第16話 忠告
蒼馬と別れて旧王都ロマルニアを発ったシェムルは、昼夜を問わず、わずかな休憩すら惜しんでひたすら駆け続けた。
この強行軍で、シェムルを支え続けたのは蒼馬を助けるという、ただ一念である。それだけで護衛であるゾアンの戦士ですら音を上げかねない強行軍でシェムルは駆け続けたのであった。
その結果、エルドア国の王都ホルメニアにたどり着いたのは、ロマルニアを発ってわずか三日後のことである。
そして、シェムルは一息吐く間もなく、ワリナへの謁見を求めた。
自由に王へ謁見する権利を有する王佐であるのに加え、王妃であるワリナとも個人的に親しいシェムルである。すぐさまワリナの私室へと通された。
「シェムルお姉様、大丈夫ですかっ?!」
程なくして大慌てでやってきたワリナが。シェムルの姿を見るなり発した第一声は、これであった。
すでにハーピュアンの伝令兵によって、ワリナもあらかたの情勢は聞き及んでいた。しかし、いくら急を要する事態とはいえ、彼女の予想を遙かに超える日程でシェムルが王都に到着したのには、かなり無理をしたのだろうと思っていたワリナにとっても、全身を砂塵と乾いた泥にまみれさせ、へたり込むように床へ座り、大きく肩を上下させて荒い息を吐くシェムルの姿は予想外のものであった。
誇り高いシェムルである。自身の臍下の君である蒼馬の恥になってはならないと身だしなみには気を配り、決してだらけた姿を人前では晒すようなまねはしなかった。
そんなシェムルが、いくらワリナの私室とはいえ、このような姿を人目に晒すなど彼女を知る者にとっては目を疑う光景である。
「少し疲れただけだ。問題ない。それよりも急ぎミシェナを呼んでくれ」
見るからに疲労困憊といった有様でありながら気丈に告げるシェムルに、ワリナはこれ以上の気配りは彼女の誇りにケチをつけるものになってしまうと、ただミシェナに何の用があるのかとだけ尋ねた。
するとシェムルはぶっきらぼうに答える。
「クソジジイの居場所を知りたい」
一刻も早くジェボアへ向かいたいシェムルが王都に立ち寄ったのは、マーマンへの贈り物を受け取るのと同時に、ソロンから助言を得るためである。
ソロン嫌いを公言するシェムルとしては、あの老人に助言をもらうなど甚だ不本意ではあった。だが、臍下の君である蒼馬の指示であれば従わざるを得ない。
あの自堕落な老人のことである。おおかた今日もどこかの酒場に入り浸っているのだろう。
そう考えていたシェムルは養女であるミシェナからソロンの居場所を聞き出したら、その足でそこへ向かうつもりであった。
ところが、ワリナから意外なことを告げられる。
「ソロン様ならば、この王城にいらっしゃいますよ」
酒宴でもなければ王城に近寄ろうともしないソロンがいることに驚くシェムルにワリナは説明する。
今やソロンは、この王城で最も忙しい人間であるという。
蒼馬が焦土作戦の決行を告げてロマルニアへ向かった翌日、ひょっこりと王城に姿を現したかと思うと、ソロンは養女のミシェナとともに旧ロマニア国領から押し寄せてくる難民の対処やその食料の手配とその配給、仮設の住宅の建設など諸々の手配を手伝い始めた。さらに国内の食料や資材の保管状況を把握するとともに、国家での一元管理を断行。それと併せてソルビアント平原での食糧増産計画を策定することによって数年に亘って聖戦軍と戦えるだけの国の態勢を整えるばかりか、戦後の復興への道標すら立て始めているという。
まさに八面六臂の大活躍であった。
そのすべてを蒼馬に成り代わり承認したワリナは「大宰相とて後塵を拝さざるを得ない」と評したと記録されているほどである。
