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捨て子の恩返し  作者: 藍
1/18

1 森の赤ん坊

初投稿です。宜しくお願いします。

 



 澄みわたる青空。ゆったりと流れる雲、風に揺れざわめく木々。 







 目が覚めたら薄暗い森の中でした。







 .........え?





 ..........いや、...あ?ここはどこだ?...........森だな、うん。

 .......いやいやいや、そういうことが言いたいのではなく、え?ええ??おおちつけ私!?




 ......え....あ、.....と、とりあえず深呼吸.............


 

 動揺を押さえつつゆっくりと息を吸うと冷たい空気と共に湿った苔と土のにおいが胸一杯に広がる。

 こういう匂いは結構嫌いじゃない。うん。


 ..........ふう、まあ少しだけ冷静になれた気がする。若干、現実逃避気味ではあるけど。





 で、いい加減目をそらさないで現状を把握してみますか......



 とりあえず何故か私は森に仰向けに寝転がっているようだ。太陽が目に痛いね...



 あー...そもそも私、さっきまで何してたんだっけ.......?


 えー...あ、れ?

 少し前の行動を思い出そうとするが、思うように思考が纏まらない。

 っていうか無理に思い出そうとすると物凄い頭いたい.....


 そもそも私は誰だ...?あーあだまいたい゛....もうこれも後回しでいいや...





 ...まあ、あれだね。うん。大事なのは今までじゃなくて、現状だよね。とりあえずここがどこの森なのかを確かめるのが先決だろう。どういう状況なのかは全く理解できてないけど、とりあえず辺りを散策でもしてみますかね。




 まずはそれからだ。



 そうと決まれば実行あるのみ!!




 強張った体をゆっくりと動かして起き上がろうとて



 ........出来なかった。





 .....あーやばい。前途多難過ぎて泣けてきた。ここで泣いたら負けた気がするので我慢。 



 って、いやまてまてまて、ちょっと待て。ホントに待って!!起き上がるどころか、ほとんど体が言うことを聞かないんだけど!!



 ........怪我でもしたっけ?あれか、事件に巻き込まれでもしたのか!!?山あいで女性の死体発見的な!?いや私まだ死んでないから!!!って一人ツッコミしてる場合じゃないんだって!!おいおい、ちょっと待てというかここでまた慌てたらさっきの二の舞だぞ、落ち着け落ち着けおおおおちつ...


 今更になって肌寒さと共に腹の底から恐怖が沸き上がってくる。自分的には冷静になれたつもりだったがどうやら状況が理解できないために精神が麻痺していたらしい。ここまで来て他人事のような思考なのがいい証拠だろう。


 そんなことを頭の片隅で考えつつ案外体は正直で混乱しながら起き上がろうと必死にじたばたともがく。







 .....もがいて理解できたのは2つ、1つ目はどうあがいても起き上がれそうにないこと。2つ目は私の視界に映った手が赤ん坊のものだったということだった。



 □



 ダメっぽい。


 それが最初の感想。


 そして多分結論でもある。



 あの後私は何とか状況把握し終えることができた。何度も何度も混乱を繰り返し現実逃避を交えつつだったので相当時間を食ったが。全く...


 ここまで来れば何となく予想はつきますが、私は転生したっぽいです。しかも赤ちゃんに。おかしいって思ってくれて構わないです。寧ろ、おかしいと思ってもらわないと逆におかしいです。これをおかしいと思わない私がおかしいと思ってる人は甘いですよ。もうこんなことを散々自問自答してたらおかしいがゲシュタルト崩壊してますからね。考えてるとますます混乱するんで、とりあえずおかしいとか、そういうのは置いておきましょう、はい。その方が精神衛生上良いと判断しました。




 はい、えーっと、いろいろ突っ込みどころはあるでしょうけど、まずなぜ転生したではなく"転生したっぽい"なのかと言うと記憶が曖昧でふわ~っと朧気にしか思い出せないからです。


