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020「進む道」

「進む道」

・・・サクラは子供のころの様に、水の外でせる様になっていた。・・・

うろこいたんではがれて、きずになるので

日の高い時間は、日焼け止めが必須ひっすアイテムになってしまいました。

それでも、水の外に出て生きていける事が私には幸せでした。

どうせなら、お兄ちゃん達と一緒に居る時にそうだったら良かったのに

・・・桜は思い出し悲しくなって、御日様おひさまの匂いのする布団とシーツに寝そべる・・・

ずっと一緒に居たかったです、でも帰りたいけど帰れません

帰って何時いつか本当に嫌われるくらいなら、私を嫌う姿だけでも記憶に残さず

会えぬまま、今を生きて行く方がマシに思えるのですから

・・・着の身着のまま、何一つ持って来なかった事で桜は少しだけ救われていた。・・・

此処ここへ着てきたモノを処分してしまえば、つながる思い出の無い品しか存在しません

思い出に繋がるすがれるモノが無い事が、唯一の救いでした。

・・・『好きになった相手の意思を直接確認しないで、戦わずに逃げたのですか?』・・・

墨色すみいろはだの人達が私の決断を『決断するには早過ぎたのでは?』と言います。

私が『異性として愛している』と、伝えていなかった事を話すと

『相手にも、決断するチャンスを与えてあげねば可哀相かわいそうですよ』と言われてしまいました。

でも、私は直接拒絶されるのが怖かったのです

・・・『愛する者の幸せを思って、いさぎよく身を引く事が良い事とはかぎりませんよ?』・・・

水面ミナモさんが言いました

『思いをげぬまま、片恋であわとなって消えてしまいのはヨクナイ事です。

ハナちゃんは、今まで「桜」って呼ばれていたのよね?

でも、桜の様に「恋する心」をらしてしまうのはモッタイナイですよ

だから今度は「桜」では無く「薔薇ばら」になってみませんか?』

私はその言葉の意味が分かりませんでした。

・・・『愛してくれる人と結ばれる事が出来るかもしれない御呪おまじないをしてあげる』・・・

『おまじない…ですか?』私は一瞬迷いっしゅんまよい、皆の好意を受け入れる事にしました。

その夜、私は白い薔薇の花をもらい深いねむりにきました。

・・・眠る桜を見て『どっちが王子様になるかしら?』水面が波紋はもんを広げていた。・・・


雑草ざっそう踏締ふみしめ、青臭い臭いただよう道を進む一行

『RPGを実写でやったら、こんな感じになるのかな?』

故春もとはるが溜息を吐く


『あぁ~そうだな…身の回りの荷物無しで、着の身着の儘で旅するのは

大馬鹿者か、身の程知らずのチャレンジャーくらいなものだろう』

アブサンも同じくらい深い溜息を吐いていた


討伐隊とうばつたいに初めて参加した故春とアブサンは、けんたてよろいを装備させられ

更に背中に荷物を背負わされ車が入れない道無き道を

積木ツミキ率いる一行の後ろに付いて歩いていた。


『ヘリ移動、日帰り任務にんむがメインの隠密部隊おんみつぶたいのエリートさんには

やっぱり、この手の泥臭どろくさい任務はつらいか』

総司令官的役割そうしれいかんてきやくわりくせに討伐部隊に毎回参加しているパパサンが2人を笑う


『隠密部隊って対人戦がメインなんだろ?役に立つのか?

こんなんじゃ、押し倒されて直ぐにでもヤラレちゃうんじゃね?』と

積木と同じなはずの男のマーフォークな先輩が

故春とアブサンのかたうでこしをペタペタ触り、筋肉質な自分の体とくらべる


故春とアブサンはさわり方の気持ち悪さに苦笑いする

『パパサン…もしかして、この人…』

故春のささやく様な質問にパパサンは、意味深いみしんな笑いを浮かべ

『トイレに行く時、背後にはくれぐれも気を付けろよ』と、アドバイスをつたえた

故春とアブサンは、そういう時は絶対にたがいを連れて行こうと心に決めた。


大学を昼過ぎに出て、夕刻を迎えた

最初、食事の支度をしていて偶然ぐうぜんに気付いたのだが・・・

黒いきりの様な魔物は、簡単に燃えてしまう事が分かった


パパサンの話しでは、ちょっとした静電気なんかでも発火してしまうそうだ

『あぁ~…だから、街中で大量発生すると彼方此方あちこちで火事になるんだな』

故春は遠い過去の記憶を引張り出し、一人で納得して


火の点いた蚊取り線香を暗闇に投げる

次の瞬間、一瞬…周囲が燃え上がりげ臭さを残し鎮火ちんかする

そして、まだ火の点いている蚊取り線香と魔物のかくを回収し

『本当に、簡単に燃えてしまいますね』と、故春が笑った。


当たり前の事だが・・・

『森が火事なったらどうするつもりだ!』と、パパサンが怒ってこぶしで一発

故春の後頭部をなぐった事は言うまでも無い


そして、今回のコノ討伐隊の討伐した数は「霧の様な魔物」が3匹と言う

御粗末おそまつな結果となっていた・・・

ちなみに正規の方法、核をたたき落として傷付ける等の方法で退治したのは0である


と言う余談よだんは置いておいて・・・


何時いつもならもっと魔物が出てきて、核が荷物になって邪魔になる所らしい

しかも今回、ヴァンパイアが1匹も出てきていないので

『進む方向を間違って選択せんたくしたかもしれない』と言う結論けつろんが出てきていた。


その結果をまえ、パパサンと積木が他の部隊と連絡を取り合う

しばらくすると、パパサンと積木から不穏ふおんな空気が流れていた


パパサンが『撤退てったいする事になった』と皆に伝える

壁の外で、行方不明者の捜索そうさくをしたがっている積木は

くやしそうに少し不貞腐ふてくされていた


どうやら、他の部隊でも似た様な結果が出ているらしい

あまりにも何時もと違う現状に、要塞の警備を手厚くする為

『戻ってこい』と、街の御偉いさん達が指示を出しているらしい


故春とアブサンも、積木と同様に何もしないままで戻りたくはなかった

『僕等3人だけでも、偵察隊ていさつたいとしてこのまま遠征えんせいしてちゃ駄目だめですかね?』

故春はアブサンと積木の腕を取り、パパサンに提案してみた。


積木が『自分だけでも行かせてくれないか?』と言う

『ズルイなぁ~』と、パパサンが残念そうにつぶや

『去年なら、俺も行けたのに…今は俺が、自衛団のトップなんだよなぁ~』と、溜息も吐く


そしてパパサンは『一人では絶対に駄目だ!』と言い

『でも、行って来ても良いぞ!ただし、積木は自分が自衛団の「No,2」だって事を忘れずに

ある程度偵察が済んだら、後輩2人と一緒に無事に戻って来る事!』と

最初の提案を受け入れてくれた。


翌朝、積木と故春とアブサンの3人を残して戻る部隊をひき

パパサンが要塞都市の方に戻る事になった


パパサンは別れぎわ

『積木が無茶しない様に、足を引っ張ってやってくれ

誰かが止めないと、際限無く突っ走って戻って来れなくなるだろうから』と

本人を前に、故春とアブサンにたくした


ひどいな…信用しろよ、後輩を連れて無茶はしないぞ』と、積木は笑っていた

笑って約束して別れたのに・・・

その日の夕方、積木は誰かを追って故春とアブサンを置き去りにして姿を消した。

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