第7話 到来
八王連合国のひとつパラスト国で、押し寄せてきた大量の流民によって混乱が生じているという一報を受けた蒼馬は、まず驚き、そして困惑した。
わずかな間を置いて、それらから覚めた蒼馬は控えていたエルフの女官に命じて大陸西域の八王連合国周辺の地図を持って来させると、それを机の上に広げた。
問題のパラスト国は八王連合国の東端に位置し、ウワラルプス山脈の際にある小国である。
しかし、いくら小さいとは言え仮にも一国を名乗るパラストが混乱しているのだ。その原因となった流民の集団とやらはかなりの規模だと推測される。
蒼馬は地図上のパラスト国の周囲を指でなぞった。
「どこから流民がやってきたんだ……?」
流民とは、土地から追われたり、もしくは立ち退かねばならなくなったり、定住する場所を失って漂泊を余儀なくされた民のことである。流民とは言え、雑草のようにある日突然湧いて出てくるわけではない。彼らが流民となる前に定住していた場所があるはずだ。
しかし、パラスト国の南と西には他の八王連合国の国があるが、八王連合国内でそれほど大量の流民が生じるような自然災害や内乱などの報せは届いていなかった。そうなると流民が発生したのは、東のウワラルプス山脈か、北の荒野からとなる。
だが、北の荒野には遊牧民族が、東の山脈には山岳民族がいるとは聞いているが、いずれも少数民族でしかなく、とうてい国に混乱をもたらせるほどの流民が発生するとは考えられなかった。
蒼馬が流民の流入先を問うが、伝令兵は「わかりません」と答える。
「情報が錯綜しており、正確なところがいまだ伝わって参りません。ですが、かなり大規模な流民の集団であり、それによってパラストが混乱に陥っているのは間違いございません。確認は取れておりませんが、パラストの主要都市のひとつが流民によって制圧されたとも」
想像以上に悪い事態だというのに、その情報がまともにそろわないことに蒼馬は悔しげに親指の爪を噛む。
「わかった。――とにかく今は情報が欲しい。ピピに命じて、動員できるハーピュアンをすべて使ってもかまわないからパラストで何が起きているか調べさせて。それと、トゥトゥにも同様の命令を下す。費用と人員をいくら使ってもかまわないから、一刻も早く現地の情報を収集させるんだ」
定住する土地を失った弱者である流民と言えど、それが大規模となれば決して侮ることはできない。
流民たちが求めるのは自分らが定住できる土地である。誰もいない土地を開拓して住む分にはかまわない。だが、流民たちには土地を開拓するための農具もなければ、開拓を終えるまで食いつなげるだけの食料などあるはずもなかった。
それが少人数であれば労働力を欲する豪農や都市などが受け入れてくれる場合もあるだろう。
しかし、国が混乱するほどの規模となれば、とうてい受け入れきれるものではない。
だが、流民たちとて生きるのに必死である。受け入れられなかったからといって大人しく納得するはずがない。
そうして追い詰められた流民たちがやることは、土地と食料の強奪である。
自分らで開拓できなければ開拓を終えた農地を、自分らの食料がなければ他人の食料を。流民たちは暴徒と化して、それらを奪うのだ。
しかも、その混乱はそれだけに留まらない。流民たちによって土地を奪われた者たちは新たな流民となり、さらに新たな流民を生み出していくという負の連鎖が始まる。
そうして、まるでドミノ倒しのように混乱が広がり、ついには都市ばかりか国までも崩壊させてしまうことすらあるのだ。
蒼馬は非情の決断をもって言い放つ。
