5 診療所
文章の書き方を模索しながらの執筆になるので暖かく読んでいただけると幸いです。
目が覚めたらおっさんの顔がどアップでチビりました。
森で目覚めてからはじめてみる人間の顔にすこし感動してます。.....が、なぜか頭がぼーっとして思考がまとまりません。あーのどいたい、あたまいたいからだあつい.........
.....?口にあまい水が入れられますが正直のどがいたすぎて上手くのめないです。盛大にむせてしまいました。せきしたら頭われます、つらい......あぁまたねむくなる。とりあずまだいきてるみたいでよか...た...
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赤ん坊を抱えて走っていくと日が沈む前に村に着くことができた。晩飯時なのか外に出ている住人は見当たらない。その代わり、食欲をそそるうまそうな臭いが漂っていた。.....俺今日昼からなんも食えてねぇな。こいつのことが片付いたら存分に飯食うぞ......。
そんなことを考えているうちにぼったくり医者の家に着いていた。
あの医者が起きているかわからないので扉を強めに叩く。
「おい、ハヴァル、急患だ。」
しばらく待つとゆっくりと扉があきやや短髪の男が怠そうに出てきた。
そして、ガントの姿を見ると思いっきり顔をしかめる。
「なんです、あなたが病気になるはずがないでしょう?頑丈だけが取り柄なんですから。」
「.......、いや、お前に見てもらいたいのは俺じぁな、っておい、扉閉めようとすんじゃねえよ!!俺だってお前なんぞ出来れば頼りたくないわ。」
話を聞かずに扉を閉めようとするので慌てて足を挟み込む。
「.....あなたがそこまで慌てるのって珍しいですねぇ。」
声音は真剣そうだが顔がにやついている。面白がるんじゃねえよ.....これだからこいつは。
「お前に見て欲しいのはこいつだよ。」
さっさと真剣になりやがれ、と悪態をつき上着から赤ん坊を出す。
するとハヴァルの目付きが鋭くなり"医者"の顔になる。
やっと切り替わったか...医者としての腕はいいんだが、切り替えまでの説得が大変なんだよなぁ......
「........ガント」
「.....どうした?」
「...........誰との子だ?」
「っちげえよ!!!!」
反射的に殴った俺は悪くない。断じて悪くない。
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「で?拾った子を温めてここに持ってきたと。」
「ああ。」
「つくづくお人好しですねぇ。」
「う、うるせえな。しょうがねえだろ見つけちまったんだから。」
「ま、運の無さも含めて貴方らしいですが。」
「..........。」
ハヴァルは、てきぱきと赤ん坊の状態を視ながら俺を不憫そうな目で見た。.....そんな目で俺を見るんじゃねえよ、うっかり泣きそうになるだろうが。
「で、そいつの状態はどうなんだよ?」
「かなり悪いですね。」
「......助かる見込みは?」
「運次第って言いたいとこですがねぇ、ま、ガントのお子さんですし何とか助けますよ。」
「......いや、だから俺の子じゃ「まあ実際酷い状態ですよ。栄養失調、脱水症状、臓器の冷え、脈は弱く多分これから熱も上がってくるでしょうね。」」
「.....思った以上にひでえな。」
ハヴァルは助けると言ったが相当まずいんじゃねえか。これが常人でも酷い症状だろうが、まだ赤ん坊だぞこいつは。しばらくは、ここに世話になるしかなさそうだな....こいつが助かるか助からないかは別として見届けるのは拾ったもんの義務ってもんだろう。命がけで助けたんだから何とか生き延びてほしいもんだが。
「しばらく、こっちに滞在するわ。」
「.....そうですか。宿代高いですよ。」
「...............はぁ。」
顔を覆って座り込んだガントを面白がって笑っていたハヴァルは、赤ん坊に目を向けるとふと表情を険しくした。
■ □ ■
「.....この子生後何ヵ月です?」
「俺が知るかよ。」
「一応鎌かけただけですよ。はぁ、貴方の子で正確な歳が分かればまだ良かったんですけどねぇ。」
ふーん、どうやら本当にガントの子供では無いようですね。ま、今は正直そっちの方が都合が悪いのですが。
というか、また厄介な拾い物ですねぇ。相変わらず運のない....運がないというより厄介ごとを引き寄せているといったほうが正しい気がしてきました。薬草採取にガントがついて着た時なんて悲惨でしたねぇ、いきなり凶暴な魔獣の群れに遭遇して結局薬草取れませんでしたし。
ああ、話がそれました。それにしても、どの程度強い薬を使えば良いのやら。どう見てもまだ乳幼児ですよねぇ、この子。
栄養価の高い果物や野菜を液状にして飲ませるのが効果的か?熱が上がってきたら副作用が最も少ない解熱剤を使いますか。........そういえば意識が戻らないなんてこと無いですよね....
