表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/21

第21話:手紙

あれから…10年目の春。



窓から桜の花が見える絶好の花見スポットでもあり、職場の中で唯一、俺だけの城でもある、日の当たる小部屋で今朝届いたハガキを読む。


―――――――――――

《岡本君へ》


お元気ですか?

“先生”頑張ってる?

ウチは上の子も下の子も暴れん坊でついて行くのが大変だけど、毎日が楽しいよ。

また友喜君と、こっちに遊びに来てね。

高橋英雄・綾子


―――――――――――

ハガキの写真には七五三でおめかしした2人の男の子が笑顔いっぱいで写っていた。


町田もすっかり『お母さん』だな…


敬二はほほ笑みながら溜め息をついた。



コンコン…


敬二はそっと鞄にハガキをしまう。

「どうぞー。」



ガチャ…

数人の男子生徒が

「せんせー!お茶しよー!」


「おいおい。ここは悩んでる子がくる所だぞ。おやつは出ないぞ。」


男の子達はエヘヘと笑いながら席に座る。


「俺、お母さんと仲直りできたよ!」

「こないだの事!やり返してやったよ!」

「最近学校楽しいよ!」


口々に報告してくれる。

彼らは以前、スクールカウンセラーの“敬二せんせー”が悩みを聞いた子供達だった。

その時、彼らは相談室で仲良くなったのだろうか。ちょくちょく敬二の隠してるおやつ目当てに遊びに来てくれる。


わいわい勝手に敬二の隠してたチョコをつまんで楽しそうにしゃべっている。


「おまえら〜…チョコ内緒にしてくれよ…教頭先生に怒られるからさ〜」

とか言いながら敬二は嬉しそうに笑っていた。


コンコン…


ああ。悩みのあるお客だ。


「どうぞー。」


女の子が泣きながら入って来る。


「どうした?何か困った事でもあったかい?」

敬二は優しく尋ねる。


男の子達はチョコを差し出す。


「まあまあ〜チョコでも食って元気だそうぜ!」

「なんかあったの?」


「とりあえず泣くのをやめようぜ!」


ああ…こいつら頼もしいな…


女の子も男の子達に励まされ少しずつ笑顔を取り戻して行く…


あ…良かった。

泣きやんでくれた。


「せんせー…あのね…」

女の子は少しずつ俺に打ち明けてくれた。


話してスッキリしたのか、男子達と一緒になってわいわいやってる。


その様子を微笑ましく思い、見守る。



これが…今の俺の毎日だ。


今の俺はスクールカウンセラーとして、東京郊外の私立小学校に赴任している。まあ…いろいろあって大変だったけど…

…お陰様で毎日が充実している。

この小さな友達もたくさん出来たし。






帰り道。


週に1回になったけど、相変わらず変わってない習慣がある。


立場は逆転されちゃったけど。


「父さーん!お疲れ!」

校門で手を振る背の高い中学生。


そう。友喜だ。


最初大きめの制服を買ったのに、最近は縮んだように小さい制服に見える。


相当身長が伸びたんだな…。


それにまた声も低くなってる?


早いな…成長するの。



「待った?」

「いや?俺も今来たばっかだから。」


友喜はやっぱり母親似だ。


でも、全体を見ると、足して2で割った感じか?


「そうそう。高橋さんとこからハガキ来てたぞ。」

「えっ!?見して見して!!…わあ〜っ…あいつらこんなにでっかくなったんだ〜!!えいゆうさん、すっかり親父の貫禄だね〜!」


そう。“えいゆうさん”も相変わらず。

それで覚えちゃってたらしい。



「いつか…また、えいゆうさんの家、遊びに行きたいな〜!」


「そうだな…友喜が高校決まったら報告がてらに行こうか!」


友喜は嬉しそうに笑ってうなずく。


「そうなったら…いい加減、真面目に勉強しよっかな…」

「…そのセリフ。今までたくさん聞いてるんだけど?」



親子は互いに笑う。



幸せな2人家族。


俺は結局再婚しない決意をした。


友喜はこの事にかなり賛成してるみたいで…心の中に母さんがいるから、父さんが再婚って…なんか嫌だな…って言ってた位だ。

俺も考えられないし、最愛の人は一人で充分だ。

…充分幸せだ。


たまに友喜は友達の家に泊まりに行ったりしてて、ちょっと寂しかったりもするけど、必ずちゃんと帰って来るのが解るから、安心していられる。


俺、ちゃんと幸せ掴めたよ…


お互い、決して独りぼっちじゃない。


絆がある。


目に見えてないけど、ちゃんと解る。



離れてしまうのか?と、心配してたけど、全然そんな事なかった。


もう…後ろを見ない。


本当、高橋さんの言った通りだ。




その日の夜。

あまり手紙なんて書いた事がないからハガキに悪戦苦闘したが、ちゃんと返事を書いた。


―――――――――――

《町田へ》

ハガキありがとう。

子供達、大きくなったね!

