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第111話:星屑のドレスと、鉄の指輪

私たちの、結婚の、報せは、ホープウィング号よりも、速く、大陸中を、駆け巡った。

丘の上の、我が家は、それから、数ヶ月、訪れる、祝福の、使者たちで、絶え間なく、賑わった。


私たちの、結婚式の、準備は、もはや、私たち、二人だけの、ものではなかった。

それは、私たちが、これまで、出会ってきた、全ての人々の、想いが、一つになる、壮大な、祝祭の、準備だった。


私の、ウェディングドレスは、星降りの谷から、届けられた。ライラと、エララが、谷の、全ての、織り手たちと、共に、織り上げてくれたという、最高級の、星屑の、布地。それを、アイアンロックの、町の、女性たちが、私のために、心を込めて、シンプルで、しかし、どこまでも、優雅な、ドレスへと、仕立て上げてくれた。その、ドレスは、まるで、天の川、そのものを、纏うかのように、穏やかで、優しい、光を、放っていた。


私たちの、結婚指輪は、アレンが、自らの、手で、作った。

彼は、ドワーフの都、カラク・ドゥルンへと、赴き、師である、ボリンの、指導の、元、あの、食卓を、作った、星の鉄の、残りを、使い、二つの、指輪を、打ち上げたのだ。飾り気のない、シンプルな、輪。だが、その、内側には、彼が、命を賭して、手に入れた、「山の心臓ハートストーン」の、小さな、欠片が、埋め込まれている。決して、壊れることのない、永遠の、絆の、証。


そして、結婚式の、当日。

アイアンロックの、空は、雲一つなく、晴れ渡り、丘の上の、我が家には、大陸中から、私たちの、大切な、友人たちが、集まってくれた。

アルビオンの、賢王、アーサー陛下。

ポート・ソレイユの、セリーナと、オーバン氏、そして、フィン。

歌う山脈の、翼人たち。空飛ぶ少年、レオ。ドワーフの、ボリン。

かつては、決して、交わることのなかったであろう、人々が、今、一つの、場所に、集い、笑い合っている。これこそが、私たちの、旅が、生み出した、最高の、奇跡だった。


式は、大聖堂ではない。

私たちの、家の、裏庭で、アイアンロックの、美しい、谷を、見下ろす、丘の上で、執り行われた。

司祭は、レオナルドではなく、私たちの、最初の、友人、ゲルドさんが、務めてくれた。


「えー、難しい、言葉は、わしには、分からん!」


彼は、そう、前置きして、笑った。


「だが、こいつらが、世界一、お似合いの、夫婦だってことは、わしが、保証する! 文句の、ある奴は、いるか!」


その、不器用で、温かい、言葉に、皆が、笑いと、拍手で、応える。

私は、星屑の、ドレスを、纏い、父の、腕に、エスコートされながら、アレンの、元へと、歩みを進めた。

彼は、不慣れな、正装に、身を包み、ガチガチに、緊張していたが、その、私を、見る、瞳は、どこまでも、優しく、そして、愛に、満ちていた。


私たちは、神ではなく、集まってくれた、仲間たち、一人一人に、誓いの、言葉を、述べた。


「イザベラ。俺は、難しい、ことは、言えねえ。でも、約束する。あんたを、一生、笑わせる。悲しい、ことから、悪い、魔物から、全部、俺が、守ってやる。愛してる」

「アレン。あなたは、断頭台の、わたくしを、救ってくれた、勇者。そして、凍てついた、わたくしの心を、溶かしてくれた、太陽。わたくしは、悪役令嬢でした。ですが、あなたが、わたくしに、新しい、物語を、くれました。あなたの、錨として、参謀として、そして、妻として。これからの、全ての、穏やかな、日々を、あなたと、共に。愛していますわ」


私たちが、星の鉄の、指輪を、交換した時、広場は、割れんばかりの、歓声に、包まれた。


その後の、祝宴は、言うまでもなく、レオナルドが、その、人生の、全てを、注ぎ込んだ、史上最高の、饗宴となった。

音楽と、笑い声が、丘の上に、響き渡る。


私は、アレンと、二人、バルコニーから、その、幸福な、光景を、見下ろしていた。

夫と、妻。

家と、友人。

平和な、世界。

これ以上、何を、望むというのだろう。


「なあ、イザベラ。明日の、予定は、なんだ? 参謀殿」


アレンが、悪戯っぽく、尋ねる。

私は、彼の、肩に、頭を、預け、心の底から、幸せに、微笑んだ。


「明日、ですって? 明日は、何の、予定も、ありませんわ」

「そして、それは、きっと、素晴らしい、一日になるでしょうね」


私たちの、物語は、完璧な、幸福な結末ハッピーエンドを、迎えた。

そして、ここから、始まるのだ。

どこまでも、続く、二人の、穏やかで、幸福な、「日常」という名の、新しい、物語が。

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