なお、ワリナが言う大宰相とは、名君と誉れ高きサドマ王の下でホルメアの最高の将軍ダリウスとともにホルメア国の黄金期を築いたポンピウス宰相のことだ。今や伝説の人ともされるポンピウスすら及ばないというのだから、考え得る最大級の賞賛と言えよう。
そんなことをワリナがシェムルへ説明していると、噂をすれば影が差すというように、その当のソロンがやってきた。
いくら功績があろうと臣下が許しもなく王妃の私室へ押しかける。その無礼にエルフの女官らは顔をしかめて追い返そうとするが、ソロンは逆に「礼節にかまっているときかっ!」と言い返した。それにワリナは苦笑とともに同意すると、エルフの女官らを下がらせる。
それを「ふんっ」と鼻を鳴らしてからソロンは、床に座り込むシェムルをじろりと見やった。
「今、女官に飯の用意をさせている」
飯など食っている暇はないと拒絶しようとしたシェムルだったが、普段の道化じみた雰囲気を拭い去ったソロンが漂わせる風格に押され口をつぐまざるを得なかった。また、そこへ見計らったようにエルフの女官が持ってきた大皿から漂うおいしそうな匂いに、腹の虫が懇願するように鳴く。シェムルは羞恥に頬の毛を逆立たせながらも、エルフの女官から大皿をひったくった。
大皿に盛られていたのは、麦粥であった。シェムルの到着を予想していたのか、即席のものではない。麦の粒が半ば溶けるほど時間をかけて煮込まれた麦粥である。一見すると具材は見当たらなかったが木の匙ですくって口に入れると、麦の甘みの中に肉と野菜の旨みが感じられた。強行軍で弱った身体に染み入るようなうまさである。シェムルは我知らず麦粥をかっ込んでいた。
「食いながらで良い。よく聞け」
そんなシェムルに向けてソロンが重苦しい口調で言う。
「ジェボアに行くのはやめておけ。今やジェボアも、きな臭すぎるわ」
シェムルは匙を動かす手を止めてソロンに食ってかかる。
「やめられるものか。私は止められても行かねばならん。それにジェボアはこの国と直接的には敵対することはないとソーマは言っていたぞ」
「小僧の考えも間違いではない。わしも、そう思っておった」
ソロンは、まず蒼馬の考えを肯定した。
ジェボアの業突く張りの商人たちである。この聖戦においても、聖戦軍にもエルドア国にも良い顔をして双方から引っ張れるだけの金を引っ張ろうと考えているであろう。そんなジェボアの商人ならば、明確に聖戦軍と敵対するようなものならばともかく、マーマンの島へ渡る船を出すぐらいならばそれ相応の金を支払えば問題ないはずであった。
「だが、ヨアシュの奴めと連絡が取れんのよ」
苦虫を噛み潰したような顔で告げるソロンに、シェムルも「そういえば」と思い出す。
聖戦軍襲来による混乱と忙しさにすっかり失念していたが、聖戦が始まる前にジェボアの様子を見に行くと帰国したヨアシュから、それ以降は何の連絡もなかった。
「聖戦に巻き込まれないようにしているだけではないか?」
「あれが、そのようなチンケな玉なものか」
シェムルの推論をソロンは鼻で笑った。
「もともとヨアシュは実家より独立した体裁を取っているが、それも表向きの話。その実は裏で実家のシャピロ商会とつながっているのは周知の事実よ。それというのも、まだエルドア国を興す以前の小勢力にすぎなかった頃の小僧とつなぎをつけつつ、いざというときにはシャピロ商会を巻き込まないためのものであった」
そこでソロンは眉根を寄せる。
「現状は、あのときと似たり寄ったり。ならば、ヨアシュは小僧側に立ち、たっぷりと恩を売り、搾り取れるだけの利益を搾り取り、いざというときは自身を切り捨ててシャピロ商会を守るはず。それがどういうわけか雲隠れしておるのじゃ。これほど怪しいことはあるまい」
