第4話:地雷
嫌な予感が体中を駆け巡る。
青ざめている綾子に英雄は次の瞬間、また信じられない事を話し出した。
「…なんかさ…仲良かったら…悪いんだけどさ…昔から?アレ、あんなんなの?」
えっ!?
綾子は自分の想像していた事とはまた違う事を言われ、キョトンとする。
「えっ…?岡本君が…どうしたの?」
逆に、英雄に探りを入れてみる。
英雄はまた辺りをキョロキョロ見渡して、「すっげぇ暗い奴って営業課じゃあ入社早々有名だったんだってさ。」
英雄は続けて
「ちょっと可哀想だよな…社交的じゃない奴が人と関わらなきゃいけない営業課に配属されちゃあさぁ…まぁ、社会人だし、性格とはいえ、な。割り切るしかないよな…」
暗い奴?
確か昔は…常にクラスの中心にいる男子グループの1人だった…
どうして?
そこにもう一つ。違和感を覚えた内容があった。
どうして石渡マネージャーは私と彼が同級生と知っていたのだろうか…?
役職に就いているとは言え、彼はともかく、私の履歴書を総務課でない限り勝手に見る事は考えられないし、皆の前で会話してもいないし、気付く訳も無い。
彼が同級生だったという事を自ら話したのだろう。
何の為に?
疑問が次々に浮かび上がる。
結局、岡本の話はここで終わってしまい、後はいつもの雑談になった。
英雄にとって、どうでもいい内容だったようだ。
いじめられてた過去は知られてないと思う。
彼が入社してから、営業課の人達とも普通に接していたし、彼は私の過去なんか話してないだろう…
少しゆとりが出て来た。
でも、まだ岡本の存在は綾子にとって地雷のような物だった。
仕事に嫌気差して辞めてくれれば…
そんな事も内心願っていた。
だが、数日後にまた綾子を凍り付かせる事件が起こるのだ。
「綾ちゃーん。総務課松本部長から電話っ」
松本部長に呼び出され、総務課の事務室へ行くと、松本部長がニコニコしながらこう言った。
「町田クン。君、いつも仕事もバリバリやってくれるしさ。ずっと経理事務ばっかりやってたけど、営業事務で人手が足りなくて、君しか頼めないと思って任せたいんだ。」
綾子はまた大きな衝撃を受ける。
「営業課に…配属ですか…?」
そんな綾子に全く気付かず松本部長は
「そう。来月から営業課に移動という事になるね。上も、石渡も、君なら完璧にこなしてくれるだろうって期待してるんだ。今までの仕事よりちょっと大変だけど、石渡もフォローするし、やり甲斐はあると思うよ。頼んだよ!」
ポンッ!と綾子は肩を叩かれ、一瞬よろける。
来月から…同じ…部署に…!?