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第89話:海辺にて待つ、青い月の伝説

ドワーフたちとの、心温まる、しかし、どこまでも、豪快な、別れの後、私たちのホープウィング号は、再び、自由な、大空へと、帰ってきた。

船室には、三脚の、完璧な椅子と、一枚の、奇跡の織物。そして、新たに、一万年は、保つという、伝説の、食卓が、加わった。

私たちの、未来の家は、少しずつ、しかし、確実に、世界中の、友情の、証で、満たされていく。


「さて、イザベラ。次は、どこに行くんだ?」


アレンが、わくわくした顔で、尋ねる。

アイアンロックの、祭りまでは、まだ、数ヶ月の、時間がある。

私は、地図を広げ、火山の、山脈と、広大な、海の、間に位置する、美しい、海岸線を、指し示した。


「この、海域には、一つの、伝説が、残されていますわ」


私は、語り始めた。


「一世代に、一度だけ、『青い月』が、昇る夜に、その姿を、現すという、伝説の、『海人の沈める都』の、物語を」

「なんと! 海人の都! 彼らの、食文化は、さぞや、新鮮で、独創的な、ものでしょうなぁ!」

「水中都市か! すげえ! ホープウィング号は、潜れるのか?」


残念ながら、ホープウィング号は、潜水艦ではないと、アレンを、諭しながらも、私たちの、次なる、目的地は、決まった。


火山の、荒々しい、風景は、徐々に、穏やかで、美しい、海岸線の、景色へと、変わっていった。

私たちは、しばらく、その、海岸線に、沿って、気ままな、飛行を、楽しんだ。

名もなき、入り江で、釣りをし、誰もいない、砂浜で、野営をし、ただ、穏やかに、流れていく、時間を、三人で、分かち合った。

それは、世界の、美しさを、再確認するための、静かで、そして、贅沢な、時間だった。


やがて、私たちは、伝説の、都が、現れるという、海域へと、たどり着いた。

だが、そこには、当然ながら、ただ、広大な、海が、広がっているだけ。


「『青い月』が、昇る夜、ね……。それが、いつなのかが、問題ですわ」


これは、力でも、知恵でもない。「忍耐」と「観察」が、試される、新しい、挑戦だった。

私は、エルドリアの、星読みの塔から、書き写してきた、古代の、天文学の、資料を、取り出した。「知恵のレガリア」の力を、借りて、私は、次の、青い月が、いつ、昇るのか、その、正確な、日時を、計算し始めた。


その間、アレンと、レオナルドは、海岸線の、探索を、買って出てくれた。

そして、アレンが、見つけたのだ。

潮が、引いた時にしか、姿を、現さない、隠された、洞窟の、奥に、古代の、民が、遺した、石版を。

その、石版には、奇妙な、星座の、配置と、特殊な、潮の、満ち引きの、図が、描かれていた。


「……これだわ!」


私は、その、石版の、情報と、私の、天文学の、計算結果を、照らし合わせた。

ただ、青い月が、昇るだけでは、足りない。

青い月が、昇り、そして、数十年に、一度しか、訪れない、最も、潮が、引く、大潮、「王の干潮」と、重なった、その、一夜にのみ、都への、道は、開かれるのだ。

私は、ついに、その、正確な、日時を、割り出した。

――今から、ちょうど、二週間後の、夜。


私たちは、その、時を、待つことにした。

美しい、入り江に、ホープウィング号を、停泊させ、穏やかな、キャンプ生活を、始める。

それは、焦りも、不安もない、ただ、胸躍る、期待に、満ちた、待ち時間だった。


私たちは、岬の、一番、高い、場所で、海へと、沈んでいく、夕日を、眺めていた。


「海の中の、都って、どんな、ご馳走が、あるんだろうな」

「人魚と、腕相撲、できるかな」


そんな、仲間たちの、他愛ない、会話を、聞きながら、私は、ただ、穏やかに、微笑んでいた。

私たちの、旅は、いつも、世界の、美しい、秘密を、一つずつ、解き明かしていく、宝探しの、ようだった。

青い月が、昇る、その、約束の、夜を、私たちは、今か、今かと、待ちわびていた。

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