第41話 備え
ミルツァの戦いの翌日。
前日の宣言どおり蒼馬は日の出とともに城館を捨てて、ガッツェンの街へと向かったのである。
このとき、いまだ多くの負傷した者たちの手当も満足にできていない状態であった。それは傷薬や包帯などの物資が城館に不足していたからだけではない。今は、いつ何時ロマニア国軍が城館に攻め寄せてきてもおかしくない状況である。そんなときに、満足な防壁もない城館に留まってはいられない。たとえ負傷兵に無理をさせてでも、一刻も早くガッツェンの街へ戻らねばならなかった。
そうした撤退の中で一番懸念されていたのは、ロマニア国軍の追撃だ。
多くの負傷兵を抱えたところに襲撃を受ければ、今度こそ全滅する恐れがあった。
そのため、蒼馬だけでも余力のある兵とともに街へ先に向かわせようという意見が出たのも当然である。だが、そうして少数の護衛しかいないところで、今度こそ蒼馬の首を挙げようと襲撃してくる可能性もあった。
主にシェムルを中心とした侃々諤々の議論の末に、結局は蒼馬もまた生き残った兵とともにガッツェンの街へ向かうことにしたのである。
ところが、そうした心配とは裏腹に、ロマニア国軍の本隊はいまだミルツァより動く気配を見せなかった。
これはロマニア国軍が大勝利に浮かれ、油断したからだけではない。誘い込んだエルドア国軍を逃がさぬためのミルツァの地形が、ロマニア国軍にとっても行軍の足枷となっていたのだ。さらに慣れぬ敵地での大軍ともあって、ロマニア国軍は予想以上に行軍に手間取っていたのである。
そうした動けないロマニア国軍の本隊に代わり、ガッツェンの街へ退去する蒼馬たちをしつこく追撃してきたのは、ピアータだった。彼女は百狼隊を率いて、その名のとおり送り狼の如く蒼馬たちをしつこく追跡してきたのである。
しかし、そんなピアータと百狼隊たちもまた万全ではなかった。
前日の戦いによる消耗を回復せぬうちの追撃戦である。馬の体力の消耗が著しい重装騎兵の銀狼兵と蒼狼兵は休まさざるを得ず、その追撃は軽騎兵である金狼兵のみによるものだった。
これでは如何にピアータとて、疲労によって本隊から遅れてきた兵を襲う程度の嫌がらせしかできなかったのである。
だが、それでも蒼馬は金狼兵への対策を取らざるを得ず、そのためにエルドア国軍の行軍の足は遅々として進まなかった。そんな蒼馬たちがようやくガッツェンの街にたどり着いたのは、城館を出てから二日後のことだった。
歯噛みするピアータが遠くから眺める中で、ガッツェンの街の門をくぐる蒼馬たちエルドア国軍だったが、その姿はひどいものだった。
満足な休息も取れず、食べるものも飲む水もない状況での敗走である。誰も彼もがボロボロで、槍や剣を杖にし、それにすがって何とか歩いている者も多い。それは、どこかの難民や流民もかくやという有様であった。
そんな兵たちとともにガッツェンの街に入る蒼馬は暗澹とした気分であった。
まんまと敵の策にはめられての大敗である。しかも、それは住民から街に留まって欲しいという願いを押し切ってまで出陣した結果なのだ。
どの面を下げて民の前に出られるというのか。いや。昨夜、兵たちを前に次こそロマニア国に勝利すると誓ったばかりではないか。ここで民を前にするからといって、くじけてはいけない。
そんなことを考えながら顔をうつむかせたまま門をくぐり抜け、街の中に入った蒼馬を大音声が出迎えた。
しかし、それは蒼馬が予想していたような罵声ではなかった。
それは蒼馬の無事を喜び、歓迎する声だったのである。
「王様が、ご無事で帰還なされたぞぉ!」
「よくぞお戻りくださりました!」
「王様の御生還に、神へ感謝を!」
