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011「フレルト、浮気な人への思い」

「フレルト、浮気うわきな人への思い」


・・・サクラ断片的だんぺんてきに「3歳差の恋の話し」を耳にする・・・

高校3年生18歳の女子高生と

有名大学を中退ちゅうたいして社会人になった、21歳の塾講師じゅくこうしの恋愛の御話

私とお兄ちゃんと同じ年の差の恋の話しに複雑な気持ちになりました。

・・・ソレは、フレルトが社会的に制裁せいさいを受け、社会的地位と仕事を失ったころの話・・・

大学生と高校生の恋愛ならまだ、ゆるされたかもしれない恋の御話

高校生と中学生であってもまだ、許されていたかもしれない恋の御話

私は、否定ひていされた恋の話に胸が痛くなりました。

・・・そしてフレルト的に、メビナは代用品だったのだとフレルトが言う・・・

だからと言って私は、否定された恋の代わりを求めたフレルトさんを許せません

前の恋をつらぬく事をあきらめて、次の恋に走ったのなら許せましたが

3歳年上のメビナさんの「ひも」と言う存在になって

前の恋の相手に再会したからって、そのままの状態でヨリを戻すだなんて事は

絶対に許せません!ソレって、浮気じゃないですか!

・・・1年以上が経過しても、フレルトの中でくすぶり続けていた思い・・・

耳にしただけでも腹立たしく思いました。

それなら、どんな状態でも気持ちを貫き通すべきでしょ?

私は、ヨリを戻す原因になった「再会を手引き」してしまった

お兄ちゃんとアブサンに対しても、瀬無せなほどいきどおりを感じてしまいました。

・・・でも桜にはどうすれば良いか分からなくて、どうする事も出来なくて

水の中に引籠ひきこもり、耳をふさぎ、目を閉じ、心も閉ざす事にした。・・・


メビナがベットから起き出し、ゆっくりと立ち上る

なみだを流したうつろな目で玄関げんかんの方をながめて、溜息をきベランダの方へと足を向ける

水の中でうずくまる桜が見守る中、桜の花弁はなびらの様な物がメビナの後を追っていた


桜は無言のまま、メビナをそっと見守る

メビナも桜同様、玄関の外の会話を聴いていたのであろう…

『桜ちゃんごめんね…私、故春とアブサンもうらんでしまいそうだわ』

メビナは一度だけ立ち止まり、水の中の桜に向かってかなしげに微笑ほほえんでから

そのままベランダから出て、大きな水音を立てて何処どこかへ行ってしまう


花弁は、メビナが寝ていたベットからメビナが歩いた場所全てに舞い降り

桜貝さくらがいに似た、メビナの薄いピンク色のうろこを無数にゆかの上へと残していた。


水音がした後、しばらくして・・・

フレルトを連れて戻ってきた故春モトハルとアブサンは、床に落ちている鱗に気付いて

鱗を拾い上げ、2人して血相けっそうを変える


故春は桜に呼び掛け、返事が無いのでプールの中まで入って行って

桜を強引に一度、水から引き上げて何かを確認して水に戻し

『無事で良かったぁ~』と、安堵あんどしたように桜を抱締だきしめる


アブサンの方は、あわてた様に鱗を辿たどって行って

鱗が点々と続く、ベランダから下を見て…溜息を吐きながら戻って来た。


一呼吸置ひとこきゅうおいて、メビナの姿が無い事に気付いたフレルトは

『話しをする前に、メビナに聞かれちゃったかな?』と、つぶやいたのち

『どうしたの?そんなに慌てて?』

故春とアブサンの行動を不思議そうに見て、首をかしげる


『別れ話を切り出される事を知ったからって

メビナが手近なこんな場所で、自殺したりとかしないでしょ?

マーフォークって、この高さから飛び降りても死なないだろうし

そもそも、真下は水だし…人間でも、おぼれなきゃ死なない高さだよね?』

フレルトは明るく、軽い笑いのこもった声で話す


故春によって、水から引張り出された桜は勿論もちろんの事

故春もアブサンも、とっても嫌そうに眉間みけんしわを寄せてフレルトを見る


目の前の3人の様子に気付き、立場が悪くなった事に気付いたフレルトは

左のてのひらを右手をにぎってポンっと打ち

『もしかしたら、ベランダ伝いにメビナが部屋に帰ってるかもしれないから

帰ってみるよ、お邪魔しました』と言って

メビナと同棲している隣の部屋へ、イソイソと帰って行った。


3人は無言でフレルトを見送り

何時いつの間にかアブサンの手には、小さなモバイル端末がにぎられていた


アブサンはスピーカー設定せっていで電話を掛けていたらしく

端末から『急いで、メビナをさが捜索隊そうさくたいを結成しよう』と、パパサンの声が聞こえて来る

故春とアブサンは『了解りょうかい』とだけ言って、桜を置いて出掛けようとしていた。


『私も連れてって下さい!』

桜が、故春とアブサンを呼び止める


『メビナさんは…

お兄ちゃんとアブサンを「恨んでしまうかもしれない」って言ってました。

2人が追掛けて来たら、2人が追掛けて来れない水の中にでも逃げると思います。

私、役に立てると思います!』

桜は内心・・・

他のマーフォークなお姉さん達もいるので「イラナイ」と言われるのではないか?と

思いながらも「この場所で一人残されたくなくて」

水から出て、脱衣所で着替えようとしていた故春の背中に抱き付いた。


抱き付かれもまてた様子の故春に対し、アブサンが…

『これも必要な経験かもしれない、連れてってやっても良いんじゃないか?』と

桜の意思を尊重そんちょうする発言をして


『故春が風邪ひく前に、着替えさせてやれ』と

桜の頭をポンポンっと優しくたたいて故春から離れる様にうながした。


桜は故春の返答を聴かぬまま、大人しく故春から離れて水に戻り

故春が着替えて出て来るのを待ち


アブサンは何処どこかに電話を掛け、電話の相手の言葉に対し『わかった』と言って

隣の部屋へと移動して

ガタゴトと、何かしらの準備を始めている様子だった。


桜が静かに待っていると・・・隣の部屋から、悲鳴が聞こえてきた

着替えて出てきた故春は『やっぱそうなるか…』と呟き

少し慌てて出てきたアブサンの方は、水槽を乗せた電動カートを持って来て

『一応こっちにうつっとけ』と、水槽に水を入れて桜をカートに移動させる


その後、それ程急いでなさそうな故春とアブサンの様子を見て

『あの…急いで隣の様子を見に行かなくても大丈夫なのでしょうか?』

桜は少しだけ困惑こんわくした表情を見せた。


『悲鳴を上げてるのは、多分フレルトだろ?』

故春が、興味きょうみなさそうに悲鳴のした方向を見る

『悲鳴の原因げんいんがメビナなら、フレルトの自業自得じごうじとくだしなぁ~』

アブサンも桜をカートに移して以降、打って変わってのんびりしている


桜は、カートに移動させられた意味が分からず

今、のんびりしている訳も分からず『良いんですかぁ~?』とオロオロする

隣りからは引き続き

フレルトのモノであろう悲鳴と大きな物音が続いている


故春とアブサンは・・・

このマンションの管理人で、自衛団じえいだんの団長のパパサンが

家をたずねて来るまで全く、フレルトの為に動く気配けはいを見せなかった。

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