「場合によっては国境を封鎖して国内への流民の流入を防がなくてはならなくなる。東部の国境付近の領主や地方の有力者たちへ報せを走らせろ。国軍もいつでも東部へ向かえるように準備させるんだ!」
この時代では異常とも言えるほど温厚な君主と思われる蒼馬の決然とした言葉に、執務室に控えていた官吏や女官たちに危機感が走る。
「さあ! 状況は一刻を争う! 速やかに行動するんだ!」
蒼馬の言葉に官吏やエルフの女官たちがいっせいに部屋を飛び出して行った。
「なあ、ソーマ」
残ったわずかな官吏や女官たちの焦燥感を帯びたざわめきで溢れる執務室の中で、それまで黙って見守っていたシェムルが蒼馬に声を掛ける。
「私は何だか悪い予感がしてならないぞ」
全身の毛をかすかに逆立てさせるシェムルを一瞥した蒼馬は、わずかな沈黙を置いてから、力強くうなずいた。
「うん。私も、そう感じるよ」
◆◇◆◇◆
蒼馬とシェムルの悪い予感は的中していた。
このパラスト国に流入した流民と思われた集団は、ついに西域に達した渡りの神官ピーターが率いる民衆聖戦軍の一団だったのである。
この渡りの神官ピーターが率いる民衆聖戦軍の一団が辿った大陸中央からウワラルプス山脈を大きく北へ迂回して西域に至る道程は、まさに艱難辛苦のものであった。
満足な準備もなく、十分な補給も得られぬ旅程では人々は飢えと渇きに苛まれ、多くの命が失われた。また、狼や熊などの猛獣の襲撃も頻発。さらには遊牧民族の度重なる襲撃によって多くの人々が連れ去られた。
そのような艱難辛苦を乗り越えて民衆聖戦軍がたどり着いたのが、パラスト国の最北端の街メッケナである。
そのメッケナの街の領主は、突然押し寄せてきた民衆聖戦軍に仰天した。
メッケナの街は陸路における大陸中央との交易路の中継地点として、また西域の玄関口として賑わう街であった。もっとも、賑わうといっても、所詮は西域の辺境の一都市である。人口もせいぜい三千人程度でしかなく、そんな街にどこからやってきたかもわからない流民のような数万の人間を受け入れられるはずもなかった。
メッケナの街の領主は、当然ながら街門を固く閉ざし、民衆聖戦軍に速やかに立ち去るように勧告したのである。
しかし、このメッケナの街の対応に民衆聖戦軍は激怒した。
彼らにしてみれば神のお告げに従い、邪悪な破壊の御子を討伐するために艱難辛苦の旅路を踏破して来たのである。西域の人間は、自分たちを歓呼と感涙をもって迎えるべきなのだ。
だが、実際には水も食料も一切提供せず、それどころか速やかに退去を求められるという真逆の対応である。
渡りの神官ピーターは、メッケナの街を指さすと次のように絶叫したという。
「人間の神に逆らう大逆の街である!」
それは煮えたぎる油に火を投じる結果となった。
激憤した民衆聖戦軍の人々は暴徒と化し、人間の神の名と怒声を上げながら怒濤の津波のようにメッケナの街に押し寄せたのだ。
民衆聖戦軍と呼ばれてはいるものの、その実態はただの民衆の集団である。ごく一部の者たちを除けば防具はおろか、武器など持ち合わせてはいなかった。拾った棒きれや石を手にした者ですら、まだしもマシで、民衆聖戦軍の大半は素手であったという。
しかし、これを迎え撃つメッケナの街の兵士は武装はしていたものの、その人数は百にも満たなかった。それでは、怒り狂う数万人の暴徒から街を守り切れるものではない。瞬く間にメッケナの街門は民衆聖戦軍によって押し破られてしまったのである。
そして、虐殺が始まった。
メッケナの街の住民は兵士や民、老若男女を問わずに殺害されたのである。民衆聖戦軍は武器を持たなかったため、その殺害手段の大半は撲殺や絞殺であった。また、街で一番美しかった娘は民衆聖戦軍の男たちが力尽くで奪い合ったために、生きたまま四肢を引きちぎられ八つ裂きとなって絶命したという。