街の門から真っ直ぐ伸びる目抜き通りには、数え切れないほどの住民の姿があった。彼らは手にした食べ物や飲み物を蒼馬と一緒に街へ入った兵たちに手渡していく。さらに男たちは疲れ切った兵たちに肩を貸し、女子供たちは濡らした布で兵たちの顔の汚れを拭ってくれていた。
この時代、王や領主たちに民が従い、税を納めてくれるのは、王や領主たちが自分らを庇護してくれるからだ。
他国からの侵略を防ぐという一番果たさなくてはならないその務めに失敗し、多くの兵を失ってしまうという大失態をしでかしたというのに、それを石持て糾弾してくるどころか、こうして民の方から慰労されるとは思いもしなかったことである。
この光景に蒼馬はしばし茫然としてしまった。
「当然でしょう」
そんな蒼馬へ声をかけたのは、セティウスである。
「陛下はロマニア国によってこの街が蹂躙されたとき、何よりもこの街の住人を助けることを優先し、その後も街の再建に尽力なされました。国政がわからぬ民とて、それぐらいは理解できます。その感謝の念は、ただ一度の敗北で消し飛ぶものではございません」
「そうか……」
蒼馬はやっとそれだけ返すと、口を固く引き結び、空を仰いだ。
馬の轡を取っていたシェムルが、そんな蒼馬を茶化す。
「何だ、ソーマ。泣いているのか?」
「うるさい。放っておいてよ」
空を見上げたまま拒絶する蒼馬に、シェムルは楽しげに目を細める。
「断る。王をいじくる権利を行使させてもらう」
「そんな権利を与えるんじゃなかった」
そうぼやく蒼馬は、結局最後まで空を振り仰いだままだった。
◆◇◆◇◆
住民の歓迎を受けてガッツェンの街に入った蒼馬は、ようやく敵の襲撃に怯えることのない場所に入れたことから、その日は兵たちと同様に泥のように眠ったのである。
そして、その翌日。心身ともに活力を取り戻した蒼馬は、さっそく行動を開始した。
まず、やったのは今回の戦いによる被害状況の確認である。
そうして被害状況を確認した蒼馬は、その被害の大きさに改めて愕然としてしまった。
もっとも被害が大きかったのは、ドワーフ重装歩兵である。生き残ったドワーフたちは、わずか三百人あまり。これは、王都を出陣したときの三分の一以下の数字であった。
しかし、戦死者の数でいうならば、もっとも被害が大きかったのはゾアンの戦士である。このときガッツェンの街に戻ってこられたゾアンの戦士は、三千にも満たなかった。方向感覚の優れたゾアンが道に迷ったとは思えない。帰還していない戦士のほとんどが戦死したと考えて間違いないだろう。敵陣突破という無理な突撃を敢行したがために最低でも千人以上――おそらくは二千近い数の死者が出ていたのだ。その先頭に立っていたズーグなどは深手をいくつも負い、今はその傷の熱でウンウンとうなっているという。
また、もっとも損害が低かった人間種の兵の中にも、道に迷ったか敗走に紛れて逃げたと思われる未帰還者が二百名あまりいた。
そうした者たちを合わせると、およそ三千人近くの兵をたった一度の戦いで失ったことになる。
振り返ればミルツァの戦い自体は、日の出から一、二時間の間のことである。蒼馬が城館に逃げ込むまでを入れても、半日程度でしかない。
その短い間に、全軍の三割から四割を失ってしまったことになる。
まさに、大惨敗であった。
しかし、嘆いてばかりはいられない。
すぐさまロマニア国軍に対する対策を取らなければならなかった。
蒼馬がもっとも懸念していたのは、ロマニア国軍がそのまま南下して南部を劫掠することだった。ところが、ロマニア国軍はミルツァで反転し、全軍をもってこのガッツェンの街へ向かってきているという。これはロマニア国軍の狙いがエルドア国南部劫掠などではなく、明らかに自分を見据えたものであったという証拠であった。