ソロン自身は気に食わないシェムルであったが、その言は一々もっともである。シェムルはジェボアで一体何が起きたのかと問うた。
「すでに聖戦軍からジェボアの商人ギルドへ圧力がかけられていると見て間違いない。だが、あのヨアシュならば、その程度の圧力など鼻であしらうじゃろうなぁ」
ソロンの推察には、シェムルも同意見であった。
あの飄々としたヨアシュが帝国から脅されたからと言って尻尾を丸めるとは考えにくい。では、ヨアシュに一体何が起きたかとソロンに問うた。
「わしは、兄のダニエルの独断と見ておる」
シェムルは一瞬、ダニエルとは誰かと思い出せなかった。しかし、すぐにヨアシュの兄であり、現在のシャピロ商会の会頭を務める人間だと思い出す。
「おまえもヨアシュはメナヘムの秘蔵っ子と呼ばれていたのは聞き及んでいよう。だが、兄のダニエルについては、どうじゃ?」
シェムルは返答に困った。ダニエルとはシャピロ商会の会頭として面識はあるが、温和で誠実な人間という程度の認識でしかなかったからだ。
そんなシェムルの反応に、ソロンはさもありなんとうなずく。
「そうであろう。ダニエルは噂になるような奇行も突出した才もない。ただ誠実で情に厚く、堅実な人間でしかない。とかく噂になるような話もなく、弟のヨアシュと比べれば凡庸とすら言える。
だが、決してダニエルは無能ではない。むしろ商人としては有能といえよう。
そして、シャピロ商会は新興ではなく、すでに確固たる基盤を築いた押しも押されもせぬ大商会よ。下手な博打を打つよりも安定した経営が求められる大商会にとって、ヨアシュの尖った奇才は不要。堅実なダニエルを会頭に据えたメナヘムの判断は正しい」
ソロンは困り顔で頭を掻いた。
「じゃが、そのダニエルの堅実さ故に勝ち目のほとんどないこの国を切り捨て、弟の身の安全を確保し、商会の保身に走ったとしてもおかしくはないのじゃよ」
ソロンの説明に、シェムルは困ってしまう。ジェボアではシャピロ商会を頼ってマーマンの島へ渡ろうとしていたのに、そのシャピロ商会が当てにできないとなれば、どうすれば良いかわからなかった。
そんなシェムルの困惑を承知した上でソロンは続けて言う。
「じゃが、ジェボアの商人どもの中で頼りにできるのは、シャピロ商会しかいないのも事実よ」
これまでエルドア国は、ジェボアの商人ギルドとはヨアシュを窓口として取引をしてきたため、その他の商人とのつながりは深くない。
また、他のジェボアの商人ギルドの十人委員のひとりであるヤコブなどは、今では蒼馬にへりくだり、おもねった態度を示しているが、以前は敵対とまでは至らぬまでも嫌がらせや妨害工作を仕掛けてきたのを蒼馬にやり込められた経緯がある。この聖戦軍襲来という危機に、以前の遺恨を晴らそうとしないとも限らない。
そのことを踏まえれば、その動向に疑念を抱かれるシャピロ商会であったが、ジェボアの商人の中で最も頼りにできるところであるのは動かなかった。
「すでにシャピロ商会へはハーピュアンを使いに出し、マーマンの島へ渡る算段を取り付けてはある。だが、油断はできんぞ」
ソロンの手回しの良さに、さすがのシェムルも感心する。
「助かった。マーマンのところへさえ行ければ大丈夫だ。必ずマーマンの協力を得てくる」
これで蒼馬の期待に応えられると、シェムルは安堵した。
「そうとは限らんぞ」
しかし、ソロンはそんなシェムルに冷や水を浴びせかける。
「マーマンどもがわしらに協力することはなかろう」
「なぜだ? ソーマはマーマンたちならば協力してくれるだろうと言っていたぞ?!」