「ガント、貴方がこの子を拾ってから意識は戻ってますか?」
「.....いや、1回も目、覚ましてねぇ。」
......まぁ、暫く様子見ですかね。しかし、体を温めて来たのはいい判断でしたねぇ。ガントにしては気が利いていると言うか。
........それと私自身、自分の事をまともな医者だとは思いませんが、こんな乳幼児を森に放置する親の気が知れないですよ、全く。ガントも言葉にはしていませんが相当怒っているようですね。この歳の子供は一人で動けず死ですら自ら選ぶことができないのですから、捨てるなら捨てるできちんと苦しまないように殺してから埋めるなりしてあげなさいな。可哀想に。
そんな少々ずれたことを考えながら(本人は無自覚だが)ハヴァルは手早く果物を剥き果汁を搾り取っていく。それと同時に解熱効果のある薬草を煮出し布でこし、治療の準備を着々と進める。
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一通りの準備を済ませ終えて、ふと目を向けるとガントが渋い顔で座りながら、子供をじっと眺めていた。
.....眺めていれば意識が戻る訳でもないでしょうに.....相変わらず非効率的な男ですねぇ...そんなことをつらつらと考えていると大声で思考が遮断される。
「おい!目開いたぞ!?!」
「......はぁ、一々大声を出さないでください。......試しに果実を飲ませてみますか。」
仮にも病人の目の前で大声を出すとは....少しばかり説教でもした方がいいでしょうか。ガントに冷ややかな目を向けるとようやく気づいたのか汗を流しながら目をそらされる。
まぁ、あんなやつは放って置いて。目を冷ましたらしい子供の様子を見る。.......意識はあるようですが目が見えているかは怪しいですね。焦点が定まっていない。.....若干熱が上がってきているのか?
苦しげに呼吸を繰り返す子供の口に小さな匙で果汁を注ぐ。が、うまく飲めずに大半吐き出してしまう。.......これは........思ったより厳しいですねぇ。
■ □ ■
ハヴァルが薬やら何やらの用意をしている間特にすることもなかった俺は、赤ん坊の様子を見ていることにした。
.....度々降りかかる不運に混乱してたから、こいつの事を考える余裕はあんまりなかったが、よく考えると可哀想なもんだよなー...本当なら親の愛情を一身に受けてるはずなのに、今感じてるのは苦痛だけなんだろう...こいつにとっちゃぁ俺が現れたことは幸運なんだろうか。...いや、少なくとも幸運だったと思えるくらいには世話をしてやろう。
って言ってもここからはハヴァルに任せる他ないけどな。
緊張が解けた途端にじんわりと疲労が圧し掛かってくる。力の入らない体で腰かけ、赤ん坊をぼーっと眺めていると、ふと赤ん坊のまつ毛が揺れる。
「おい!目開いたぞ!?!」
あ、思わず興奮して大声を出してしまった。......ああ心なしか赤ん坊が目を見開いているような気がする。
瞳.....綺麗な色だな。琥珀色っていうのか?吸い込まれそうな暖かくて深い色だ。そんな場合ではないと分かっているのについ瞳に目を奪われた。が、その後咳き込んだ様子にハッと意識が戻る。
―――――――上手く飲めないのか。ハヴァルの腕が悪いというよりは赤ん坊の問題だろうな......
あんな、ほとんど日の当たらない森に放置なんかされたら喉やられてて当たり前だよな。というか死んでだっておかしくねえよ。今だって......はぁ.........
.........ああ、出来ることなら変わってやりてぇな.....そう、思うことしか出来なかった。
主人公視点多めって前回言ったような気がしますが、むしろ減りました(あれ