そのため、蒼馬はロマニア国軍の狙いを読み違えていた自分の失策を改めて痛感せざるを得なかったのである。
ロマニア国軍がガッツェンの街に向かっているという報せに、エルドアの将校の間からは、再び狭い山間の街道を行軍してくるロマニア国軍を奇襲する策が蒼馬へ上奏されてきた。
ロマニア国軍は大勝利に浮かれて油断している。そこを襲撃すれば、兵力に劣っていても十分な戦果が上げられるはずだ。
それが上奏してきた将校の言い分である。
しかし、蒼馬はこれを棄却した。
大敗による失点を取り戻そうと焦り、満足な準備も対策もないまま再戦を挑んだ挙げ句、さらに大敗を喫してしまうというのは、古今東西の戦史でも良く見受けられる展開だ。
特にその奇襲はロマニア国軍が油断しているというのが前提の策である。もし、ロマニア国軍が奇襲に対して万全の警戒を取っていた場合には、それこそこちらの方が手痛い反撃を受けることになってしまう。
ミルツァでの失点を取り戻したいという焦りはあるものの、ここはいったん敗北を受け入れた上で、すべてを仕切り直すのが上策と蒼馬は判断したのである。
また、あえて時間を置くことは他にも利点があった。
それは増援の到着である。
今頃、ソルビアント平原ではグルカカとバヌカのふたりがゾアンの戦士たちを、マーベン銅山からはノルズリがドワーフたちを、そして元ホルメア国では人将マルクロニスと、その副将で「黒壁」のアドミウスらが兵を集めている頃だ。彼らは集めた戦力をいったん王都に集めてから、こちらにやってくる手筈となっていた。
ここは無理して打って出るのではなく、ガッツェンの街に籠城して時間を稼ぎ、増援の到着を待ってからロマニア国軍に決戦を挑む方が最善であると蒼馬は判断したのである。
さらに蒼馬はロマニア国軍との決戦に備え、ハーピュアンの伝令兵を介してノルズリとアドミウスへある命令を伝えていた。
ふたりならばさほど苦労はしないと思うのだが、それでもその準備にはそれなりの時間がかかる。そうなると増援の到着は、さらに遅くなってしまうだろう。
彼らが到着する前に街を攻め落とされては元も子もない。
そこで蒼馬は、自分の代わりに街の統治を任せていた代官と、街の名士や有力者などの住人の代表を呼び集めると、彼らに自分が大敗したことと、この街へロマニア国軍が攻め寄せてくるであろうこと、そして増援が予定よりも遅れてしまうことまでを包み隠さず話したのである。そして、その上で、蒼馬は彼らに協力を求めたのだ。
これに代官と住民の代表たちは、ふたつ返事で蒼馬への協力を約束してくれた。それどころか、何か自分らにも手伝えることはないかとまで申し出てくれたのである。
これに蒼馬はホッと胸を撫で下ろした。
街に入った際の住民らの熱烈な歓迎振りからも、あまり心配はしていなかった。だが、実際に彼らの方からも協力を申し出てくれたのは、これから街に籠城する上で、これほどありがたいものはない。
蒼馬は協力に深い感謝を示すとともに、彼らとの連携にセティウスを当てることに決めた。
人将マルクロニスの副将としてエルドア国東部の戦災復興に従事していたセティウスは、これまでもガッツェンの街にも頻繁に訪れており、彼らとも気心が知れているであろう。また、敗走の際に思わぬ統率力を示したセティウスならば、街の住民らと連携を取り、統率させるのにも不安はない。
この蒼馬の采配に、街の住民らは大いに納得し、またセティウスはしかめっ面で受諾したのである。
また、それとともに蒼馬はドワーフを率いるドヴァーリンへセティウスと協力して街の守りを固めるように指示した。
