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拍手掲載SS 腹筋について

いつもより町民がナナメ上です。

アンケート「町民C、勇者さまに復讐する」より。

……復讐?

 微妙に前の話と続いています。

 


それから私は勇者様の腹筋が気になりだした。さすがにじっと見ているものだから、勇者様といえど、どん引きですよ。無表情で気まずそうにしているのが分かる。まさに無表情を読み取る技能がついてきたのですよ! これが私の成長ううう!

どうやればあれぐらい腹筋が鍛えられるのか……。

興味は尽きませんしね!


もぐもぐと乾パンを噛みながらじっと眺めて考え込んでいたら、さすがに神官様が、

「最近目線が怖いですよ」

と爽やかに指摘しました。口の中のものをゴックンと飲み込んでから、

「観察しているだけなんです」

と主張する私。

「前、私を荷物かつぎで勇者様が運んだ時、お腹が痛かったんです」

「……あれは、申し訳ないことをした」

勇者様の謝罪は以前いただいたから大丈夫! 気にしないでください。なので私はフォローした。

「いや、その件はお腹が痛かった事は恨みに思ってるだけで大丈夫です!」

「恨んでる時点で駄目でしょう」

神官様のツッコミにも、私はくじけない。理想のお腹を手に入れるために!

「お腹が痛かった思い出は、多分勇者様には分からないです。あんなに立派な腹筋を持ってるし。どうやって鍛えているんですか?」

私も割れ目を手に入れたいです。あれぐらい硬い感じだったら、担がれても痛くないだろうし!

「ああ、この間ので見たのか」

「はい!」

元気に返事をしたところで、あれ、なんか違う気がしたけどまあいいや。

「特に鍛えていない。昔から野山を駆け回っていたぐらいだ」

まさかの野生児発言です。神官様がニコニコと補足します。ああ、そういえば幼馴染で一緒に居たって聞きました。

「まあ、生活に直結していましたから。結構あれで体力がつきましたね」

神官様がほのぼのした感じで思い出を語りだしました。

「足場のない木に登って鳥の巣から卵とったり、肉食獣に追い掛け回されたり、木の実を求めて山深くに分け入ったり、草食獣と根菜を争って戦ったり」

って、内容があまりにも想像以上に生存闘争なんですが! もしかして、勇者様だけではなくて神官様も華奢にみえるのに同じ行動していたんですか! あ、それで体力あるのかー納得。

「所詮、日々の積み重ねですよ。これから鍛えてあげましょうか?」

「いいえ間に合ってます!」

速攻断ってしまったら、神官様が残念ですと仰った。……本当に残念ですか?

でも絶対恐ろしい教育方針が待っているに違いないよ! 谷の底に突き落として、這い上がらせる、そんな気配が漂っている! ぷんぷんするよ。それにしても腹筋かあ。手に入れられない、遠い存在です。ところで、腹筋ってどれぐらい硬いんだろう? 今更ながら気になる。前読んだ小説では、金属棒で殴られて、棒が折れ曲がってた! いや、小説だって分かってるけど、喩えとして……ね?

これはこれで、確かめる必要があるっ。

「とりあえず、勇者様」

「何だ」

「腹筋、触ってもいいですか?」

あっ、どん引きした! 明らかに心の距離が開きました、今! 神官様が溜息をついて、一言。

「色々とやはり教育が必要ですね、教育が」

 えー!



                     終わり???

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