9 探索開始
文章が短いです。
どうも、ラルフことラルフィーです。
ベッドに寝続けてかれこれ、数週間。いい加減飽きました。
だって!ずーーと同じ風景で!!......あ、違った。風景は一回変わりました。
最初はベッドが沢山ある部屋で治療されていましたが、体調が比較的良くなってから、部屋を移動させられました。まぁ、私以外にも患者さんは来るだろうしね。移動した先はハヴァルさんのプライベートルームなのか、ベッドが1つと、ソファーが1つ置いてありました。本棚は前の部屋より大きかったです。どんな内容なのか結構興味深々です。...でもこの世界の文字きっと読めないんだろうなぁ。
それはさて置き。
今日こそわたしは外へ、まずは部屋の外へ出てみようと思います!!
いつもはわたしが1人でベッドを占領し、ガントさんかハヴァルさんがソファーに居てわたしの様子を見るっていうスタンスだったんですが、今現在、部屋にはわたし1人なのです!
自由に行動できる貴重な時間です、まずはこの家?病院の中を探索して少しでもこの世界の情報を見つけたいと思います!情報収集大事!!
...という名目ですが、はっきりいうと余りに変化のない現状に飽きてるというのが本音。
だって、行動範囲はベッドだけで後は寝て食べて排泄して寝るだけだからね!?
いや、それなりの自我があるわたしとしては、退屈が死因になりそうなレベルで飽きてます。
全く、数週間前には死を覚悟してたってのに、気楽なもんだなぁって自分でもあきれましたが、理屈じゃないからなぁ。せめて会話の1つ位できれば話は別なんだけど...
まあそれはともかく、今まさに、都合よくドア空いてます。決行するなら今ですよ!
それにしても、ガントさん無用心すぎですよ。
まぁ、わたしが敢えて油断させたというのもあるのですが....。
熱が下がり、喉の腫れも引いたわたしはまず、話す練習を頑張りました。誰がどこにいようとあーだのうーだのずーっと話しました。だって早くおしゃべりしたいですし。切実に。因みに保護者様はデレッっと顔を緩ませて頭なでなでしてきました。あまりの力加減に首がもげるかと思いました。真面目に死の危険を感じないこともなかったです。
ともかく、ひたすら声をだしながら、近くにあったお日様の匂いのする枕を抱っこして良い子にお座りをしてにこにこしてました。ベッドで寝たきりだったわたしには座ってるだけで十分体力トレーニングになるので!そして、ソファーに居るガントさんがうつらうつら船を漕いでいる隙にはいはいの練習をしました!名付けて人前で歩かない事によって歩けない乳幼児と錯覚させ油断を誘う大作戦!!
ふっ、我ながら用意周到過ぎるぜ!
つまり、わたしがはいはいを出来るということを知らないガントさんが油断をした今が、絶好のチャンスというわけなのです!!
毛布をかき分け、布団から這い出していざ!まだ見ぬ世界へ出陣!!
あ.........。
そういえば、前世のわたし布団派だったっけ。
ドアの外に向けた熱い思いに任せて、思いっきりダッシュしようとしてものの5秒。
この床までの断崖絶壁をどう突破しよう....。
飛び降りても幼児体なので大きな怪我はしないとは思う。.....けど、痛いのやだしなー。音で気付かれてもやだし。
...あ、そうだ。枕を先に落としてその上に着地しよう!ふふん、我ながら良い案だ!
思いったったら行動行動~
いまや、体力維持トレーニングになくてはならない枕を両手で持ち上げる。
うわ、枕って意外と重いのね....持ち上げんの無理そうだなぁ。
ま、落ちれば良いからね。引っ張れば良いか。
――――――ドスッ
ぃーたぁーー!!
頭うっだぁぁああ?!
枕役に立たないいぃぃぁぁああ
めが、目が回る。
あああ、わたしのかんがえたさいきょうの落下法がぁぁあ
枕はみごとに狙ったかのようにわたしの上に落ちました。
わたしと一緒に。
意味なぁぁああ!!!
うひゃーわたしものっ凄いバカ!
―――落下の衝撃でのたうちまわってすでに1,2分ほど経過。
せっかくの自由に動ける貴重な時間がー!
ああ、早く動かないと誰か来ちゃうかも...
ぐるぐるする視界のなかでとりあえずドアに向かって歩き出すことにしたわたしです。
外の世界への道のりはまだまだ遠いっ!!