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第一話『プロローグ』

「嫌だよ、雪春が遠くへ行っちゃうなんて絶対に嫌!」

「なっちゃん、ごめんね。きっと帰ってくるから」

「雪春は……雪春は私が居なくてもいいの?」

「寂しいけど、僕が居ないとお母さんもお姉ちゃんが悲しむから。それに大きくなったらまたなっちゃんに会いに戻ってくるから平気だよ」

「……でも雪春は泣き虫だし、すぐ迷子になるし私が居ないと何もないじゃない!」

「今はそうだけどこれからは泣かないようにするよ。迷子にもならない。なっちゃんを守れるようになって帰ってくるよ」

「……約束だよ。絶対に戻ってきてね」

「うん。約束するよ」



「9年ぶりか…… やっと、帰ってきたんだな」

 都心から少し離れた場所にある街、それがこの夢見街。俺、新倉 雪春は9年前この街に住んでいた

父親が事故で亡くなり母親と姉との三人暮らしになった俺たちはこの街を離れ母の実家に引っ越すことになった。

そして今、俺はこの街にある室江高校へと通う為この街へと戻ってきた。

「この時間に着くって伝えといたんだけど」

 この街に住んでいたとはいえさすがに9年前、小学校1年の頃の話だ。道をしっかり覚えてるわけはない。

というわけで去年からこっちの従兄弟の家に居候させてもらっている俺の姉ちゃんが迎えにくる手はずになっている。

「とりあえず電話でも――」

「えーい!!だーれだ?」

いきなり後ろから目隠しされた。こんなことするのは俺の知る限り一人しか居ない。そもそも俺はこの街に帰ってきたばかりでまともに知り合いなんて居ないんだからな

「絵璃姉ちゃんだろ?そんなことするやつなんて他に居ないし」

「アハハやっぱりばれちゃったかー」

そういって姉ちゃんは目隠しをやめて俺の前に出てきた。

「久しぶりにユキの顔が見れてお姉ちゃん幸せだよー♪」

この妙にテンションが高いのが俺の姉ちゃん。名前は『絵璃』、美人でスタイルもいいのだがごらんの通り弟離れが出来ない困った姉である。

ちなみに久しぶりと言っているが実際は一週間ほど前の合格発表の時にも会っている。

「ユキが今日来るって言うからお姉ちゃん始発からずっと待ってたんだよー」

「ちょ!確か始発って4時間も前じゃないか。ちゃんと10時着って言っといただろ」

「えへへ~ユキが早く来たら困るかなと思って待機してましたー」

「全く、そんなに早く来ないでも大丈夫って言ったんだけどね…」

 そう言われて後ろを向くと従兄弟であり、今日から俺がお世話になる家のお姉さん『音羽』さんがゆっくりとこちらへ向かっていた

「音羽さんも待っててくれたんですか?すみません」

「いいのよ。雪春君は気にしないで私は30分前に来たところだし。今日から3人一緒に暮らすことになるんだし迎えぐらい一緒に行った方がいいと思ってね」

「そうですか、ありがとうございます」

「それより疲れたでしょ?早く家に向かいましょうか」

「そうですね。荷物も整理したいですしそうして貰えると助かります。」

 実際のところそれほど疲れては無いがさすがに引越し初日だ。早いとこ部屋を整理してゆっくりしたいのは当然である。

「ユキー荷物重たいでしょー、お姉ちゃんが半分持ってあげるよー」

「いや、これぐらい大丈夫だよ。というかむしろその台詞は男である俺の台詞では?」

「お姉ちゃんに頼るのは弟の義務だよー!そして弟であるユキを助けるのはお姉ちゃんの義務なのです!」

「全く、絵璃はホントに雪春君のことになるとキャラが変わっちゃうんだから…学校の子たちが見たらきっと凄く驚くわよ?」

「そんなことないよー。お姉ちゃんとしてはユキにも厳しく接してるつもりだよー」

「「それは無い!」」

 俺と音羽さんの声が重なる。どう贔屓目に見てもこの姉の態度は弟の俺に対しての態度が激甘である。

「二人してそんな否定しなくても……」

「はいはい、それはいいから早く帰りましょう」

「もー!お姉ちゃん本気出したらホントに厳しいんだからねー」

そんな感じで3人で話をしながら音羽さんの家に向かった。


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