい。」




 俺は、ここに来てから緩くなった気がする。



気のせい……か?

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