表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/27

017「行方知れず」

行方知ゆくえしれず」


・・・雨が止み、豪雨ごうう爪痕つめあとすべて元通りに戻った。・・・

私はお兄ちゃんと一緒いっしょに居る事を楽しみにしているのに

お兄ちゃんは最近、とても素気そっけなくて私と距離を置いています。

・・・生活は元通りなのに、サクラに対して好意的だった女性達の態度が変化していた。・・・

ひさし振りに出会ったお兄ちゃんとアブサンの女友達の皆が

何故なぜか、私につらく当たってきます。

最初、私には何でそんな事されるのかが良く分かりませんでした。

・・・『アナタ継母ままははが産んだ浮気相手の子供で、故春モトハルの本当の妹ですらなかったんでしょ?』・・・

お兄ちゃんの女友達が言いました

『私、知ってるのよ…ちゃんと調しらべたんだから』と

『故春は、名ばかりでも「戸籍上こせきじょうの妹」だから大切にしている演技えんぎをしているのだ』と

私はお兄ちゃんの優しさを勘違かんちがいしていたのだと実感し、悲しくなりました。

・・・故春の恋人だと言う女性が『故春が迷惑めいわくしている』と、桜を更に追い込んでいく・・・

私が今居る場所、立ち位置は

私が帰って来るまで、その女性の場所になっていたそうです。

私はお兄ちゃんとアブサンの恋人達にめ立てられ

今居る場所が本当なら、私が居てはいけなかった場所なのだと知らしめられ

居場所を彼女等に返却するため、お兄ちゃんにコレ以上嫌われない為に

出て行く事に決めました。

・・・桜は故春とアブサンの「女友達のうそ」にだまされ、積木ツミキに手紙を預け姿を消した。・・・


昼休みの時間に遊びに来ると思って桜を待っていた故春とアブサンは肩透かたすかしをらい

桜の姿を探して昼食をべそびれ

桜に持たせていた防水携帯に桜は出ず、メールも返してこなかった


何度も2人は電話を掛け

学校終りからバイトまでの時間にも姿をあらわさない桜の事が気に掛かり

嫌な予感がして、故春とアブサンは急遽きゅうきょバイトを休み桜が居るはずの家へともどった。


故春は落着きなく扉を開け『桜!』と、大きな声で呼び掛け室内に入る

返事は無く、そこに桜の姿は無かった

一緒に戻ったアブサンは、事故や事件の可能性を考慮こうりょしてパパサンに電話する


取り乱し何度も桜へ電話を掛ける故春に

アブサンが『積木さんが桜からの手紙預かってるって』と

『開封して読んでもらうか?』と訊く


故春が了承してパパサンが読み上げ、アブサンの携帯から発せられる

スピーカーからの手紙の内容を告げる言葉は、アブサンの眉間みけんしわを寄せさせ

故春を静かにぶち切れさせる様な内容だった。


『ちょっと、嘘吐うそつきなくそアマども血祭ちまつりにあげて来るから

アブサン、桜を見付けて保護ほごしてやってくれよ』

さわやかに笑い立ち去ろうとする故春


アブサンは

『いやいやいやいや…故春よ!そんな糞の事は放置して置いておこうか

そんな事より、一緒に桜を捜しに行くぞ!』

故春を羽交はがめにして引き留めた。


電話越しに事態を把握はあくしたパパサンは

取敢とりあえず、お前等…無作為むさくいに探しても見つからないだろうから学校に戻ってこい!

自衛団のPC使って、防犯カメラの映像から行方を捜そう』と提案ていあん

自衛団を私情で動かして協力したいと言う要望ようぼうを故春に伝える


携帯からはかすかに・・・

「積木も協力する」と言う「意思のある言葉」が聞えてきた。


アブサンは、半ば強引に故春を連れて学校に戻る・・・

戻る途中とちゅう、桜に名指しされているとは思っていなかった自称じしょう「故春の彼女」が

故春を発見して駆け寄って来る


彼女は、怒った顔を他人に見せた事の無かった故春の視界に入り

公衆こうしゅうの面前で・・・

『君は本当に信じられない事をする女だな、自称だとしても気持ちが悪い!

僕は君の様な嘘吐きな女を恋人に持ったおぼえも、恋人にしたいと思った事も無いし

僕の妹を僕の名をかたって、傷付けて良いなんてゆるした覚えも無いよ!』と罵倒ばとうされた


彼女は一瞬、ひるみ・・・

故春の形相におびえながら『私はそんな事を言っていない』と

『私がそんな事を言った証拠しょうこが無い』『信じて欲しい』と言う


故春はそんな言葉を聞く耳持たず

『君の所為せいで行方不明になった僕の妹が無事ぶじに戻って来ても

君達のやった事は、決してゆるさない!もし、桜が無事に戻らなかったら…ころ』と

アブサンに口を手でふさがれるまで、罵声ばせいを浴びせ続けた。


ソレと同時期に送信され着信したメール・・・

桜を気に入っていた積木の「全校生徒」へ向けた

「嘘を吐き、女の子を傷付けた者をあぶり出して断罪したい」と言う、威嚇射撃いかくしゃげきメール

それに貼り付けられた動画を見て、名指なざしされた彼女は言葉を失った


故春も動画を見て、桜をいじめた女性達に対して

更に、剣呑けんのんとした刺し殺す様な目付きで彼女等を見る様になった。


続いて着信したメールには

「桜を見付け出し次第に保護して、嘘を吐かれたのだと教えてやって欲しい」と言う

御願が書かれていた


メールを確認した故春が、少しなごんだ様子で

『後で積木さんには、御礼と桜の写真流出に対する抗議こうぎをしなきゃな』とつぶやいた

『それより先に防犯カメラ映像の私的流用で、積木さん…怒られんじゃね?コレ!』

アブサンがボソリと小さく言った。


少し気が晴れた故春とアブサンは・・・

これから不特定多数から制裁を受けるであろう放心状態の虐めっ娘集団を放置し

自衛団の本部へ向かい、何事も無く辿たどり着く


そして、本部のPCルームの扉を開けるなり

音声付きの防犯カメラ映像を送付して一斉送信メールを配信した積木が

『桜ちゃんを絶対に見付けだしてあげるから』と走り寄り

故春の両手をにぎった。


手を握られ、少しオロオロする故春に対し

『積木は、数年前に虐めが原因で行方不明になった

自分そっくりな顔の姉を捜し続けているから、ちょっと暴走気味ぼうそうぎみな所は有るけど

許してやって欲しい』と、パパサンが積木の行動をフォローする


『で、何か有力情報は有りましたか?』とアブサンが言うと

PCに向かっていた自衛団のメンバーから

『昼休み前に大学の防犯カメラの前で「2組の集団」に立て続けに虐められて以降

何処どこにも映って無いんです。』と、残念な情報が寄せられただけだった。


それ以降の時間、防犯カメラの映像の中だけでなく

桜の目撃情報もくげきも、全く手に入る事が無かった


『姉さんみたいに居なくなる女の子が現れるなんて…』

積木がくやしそうにテーブルをたた


故春も積木と同じ様な暗い顔をして

『桜が他人の言葉にまどわされない様に

もっとちゃんと2人で、理解しあえるように話をしておけばよかった』と

後悔こうかいし、自衛団の情報処理室の片隅かたすみで気落ちしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