第3.5話:マコトの持ち物
今日の朝、
マコト君が言っていた言葉の意味を私は考えていた。
『俺が必ず証拠を掴んで見せるよ! 』
そう言っていたけど、どうやって証拠を掴むんだろう。
書類を取れば減ったことで怪しまれるし、
マコト君が聞きに行けば気配ですぐにバレるかも知れない。
一体どうやって……?
マコト君が居る部屋に入ると、四角い板に管を刺して、
箱に付いている取っ手を回しているマコト君の姿があった。
あまりにも"奇妙な行動"をしている。
気でも狂ったのかしら……。
私「マコト君……何をしているの? 」
マコト「あ、おはようございます。
今は、あっちで作った自作の充電器で、
スマホの充電しているところです。」
私「すまほ……? じゅうでん……? 」
マコト「簡単に言えば、この機械を使えるようにする事です。」
私「きかい……? 」
マコト「すぐに意味が分かるよ。」
あの板には何の意味があるんだろう……。
魔力反応を感知できないから魔道具ではないみたいだし、
変わった材質ではあるけどすぐ壊れそう。
板からは変な音が鳴り、面が光りだして、
マコト「よし、起動完了! 」
マコトは光っている面を指で何度か触れ、
私の方に板の面を見せてきた。
板の中に居たのは"ケットシー"だった。
私「え!? どうして中にケットシーが入っているの!?
どうやって封じ込めたの!? 」
マコトは微笑みまた板の面に触れてから私に見せる。
次にそこに居たのは四足歩行の"コボルト"、
ますます訳が分からなくなっていく、
なぜ板の中に妖精や魔物が入っているのかが……。
私「どういうことなの!?
妖精と魔物がどうして板の中に……!? 」
マコト「これは猫と犬の画像、カメラアプリを使えば、
このように静止画の状態にして、現場の証拠を確実に残せる。」
私「本当に証拠が残せるの?
小さな額縁に入った綺麗な絵にしか見えないけど……。」
マコト「う~ん、それじゃあ……カメラを使って見せるよ。」
そしてまた板の面に触れて、
窓の外に裏面を向けて音が鳴り、それから私に見せてきた。
板の面には外の景色がそのまま絵になっていた。
私「嘘……でしょ?
外の景色が絵になってる。」
マコト「ちなみに人も写せるよ。」
私「……私は絵にしないでね。」
何かが怖くなったので断っておくことにした。
その後、"録音"や"録画"も見せてくれた。
私には理解が出来ないものばかりだったけど、
どれも確実に証拠を残せる物だった。
それにしても、
あの"板"がマコト君のいた世界で一般的なものだったらと思うと、
想像も出来ないくらい、平和で争いのない世界なのかも知れない。
――――――――
夜、マコト君が入浴している時、
マコト君の持ち物だった道具箱を開いてみる。
中には7つの道具が入っていた。
複雑な形の"ナイフ"。
望遠鏡の様な"鉄製の筒"。
綺麗な柄のある"カード数十枚"。
中に何かが入っている"指くらいのサイズの鉄の棒"。
先端に鉤爪の付いた"くの字の鉄製"のもの。
右側の"籠手"。
10cmくらいの"大きなコイン"。
一体、これは何に使うもの何だろう……、
もしかしてこれも、"あっちの世界"の物なのかな?
どれ試しに……と触ろうとしたけど、また問題を起こすのは嫌だし、
道具箱を閉めて部屋を後にする事にした。
本当にマコト君に任せてもいいのかな……?