3 変化と出会い
1話と比べ主人公が若干幼くなります。
ひらがなが増えて読み辛いかも知れないです。
どうも、二重螺旋構造のわたしです。おなかすきました。そして洩らしました。なんかもう恥ずかしいとかいう無駄な感情が無くなってくるぐらいには憔悴しきってます。あ、さっき寝た(気を失った?)おかげか睡眠欲だけは解決しました。解決したはずが新たな睡眠欲におそわれかけてます。でも本能がここで寝たらだめだと、うったえかけてきてる気がするので頑張っておきてます。
そしてなんと!いま、変化のなかった風景にやっと!やっと変化がありました!!
おおきな銀色にかがやく毛並みの、長くてとがった耳のオオカミみたいな動物に見られてます!
あれ。
し、しかも子連れです。
あれっ。
でもオオカミじゃないので、あくまでオオカミっぽいってだけなので草食のかのうせいも捨てきれな...やめてーーよだれ垂らしながらこっちないで!!し ぬ か ら!
うーん?...でもこれはこれでいいのかなぁ。だってこのままでもどうせ死んじゃうし...?しかも多分餓死か凍死。今もからだ冷え切って感覚ないし。あれだね、無理に生きようとする理由もいまいち無いよね。べつに野望とか希望とかないし?むしろ絶望しかなかったし。
ああでも、そう思うとあの無駄におおきい地球外生命体も立派な暖房器具に見えてくるふしぎ...毛なんかもふもふで...?もふもふか、あれ?どっちかっていうと光の粒子まとわせてるって感じだなちかくで見ると。
って近!もう目と鼻の先!!(比喩表現じゃないよ!)
ええい、女は度胸!というかもう捨身!そんでもって、目の前のぬくもりには耐えられない!!顔の前くらいなら手も何とか届くし。
死ぬかもなんていう思いはなくなった。というより全部がどーでもよくなってしまった。あきらめると案外今の状況は悪い気はしない。あれだね、食物連鎖。弱いモノは喰われるってね!というか二重螺旋構造とかもまえ、思ったけどわたしってもしかして結構、理科好きなのかな?そんなことを考えながら、冷たくなってこわばった両手にあらんかぎりの力を込めて目の前の銀色に手をのばす。
···········あ、あったかい。
ふしぎと、視界がぼやけてくる。頬がぬれる感覚。この銀色はわたしを食べに来たのかもしれないけどそれでもいいと思った。死ぬまえに、ぬくもりをくれたこの生き物に感謝の気持ちがあふれた。
ああ、考えてみればこの森で目が覚めてから温かいと思ったのは初めてだ。冷え切った指先からからだの奥まで、心の深くまでぬくもりが響いた。この銀色のために命を失ってもなにも後悔しない、そう心から思った。それほどまでにぬくもりに飢えていた。あまりにも長い間ひとりで、ずっとこのままかとおもってそれで・・・
ああいまさらになって寂しさがおそってくる。ぬくもりに触れた途端もっとぬくもりに包まれたいと思ってしまった。でも子供のオオカミもどきも周りにあつまってきたからもうタイムリミットかな・・・
私はあふれる涙をぬぐいながら目をつぶった。目の前の光景をみないために。
すごく、温かかった。
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
・・・・・?
なにもおこらない...?
何も起きない状況がとてもこわい。でも目をあける勇気もない。
........1分近くたった。何も起こらない?
そっと薄く目をあけてみる...明るさで一瞬何も見ることができない。
..............え、どういう状況...?
見えるようになった視界にうつったのはオオカミもどきのおなかでした。え、ええと?
.........あ、え?ほんとにどういう状況?
混乱して固まっているとふと、からだが持ち上がるような感覚におそわれる。
次の瞬間わたしのからだは転がってオオカミもどきさんの顔の目の前に投げ出されていた。そしてバッチリと目が合う。う、え?今のは子オオカミに押されたのか?そもそも何でまだ食べられてないんだわたし。あれか、ちょうどお腹一杯で小腹が減ったらおやつがわりにするつもりなのかな?保存食的な??でもわたし保存できるほど長く持たないと思うんだよね....どうなんだろ。
なんだか、今日はよくわからないことが多すぎるよ...というか何一つわかってないよここまで。なんでわたしこんな目に会わなきゃなんだろう。何回あきらめて何回絶望したことか...分かってることがもうすぐ死にそうってことくらいってなんだよ、やだよ、もう疲れたよ。ああ、そろそろ心が限界...
精神の疲労を自覚した途端急に眠気におそわれる。
よくここまでわたし、頑張ったなぁ。誰もほめてくれないから自分でじぶんのことほめちゃうよ。
そろそろ回らなくなってきた思考でそんなことを考える。
ふと前を見るとまたオオカミのお腹が見えた。なにがしたいんだこいつは...
ぼーっと眺めてると今度はとなりからぺちゃぺちゃと音が聞こえてきた。
...?
音のした方に視線をむけると、子オオカミがお母さんのお乳を一生懸命に吸っていた。....良いなぁキミは、お母さんの愛情を精一杯に受けられて。わたしもいつかそんなふうになりたいなぁ、しあわせな子どもに。
次もまた転生とかするのかな。前世のわたしは死んだんだろうか。.....しあわせだったのかな。
ふと頬が擦れる感覚。もう、なんだよ、今考え事してるんだからじゃましないでよ。...なんでそんなに背中押すんだよ。いたいよ、そんなに押さないでよ。もうねかせてよ!もうゆるしてよ...
口になにかが触れる。
ああ、こどもって口に触れるもの無条件でたべちゃうんだっけ。本能的に口がうごく。もう、からだ動かせないって思ってたけどまだ口くらいはうごくんじゃないか。
............っ、!....あまい香りが口にひろがる。....あったかい..............わたしがもらってもいいの...?あなたの子じゃないのに..............にんげんなのに....?...っありがと ..ありがとう..... ッ有り難う、ありがとありが......
げんかいだった。前が見えない。子オオカミといっしょになって必死に目の前の命にしがみつく。...もう、思考は放棄していた。ただ、胸にひろがるあたたかさを離すまいと体がふるえた。
おっさん出てこない....