そして、民衆聖戦軍を拒絶した領主に至っては、焼いた針で四肢の末端から徐々に心臓に向かって刺していくという拷問の末に殺され、その死体は首に縄を掛けられると首が胴からちぎれるまで民衆聖戦軍によって引きずり回されたと記録に残されている。
こうしてパラスト国の要所であったメッケナの街は、わずか数刻のうちに滅んだのであった。
このメッケナの街が謎の流民の集団によって陥落したという報せは、戦慄とともにパラスト国王の許へ届けられた。
パラスト国王は謎の流民の集団を外敵と認定すると、すぐさま八王連合国の盟約に則り、この外敵排除のために他の八王連合国へ援軍を要請したのである。
また、それとともにメッケナの街を制圧した民衆聖戦軍に対し、速やかに降伏し、メッケナの街を解放するように使者を送った。
それに対する民衆聖戦軍の回答は、パラスト国王にとっては驚愕のものであった。
「我らはリトニヤ国のコムネス王からの要請を受け、エルドアなる国を討伐するために大陸中央よりやってきた聖戦軍の聖戦士である」
八王連合国に激震が走った。
民衆聖戦軍がリトニヤ国のコムネス王からの要請によるものならば、盟約に挙げられた外敵とはならず、八王連合国の合従軍が起こせない。
これに慌てたパラスト国のみならず他の八王連合国は、リトニヤ国のコムネス王に事の真偽を問い糾す使者を送ったのである。
ところが、リトニヤ国のコムネス王にとっても、民衆聖戦軍とそれによるメッケナの街襲撃は想定外の事態であった。
コムネス王が期待していたのは、きらびやかな武装に身を包み、規律に富んだ精強な兵たちによる軍勢の姿である。それが流民と見紛うようなみすぼらしい民衆の集団で、しかも同じ八王連合国の街を襲ってそこの民を虐殺し掠奪するなど、思っても見なかったのだ。
この想定外の事態にコムネス王は、現実逃避してしまう。
真偽を問いただす他国の使者のみならず、謁見を求めてやってくる臣下たちすらも遠ざけ、美女を集めた後宮の奥に引きこもり、だんまりを決め込んでしまったのである。
外敵に対しては一致団結してそれを迎え撃つという盟約を結ぶ八王連合国だが、しかしその内情は決して一枚岩ではない。いずれも我こそが八王連合国の盟主たらんという野心を秘め、隙あらば領土や利権を奪い合う関係であった。
そのため、外敵を誘致してその侵略を黙認するが如きリトニヤ国の対応は、パラスト国救援に援軍を派遣させて手薄となった国へ攻め込もうという策謀ではないかという疑念が生じ、八王連合国の国々は身動きが取れなくなってしまったのだ。
そうしている間にも、八王連合国の援軍が望めぬままメッケナの街を拠点とした民衆聖戦軍による虐殺と掠奪が国内に広がっていく状況に、ついにパラスト国王は音を上げてしまった。
知らなかったこととはいえ聖戦軍に対して無礼があったと認め、あくまで聖教への喜捨という名目で、民衆聖戦軍へ賠償金と糧食の提供を申し出たのである。そして、その引き渡しの場所として、隣国マーディバルとの国境に近い街を指定したのだった。
すなわち金と食い物で釣って、民衆聖戦軍を一刻も早く隣国へ追いやろうとしたのである。
このパラスト国王の対応に留飲を下げた民衆聖戦軍はメッケナの街を解放すると、賠償金と糧食を受け取り、マーディバル国へと進行したのであった。
パラスト国王の国を守るための苦肉の策だったが、これが獣に人肉の味を覚えさせてしまう結果となってしまう。
その大半は民衆からなる民衆聖戦軍だが、ごく一部にそれ以外の者たちもいた。