城や街などの拠点防衛の技術に関しては定評のあるドワーフだ。その力をもってすれば、かねてよりロマニア国軍の侵略を防ぐ防波堤の役割を期待されて備えを整えられていたガッツェンの街ならば、増援の到着まで持ち堪えるのも難しくはないだろう。
しかし、それでも油断はならない。
事前に策定していたガッツェンの街の防衛策では、ゾアンの戦士たちを街の外へ出し、遊撃兵としてロマニア国軍の後方や補給線を脅かす手筈であった。
ところが、それを任せるはずのズーグが負傷してしまっていたのだ。
ズーグ以外でゾアンの遊撃隊を任せられるとなると、後はガラムしかない。だが、ガラムは大将軍である。できればガッツェンの街に残って兵たちを指揮して欲しかった。
また、敵の補給線や後方への襲撃は、嫌がらせの意味合いが強い。そうなると堅実なガラムより、自由奔放なズーグの方が得意とするところだ。
そのため蒼馬はガラムとともに、見舞いを兼ねてズーグの傷の具合を確認しに行ったのである。
「おう、陛下じゃないか。一緒に一杯やらんか?」
ところが、傷の熱でうなっているはずのズーグが、ドヴァーリンたちと酒宴を催していたのである。
いくら頑丈とはいえ、あれほど傷を負っているのに酒を飲んで大丈夫かと心配する蒼馬にズーグはうそぶいた。
「身体の中から殺菌とかいう奴よ」
確かに蒼馬は敗血症を予防するため、負傷した際には傷口をいったん煮沸した水や強い酒で洗うのを軍学校などを通じて推奨させていた。しかし、酒を飲んでも敗血症の予防にはならない。単に酒が飲みたいがための方便である。
だが、これだけ元気ならば遊撃兵を任せられそうだ。
そう思った蒼馬は、ズーグに尋ねた。
するとズーグは真剣な面持ちになると、手にした酒杯に目を落としながら、重苦しい口調で言う。
「さすがに、今は無理だ……」
こちらを心配させまいと戯けてはいても、やはり負った傷は重いのだろう。
やむを得ない。そう判断した蒼馬がガラムに遊撃隊をお願いできないかと言うと、ガラムは小さくため息を洩らしてズーグに向けて言う。
「ズーグ。その飲みかけの酒樽ごと持って行って良い。何なら、俺の権限で追加でもう一樽を持たせてやるから、さっさと行け」
とたんに、ズーグはニカッと笑った。
「そうか? すまんな、催促したみたいで。さすがは大将軍様だ」
そう言うなりズーグは立ち上がると、身体中に巻いた包帯を邪魔だとばかりに引き千切った。そして、酒樽を肩に担いでノシノシと歩いて行ったのである。
そんなズーグを唖然と見送る蒼馬にガラムは言う。
「あのひねくれ者が、弱音を吐くわけなかろう」
言われてみれば、それもそうだ。
蒼馬は呆れつつも、これでロマニア国軍に対する対策はすべて打てたと安堵したのである。
◆◇◆◇◆
蒼馬がガッツェンの街に帰還してから三日後。
その日も来たるべきロマニア国軍の襲来に備え、主だった将や街の有力者を交えて籠城の準備をしていた蒼馬は、ゾアンの太鼓が打ち鳴らされるのに気づいた。
蒼馬はいまだゾアンの太鼓の拍子の意味を正確には聞き取れない。だが、その激しい打ち方には聞き覚えがあった。
それが間違っていないか確認するため、傍に立つシェムルへ目を向ける。すると、シェムルは蒼馬の考えを肯定するかのように力強くうなずいた。
「ソーマ。ついにロマニア国軍がやってきたぞ」
蒼馬はシェムルたちをともなって急ぎ街壁の上へと向かった。
すると、街壁の上には見張りの兵ばかりかロマニア国軍襲来の報せを聞いて野次馬たちまですでに集まっていた。
そうした野次馬たちが口々に何かを言いながら指差す方を見やれば、ゆっくりとこの街へ向かって進軍してくるロマニア国軍の姿があった。