かつて帝国によって故郷を追われて西域に落ち延びざるを得なかったマーマンにとって、帝国は不倶戴天の敵であろう。また、原因は帝国に言いがかりをつけられて侵略された小国をマーマンがその友誼から援護したためである。
エルドア国とマーマンとの付き合いは、いまだ日が浅い。だが、それまでせいぜい商船の警護や海域の通行料しか収入がなかったマーマンたちに、海産物やその乾物の生産を提案し、その取引によって島の経済を潤してきたエルドア国とのつながりは決して弱いものではないはずだ。
また、それよりも何よりも人間種の優性を掲げ、他種族の排斥を謳う聖教の西域での拡大は、マーマンにとっても他人事ではないだろう。
エルドア国が滅びれば、次にその矛先が向けられるのはマーマンである可能性が高い。
それ故にマーマンの協力が得られるという蒼馬の考えであった。
だが、それをソロンは真っ向から否定する。
「むしろ過去の経緯から、マーマンは帝国に恭順する可能性が高く、また帝国もそれを受け入れる可能性が高いとわしは見る」
それはどういうことかとシェムルが問うと、ソロンは断固とした口調で告げる。
「帝国は、マーマンと戦っても割が合わんのだ」
意味がわからず困惑するシェムルを前に、ソロンは口内の苦いものでも吐き捨てるように言う。
「聖教の馬鹿げた教義を本気で実践し、他種族を滅ぼそうと思っておるのは、一部の狂信者のみよ。帝国やそれに従う諸王たちにとって聖教はあくまで他種族を攻撃する材料に過ぎん」
そもそも帝国の建国帝ロムスからして、聖教を国教として取り入れたのは自国の周辺にいる他種族の領域を侵すためでしかなかったのだ。
「人は戦争によって人や物や金を奪い合う。しかし、それらを生み出すものは、土地なのだ。畢竟、戦争とは土地の奪い合いに他ならん」
ソロンは手にした杖の石杖で、カツンッと床を打つ。
「しかし、マーマンはその奪うべき土地を持たん」
シェムルは、「確かに」と納得せざるを得なかった。マーマンの領域は海であり、土地と呼べるものは島ひとつしかない。
驚きに目を見張るシェムルを前に、ソロンは滔々と語る。
「そもそもマーマンが故郷を追われた戦いも、帝国が面子を潰されたためのもの」
当時、すでに強大な軍事力を有していた帝国にとって、ベネス内海の海洋交易で重要な港を有するとはいえ、たかが小国。赤子の手をねじるがごとく、ほんのひともみに押しつぶせたはずの小国との戦いが、マーマンの援護を得たことにより数年に亘るものとなってしまった。
劣等種であるマーマンのために苦戦したなどと、当時の帝国としては決して認められないものである。
そのために、帝国は損益を度外視し、何としてでもマーマンを討ち滅ぼさねばならなくなってしまったのだ。
「帝国の名将インクディアスは、マーマンの島へ渡るための大量の筏を作ったという。それだけの筏じゃ。おそらく山をひとつかふたつ丸坊主にしたであろう。おそらくは後に大規模な災害も起きたはず。しかし、そうしてまで得た勝利によって帝国が手にしたのは、島ひとつ。大損も大損よ」
当時の帝国の愚行を嘲るように、ソロンは鼻を鳴らした。
「そして、現在のマーマンの島は、当時の島よりさらに沖合に位置する。これを攻めようと思えば、数百の軍船に、数万の兵と、数十万の軍費を費やさねばなるまい。そして、その勝利で得られるのは小麦ひとつ実らせることができない不毛の島。とうてい割に合わぬわ」
そのため、いくら一部の狂信者が騒ぎ立てようとも、帝国の諸王諸侯らはマーマンと戦おうとはしないと、ソロンは断言した。