それは、特定の主君を持たないために給金がなく、きらびやかな鎧ではなく、防腐剤で真っ黒に塗った鎧を着ていることから黒騎士と呼ばれる野良の騎士や、また傭兵や野盗などの暴力を生業とする者たちである。
彼らは民衆聖戦軍の暴力性を理解すると、指導者であった渡りの神官ピーターを唆し、明確な意図をもってマーディバル国の侵略に乗り出したのだ。
彼らはパラスト国から得た賠償金を元に民衆たちを武装させると、マーディバル国の村や街を次々と掠奪し、ついにはマーディバル国の王都まで制圧してしまう。
そして、渡りの神官ピーターはマーディバル国王の姫マルパティを妃に迎えて自ら王に即位すると教王を名乗り、マーディバル国を神聖イノセンティア王国と国号を改めたのであった。
◆◇◆◇◆
「流民と思われた集団は、自らを聖戦軍と称しております!」
「パラスト国の街メッケナは、聖戦軍によって完全に破壊されました!」
「メッケナの街を侵略した時点で、聖戦軍の規模は二万を越える大軍だそうです! ですが、その後に後続の集団も合流し、さらに数を増やしているとのことです!」
「聖戦軍によってマーディバル国の王都が陥落! 指導者ピーターなる者が教王を名乗り、神聖イノセンティア王国の建国を宣言したそうです!」
「マーディバル王国の民たちは聖教への強制改宗を求められ、これに従わぬ者は皆、奴隷落ちにされるそうです! また、人間の神以外の七柱神の神殿はすべて打ち壊され、聖職者らはすべて火刑に処せられております! マルパティ姫以外の王族の方々はことごとく殺害され、その死体が城壁に吊されているそうです!」
ハーピュアンの伝令兵を介して、八王連合国に張った「根」の間者やトゥトゥの手の者たちから、蒼馬のところへ次々と聖戦軍に関する凶報が舞い込んできた。
そのいずれも誰もが想像し得なかった最悪のものである。蒼馬の招集を受けて集まった諸将や重臣たちは、驚愕のあまり一様に言葉すら発せずにいた。
「いったい、何なんだこれは……?」
そして、蒼馬もまた愕然とし、言葉を失っていた。
はるか遠い大陸中央から、わざわざこの国を討伐するために何万もの人々が西域に攻め入ってきたというのはわかる。
だが、なぜこのような事態が起き得たのかが飲み込めなかった。
例えば、これがモンゴルの遊牧民族ならば理解できた。
彼らは家畜に食わせる草が豊かに茂る放牧地を転々と移動するため、特定の土地へ執着することがない。その土地を支配し、自分らで管理し、栄えさせ、利益を得ようという考えがほとんどないのだ。そのため、あたかも大量発生した飛蝗の群れのように、次々と餌場となる街や村への襲撃と掠奪を繰り返し、その範囲を広げていける。だからこそ、ユーラシア大陸を横断する大帝国を築けたのだ。
だが、ハーピュアン斥候兵たちは、聖戦軍と名乗る集団はそのほとんどが普通の民衆に見えたという。その土地に根づき、その土地に縛られ、その土地で一生を終えるはずのただの民衆が、何故これほどの集団で彼らにとっては最果ての地であるこの西域に命を懸けてまでやって来ることができたのであろうか。
例えば、これがこれがアレキサンダー大王のような英雄に率いられたものならば理解できた。
あなたにならば地の果てまで着いていくと誰も彼もが心酔し、絶叫とともに宣言してしまう。そんな圧倒的なカリスマを持つ英雄に率いられたのならば、多くの民衆がその後ろ姿を追い求めてやってくることもあるだろう。
だが、自分の討伐を掲げておきながら途中で滅ぼした国に建国して玉座に収まるなど、どう考えても俗物の所業である。とうてい圧倒的カリスマを有する英雄ではあり得なかった。
では、何をもって彼ら民衆は、この西域までやって来られたのか?
