それでも、朝は来る
春の風が、校庭を駆け抜けた。
制服が新しくなり、桜が咲き、紫陽高校に新入生がやって来た。
あの日――火薬銃による最終戦争が終わってから、半年が経っていた。
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「“防衛部”の看板、まだ残ってるんだな」
カイが部室の扉に手をかける。そこには、煤けた木板に「防衛部」と手書きされたままの看板が打ち捨てられていた。
マナがそれを見上げ、肩をすくめる。
「そろそろ、外さないとね」
「いや、これはこれで、残しておこうぜ。“記念碑”だ」
ふたりは部室の扉を開けた。中にはもう、銃も砲もない。代わりに、棚には弓、クロスボウ、木製の投石機の模型などが整然と並んでいた。
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「“戦わない防衛”って、言葉としては矛盾してるかもしれないけど……やってみようと思って」
マナが微笑む。
彼女が中心となって立ち上げたのは――
「防衛競技部」
戦闘訓練ではなく、競技としての防衛訓練と戦術模擬演習を行う新しい部活動だった。武器は火薬を用いないものに限られ、竹弓、クロスボウ、模擬投石器、そして戦術ボードゲームまで、すべて非致死性のものに。
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4月。最初の見学者がやってきた。
「ここ、防衛部……? っていうか、今は“競技部”か」
制服の袖をまくった1年生が、クロスボウを持ち上げて驚く。
「おっも! これ、試合とかで使うんですか?」
「うん。的撃ちのほかに、模擬戦もやる予定。バリケードの作り方とか、陣地構築の技術も教えるよ」
マナが笑顔で説明し、カイは横で頷く。
「……本当の戦場じゃなくても、人を守る技術は学べるってことさ」
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その日の放課後。ふたりは並んで校舎の屋上に立っていた。
街の夕日が赤く染まり、どこかで子供の笑い声が聞こえた。
「ねぇ、カイ。あの時のこと、後悔してる?」
風に吹かれながら、マナがぽつりと聞いた。
「してない。……あれがあったから、俺たちは今ここにいる。過去を否定するのは、今を否定するのと同じだ」
「……そっか」
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夕陽の中で、ふたりはゆっくりと拳を合わせた。
「火蓋は切らない。けれど――」
「私たちは、いつでも“守る”準備はできてる」
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火蓋を切らない未来。
それでも、守る意思は燃え続ける。
誰もが武器を持つ必要はない。
だが、誰かを守る強さは、きっと別の形で継がれていく。
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桜の花びらが、校庭に舞った。
そして新しい春が始まる。
読んでいただきありがとうございました
これでこの小説は最終回を迎えました
新しいAI小説を電脳太郎として出します
次回作はStars and Stripes: 僕らの内戦留学です
投稿時刻本日11時50分に本作最終回と同時に投稿します
先日SNS blueskyにてアカウントを作成しました
名前は電脳太郎で@dennoutarou.bsky.socialです