「ついに来たか……!」
蒼馬は固く拳を握り締めた。
ようやく姿を現したロマニア国軍だったが、不用意には街へ近づいてこなかった。エルドア国軍が急に打って出てきても、それに余裕をもって対応できるだけの距離を置いて野営の準備を始めたのである。
それとともに設営を始めたロマニア国軍から、遠目でも目立つ派手派手しい鎧兜を身につけた騎士を乗せた馬が、従兵らしい数人の歩兵を連れてガッツェンの街に向かってきた。
見るからに身分のある将軍とおぼしきその男は、蒼馬たちが立つ街壁の近くまでくると、偉そうに馬上でふんぞり返りながら声を張り上げる。
「街の者たちに告げる!」
ロマニア国の将軍の声が、静まり返った街の空へこだまする。
「我らは偉大なるロマニア国、その正統王位継承者であらせられるパルティス殿下の軍である!」
すでに周知のものではあるが、改めてロマニア国の王子が自ら率いる軍であるという事実に緊張が走る。
「貴様らの王を僭称する破壊の御子が、パルティス殿下の威の前に敗れ去ったことは、すでに承知しているであろう! もはや奴におまえたちを守る力などない! 抵抗など無意味である! すみやかに降伏せよ!」
この降伏勧告に、ガッツェンの街は沈黙で応じた。
さらに将軍は続けて言う。
「パルティス殿下は慈悲深いお方である! 今すぐに門を開放して降伏し、破壊の御子を我らに差し出せば、住民らの命は保証しよう! さもなくば、このまま軍を押し進め、一日とかけずして街をかつてと同じ有様にしてくれる! それでも、良いのかっ?! 返答や、如何に?!」
さて、これに何と返そうか。
そう考えていた蒼馬よりも早く、街壁の上に出ていた街の住民たちの中から動きがあった。
街壁の近くまで来ていた将軍に向けて、何かが投げられたのである。
さすがに開戦前にいきなり攻撃はまずいだろう。
ロマニア国の将軍に向けて放物線を描きながら落ちていくものを目で追いながら、蒼馬は焦る。
蒼馬の焦りとは裏腹に、街壁の上から投げられたものは見事に将軍の顔面に命中した。
しかし、予想していたような打撲のような音はしない。
代わりにしたのは、べちゃっという湿った音だった。
「こ、これは牛の糞かぁ!! ぺっぺっぺっ!」
口に入ってしまったのか、顔を必死に拭いながら将軍は地面に向けて何度も唾を吐く。その滑稽な姿に、街壁の上にいた住民らから爆笑が湧き上がる。
「クソでも喰らいやがれ、ロマニアのクソ野郎ども!」
「こっちは四年前の恨みを忘れちゃいねえからな!」
「あのときの恨みを晴らしてやるから、かかってきやがれ!」
そうした怒声とともに、バラバラとものが投げつけられる。
これにロマニア国の将軍は顔を真っ赤にすると、「覚えていろ!」と芸のない捨て台詞を残して本隊へと駆け戻っていった。
それを住民や兵たちとともに笑って見送った蒼馬は、セティウスを呼び寄せる。
「今回のは笑ってすませるけど、次からはきちんと住民たちも指示に従うように徹底させてね」
目尻に浮かぶ涙を指先で拭いながら蒼馬が命じると、セティウスはいつものしかめっ面で「了解いたしました」と答えた。
それから蒼馬は街壁の上で後ろを振り返る。
すると、街壁の上ばかりか、その下にまで多くの住民らが押し寄せていた。彼らは一様に自分へと熱い視線を向けている。
兵たちばかりではない。街の人々まで戦意旺盛だ。
蒼馬は拳を作った右腕を大きく振りかぶる。
「さあ! ロマニア国を追い払い、街を守るぞっ!」
蒼馬の声に応じ、街の至るところから上がる「おう!」と言う声が空へ轟いた。
ロマニア戦役の第二局面となる「ガッツェン攻防戦」の始まりである。