「マーマンと事を構えたくはない帝国は、マーマンが帝国への恭順を示して面子さえ保てれば、それ以上は手を出すまい。そして、あのマーマンの女王テーテュースもまた、それぐらいは理解しておろうな。それどころか聖戦軍が西域を支配すれば、より大陸中央との海洋交易も栄え、そこからもたらされる商船の護衛料や領海の通行料といった収入も増えるぐらいは勘定に入れておるやもしれん」
嘆息とともに語り終えたソロンは、シェムルの目をひたりと見据える。
「これは忠告じゃ。ジェボアからも、マーマンからも協力を取り付けられる可能性はほぼない。むしろ行けば身の危険の方が大きいわ。諦めよ」
普段の人をからかう戯けた態度ではなく、真摯にこちらを心配するソロンの様子に、シェムルも言葉を詰まらせた。
無言で床に視線を落とし苦悩していたシェムルであったが、ややあってから口を開く。
「それはできない。私はソーマと約束したのだ。必ず西からくる聖戦軍を食い止めるのだ、とな」
それは揺るぎない断固とした決意が込められた言葉であった。
こうなったシェムルはテコでも自分の意志を曲げない。
それを十分に承知しているソロンは深い嘆息を洩らした。
「ったく。この強情っぱりめが」
口は悪いが、その口調には深い情愛がこもっていた。
再び老賢者らしい鋭い表情を浮かべたソロンは、自身の長いあごひげを撫で摩りながら独白する。
「状況は絶望的。本来ならば、わしも同行したいところじゃが――」
「えっ?!」
思わずその声を上げてしまったのは、ワリナである。
自身の失態に顔を赤らめてわたわたとするワリナを一瞥したソロンは苦笑とともに言う。
「今は、さすがにそうもいかんわな」
この聖戦軍襲来という未曾有の事態にあってなお、旧ホルメア国領で大きな混乱が起きていないのは、ひとえにソロンの活躍があればこそである。そのソロンがいなくなると思えば、ワリナと言わずとも思わず声を上げてしまうのも無理はない。
しかし、敬愛するシェムルの苦境を見捨てるとも取られる失言に、ワリナは羞恥と後悔に身を小さくしてしまう。
そんなワリナに、その羞恥も後悔も無用のものだとばかりにシェムルは言い放つ。
「ふん! クソジジイが、私たちの足についてこられるものか。足手まといはついてくるな」
「老人をいたわることを知らんバカ娘に、誰がついて行くものか。少しはわしの義娘を見習わんか」
シェムルの言葉に乗ってソロンも軽口を叩く。もっとも、普段は養女のミシェナが甲斐甲斐しく世話を焼くのを嫌がっているくせに、どの口がそれを言うというものだ。
「とにかく、わしはついてはいけん。代わりに弁が立つ者を選んでおいた。そやつとともにマーマンとジェボアと交渉せい」
わかったとうなずくシェムルに、ソロンは続けて言う。
「あのしたたかなマーマンの女王テーテュースならば、聖戦軍とこの国を両天秤にかけてくる可能性が高い。そこに協力を得る余地もあろう。そして、ジェボアでシャピロ商会が頼りにならん、もしくは無理を押し通す必要に迫られた場合は、他の商人を頼れ」
そう言うとソロンは、ある商人の名と協力を得るための方法をシェムルに教えた。
それを聞いたシェムルは半信半疑で言う。
「わかった。だが、そんなことでこちらの要求を受け入れるのか?」
ソロンは悪戯小僧のような人の悪い笑みを浮かべて見せる。
「あやつは、すでに負い目を作っておる。さらにことが今世ばかりか来世もかかわるとなっては妥協せざるを得まい」
それからソロンは表情を真剣なものに変えると、シェムルにかみ砕くようにして言う。
「良いか。くれぐれも無理はするな。おまえが死ねば小僧は半身を失うことになる。それだけはあってはならんことじゃでな」
いつもはソロンに反発するシェムルであったが、その声に含まれていた真摯な響きに、ただ「わかった」とうなずくことしかできなかった。