その疑問の答えを見出そうと悩む蒼馬の脳裏に、記憶の中の声が甦る。
『実は、陛下が聖教の敵に認定されたという噂です』
それはホプキンスと接見したときの会話であった。
「聖戦軍。……聖戦? 聖戦っ?!」
蒼馬は自身の背骨に氷柱を押し込まれたような悪寒を覚えた。
遊牧民族でもない民衆が土地を捨てて、この西域までやってきた理由。
アレキサンダー大王のような英雄に率いられずとも、この西域にまで到達できた理由。
「宗教的熱狂……!」
そして、蒼馬は知っていた。
かつて地球の歴史においても、よく似た事例があることを。
ローマ教皇の聖地奪還の呼びかけによって、王侯貴族や騎士たちばかりか老若男女や傷病人、果ては少年少女までが集まり行われた中世の西欧カトリック諸国の大遠征。
蒼馬の目がカッと見開かれる。
「十字軍っ!」
神がそれを望まれるという大義名分の許に、敵対するイスラム教圏ばかりか同じキリスト教徒に対しても虐殺と強姦と掠奪を繰り返したキリスト教の汚点。
それと同様のことが起きたという推測に、蒼馬は戦慄した。
「急報! 急報っ!」
そこへハーピュアンの伝令兵が窓から飛び込んできた。
自分の携えてきた凶報に顔を青白くさせたハーピュアンは恐怖と動揺のあまり蒼馬の許しを得るのも忘れて一気にまくし立てる。
「ミラトス国の港町デネアに、次々と多数の船舶が入港してきております! そのいずれにも聖戦軍を名乗る武装した騎士や兵士が多数乗り込んでおり、その数は数万に達する模様!」
さらなる聖戦軍の増援の報せに、蒼馬は息を呑み、居合わせた者たちの間からはどよめきが洩れた。
しかし、すぐに蒼馬たちは自身が思った以上に、事態はさらに深刻なものであったと思い知ることになる。
「ミラトス国宮廷に近い者たちから得られた情報によりますと、カーディナル帝国の宰相フリッツより船団の受け入れと、聖戦軍への便宜を図るようにとミラトス国へ通牒がなされたそうです。また、それによると――」
そのハーピュアンは、ここで言葉を詰まらせてしまう。
なぜならば、それほど重大かつ致命的な内容だったからだ。
音を立てて唾を飲み込んでからハーピュアンは最悪の報せを告げる。
「聖戦軍の総大将は、アウストラビス大神官! そして、その副将は、バグルダッカ大公クロゥにございます!」
その場に居合わせた者たちの間で、その報せが無形の爆弾となって炸裂した。
聖教の三大神官のひとりにして、その筆頭とされるアウストラビス大神官。
同じく聖教の三大神官のひとりであり、《暴君》と恐れられるクロゥ・カァン・バグルダッカ大公。
いずれもはるか西域までその名が知れ渡る人間の神の御子だ。
神が実在し、その神から恩寵を授けられたふたりの御子が自ら兵を率いての遠征である。
それは、誰もが狂うはずだ。
それならば、誰もが狂わぬはずがないのだ。
そして、その狂った者たちが、このエルドア国に向かってやってくる。
その事実がもたらす恐怖に、蒼馬の脳裏は真っ白に染められた。
しばらくして我を取り戻した蒼馬は、その場に居合わせた者たちがすべて自身を注視していることに気づく。
誰も彼もが驚愕と恐怖をない交ぜにした目で、すがるように自分を注視している。
蒼馬は彼らの心情を察することができた。
これまで数々の強敵や難敵を退け、自軍の数倍からなる敵すらも何度も打ち破った実績を持つ蒼馬である。この未曾有の大侵略に対しても何か打開策を見出してくれるのではないか。そんな期待をもっての注視である。
しかし、蒼馬は皆の目を避けるように机の上に両手を突くとうつむいた。
「エルドア国の王として皆に命じる!」
そして、顔を上げぬまま蒼馬は慟哭するかのように叫ぶ。
「焦土作戦を決行する!」
蒼馬のトラウマポイントは人を焼き殺してしまうことなので、人を追い出してから家を焼いたり、田畑や森林を焼いたりするのは問題ないです。
ですが、私は作者として常々こう考えるのです。
物語の主人公たる者、トラウマは乗り越えるべきものなのだと!
それこそが盛大に燃える展開なんだと!(意味深)