写真を友喜に見せたらやっと真面目に受験勉強をする決意をしてくれたよ。

友喜の進路が決まったら報告がてらにまたお邪魔します。

2人共、子育て頑張って!

岡本敬二

―――――――――――



本当は付け足したかったけど、やめた文字がある。


岡本敬二の続きに

『友香・友喜』

と…。


本当に3人家族だ。


心の中で…永遠に…



町田はこの続きの文字に気付いてくれるだろうか…


切手を張り、空を見上げる。



昔…不思議な夢を見た。

―――――――――――

真っ暗で…出口のない部屋の中に俺が居る。

それは…教室だった。


そこに誰かが色を纏って現れる。


誰だろう。



町田?



周りには悪魔の仮面をつけた子供達。



町田は悪魔の仮面をつけてない。



…逃げよう!

俺が言った。

…逃げる?

町田は不思議そうにする。

どうして?と言わんばかりに。



悪魔の仮面姿の子供達が迫って来る。


俺と町田の服を引っ張りながら詰め寄る悪魔達。


あれ?

あんまり怖くないぞ?


なんでだろう?


飛び越えられる自信があるからかな?


町田の顔を見ると…


大丈夫。

と言いたげにうなずいていた。


俺も大きく頷いて、

大丈夫

と、ほほ笑んだ。



俺も、もう震えていない。


…逃げる…じゃないね。先に行こう!


俺と町田の手をそれぞれ引く者が居た。



あ…!光が…眩しい!


出れたんだ…ここから…やっと…


町田も出れたんだ…!良かった…



そして手を引いた者を見る。


誰?この人…


『人は所詮…人。』

『理由無く人を攻撃するのは』

『本能。』

『人は…進化を怠っている。』

『衰退…』

『本能に支配され…』

『やがて…』


なんだそれ…?



『成長する力』


『乗り越えられる人が絶えなければいいがな…』


えっ!?


あんた…誰?

―――――――――――




不思議な夢だった…。


その後…場面が変わって…友香が出て来たんだ…


「ありがとう!!ありがとう!!」



俺はがむしゃらに叫んでいた。



友香に言いそびれたお礼。


ずっと言いたかったのは…

懺悔でなく…


お礼。


友香は優しくほほ笑んでくれた…

そして俺に、

「ありがとう」

と囁いてくれた所で目が覚めた…。







最近は写真に『報告』をしている。


友喜の成長ぶり。

学校での事。


そして…

幸せだって事…。



もう怖くない。

あの部屋には…2度と戻る事はないのだから…。

これからもまだまだ歩いて行くんだ。


ずっと…。



友香の写真の横に、高橋さんと町田の挙式の写真がある。


俺含めて、みんな…幸せそうに笑っていた。



最後まで、この読みにくい文を読んでいただいて本当にありがとうございます!この話は作者の過去に実際に体験した話を大半使いました。実際に英雄、敬二、友香のモデルになった方はいます。人間関係も…そう大して変わらないので…心当たりのある方は気付かないで下さい!というか、やっぱり話したい(笑)まず、英雄のモデルは私の旦那です。性格も口調も運転の恐ろしさもそのまんまです。英雄の名前はその時に偶然頭の中にある有名な野球選手のテーマソングがループしていて、思わず採用しました。それでいいのか!?敬二のモデルは実際に職場で再会した昔のいじめっ子をモデルにしました。ちなみに、いじめられてた時、キレた私は彼に毒手紙で仕返しをしてます。給食の牛乳もぶっかけました(笑)ただ、か弱い訳ではなかったみたいです。彼が思い出しませんように…!最後に。友香のモデルの方は姉です。本気で自己中でマイペースで、たまにその自己中ぶりにムカつきを通り越して可愛らしさすら感じてしまったぐらい大好きな姉貴です。いじめにあってる時、随分助けられました。まだまだ人物について語れますが、文字数と読者様の疲労を考え、この辺で。。これからもまだまだ書きます!よろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