 あの後頭痛を我慢しながら思い出せたことは以下。


 日本に住んでいたと思います。 ええ日本人でした。そして掃除とか自炊とかしたことがある気がするので独り暮らしをしてたのではないかなーと推測。家族は思い出せない。恋人は...うんまあ分からない。そして確証は特に無いけど女です、私。まぁ、少女だったのか女性だったのか、はたまた老婆だったのかは定かではないのだけどね。


 あ、余談だけど現在の性別は不明ね。できれば精神と一緒の方が分かりやすくていい気もしますが、まあどっちでもいいか。


 まあそんなわけで、自分が死んだというはっきりとした記憶もなく、他人の人生を朧気に覗き見したような実感しかわかなかったので、転生かどうかはとりあえず保留です。記憶があるわけじゃないのに人格が確立してるってなんだか不気味だなーと自分でも思いますね。未だに私が誰なのかようわからんです。




 まあ、それはさておきここからが本番。


 Q,まずここはどこか。

 A,日本ではないようです。


 正直どこか、まではまだわかってません。辺りを探索しようと思ったんですが、どうも1人では歩けもしない子供らしく(多分乳幼児?)目が覚めたてら一歩も動けていないので。じゃあ何で日本じゃないと分かったか。理由は単純明快。私が頭を沸騰させながらうんうん唸っている目の前(正確には上空)をとんでもなく派手な鳥がスゥーっと通りすぎていったから。...ビックリしすぎて逆に頭冷えました。なんだあのオレンジと青のカラフルな鳥さんは。でもまあ、ある意味あの鳥には感謝してます、諦めがついたって意味で。ええ、本当に。


 そもそも地球なのかも怪しいね。もう転生とかしてるっぽいし何が起きても驚かないぞ私は。......嘘ですこれ以上予想外の事態は起こらないでくださいほんと真面目にやめて。





 .........、で次。


 Q,私がこの世界の子供だと仮定して、なぜ一人で森のなかに放置されているのか。


 A,私が知りたい。



 この年の子供、つまりはまだ一人で身動き出来ないような子供が森で一人でいるっていうのはおかしいんじゃないの...?いやこの世界の常識知らんけどもね。でもさ、何処の世界だろうがどんな動物だろうが一人で生きていけない生命体は何かしらの庇護下にあるものではないのかなぁ。つまり何が言いたいかというと親はどこだ親はーーー!!!

 まあこれに関しては考えてもしょうがないと半ば諦めて思考放棄ぎみ。




 で、最後。


 Q,今後どうやって生きていくか?


 A,現時点で死にかけてる。


 ここまで考えが行き着くのに既に数時間たってる気がしますが、その間鳥さん以外に特に変わったことはありませんでした。つまり、これからも変化が無いという可能性は十分にあるということ。そして今は赤ん坊になってる状態。満足に動けず、そろそろ空腹の限界、尿意の限界、ストレスの限界。


 そういうわけでダメっぽい、これが結論。



 あ、あともがいて分かったこともうひとつ。布に包まれてて素っ裸ではありませんでした、以上!!


 ................。


 .......................。


 ....どうしろってんだよ....。














 おなかすいた。



 おなかすいた!



 おーーなかすーーいたっ!!!



 ....はっ、今分かったことがもうひとつ。

 私の比較的理性のあるこの精神が現在進行形で子供の精神に...というか欲求?に引っ張られてます。ようやく本来の体に合った精神状態に戻るのでしょうか?いやでも、こんなことを考えている私が消えるって訳でもなく。何て言えばいいのか、子供の精神と今の私の精神が合体...というか融合していくような、でも混ざりあってるのではなく2つの精神の糸が捻れてひとつにまとまってく感じ...。この形をうまいこと表現できそうな気がする。何て言うんだっけ?こう思い出せない、もどかしい.......んー、..............あ!思い出した!!二重螺旋構造だ。理科の授業でやったわーあれだ。あースッキリした。



 そこまで思い至った瞬間"私"は意識を失った。



次回は視点が変わります。

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