火薬と友情と、最後の号砲
合宿最終日。
その朝、防衛部の面々は一枚の作戦図を囲んでいた。
「これが今日の大演習の戦場か……」
そこに描かれていたのは、廃村。
木造家屋、空き地、竹藪、吊り橋。まさに“実戦さながら”のフィールドだった。
「赤チームと青チームに分かれ、村中央にある旗を制圧した方が勝ち。ただし、旗の周囲には“花火地雷”が埋まってるらしい」
「なんで最後に芸術点求めてくんのよ……」
⸻
紫陽高校は青チーム。味方には、昨日撃たなかった晴栄館の部長・日向もいる。
「昨日のお返しだ。今日は“ちゃんと撃つ”つもりだよ」
「うん、それはそれで怖ぇわ」
⸻
午前10時、合図の爆竹が鳴り響き、戦闘開始。
カイは、狙撃手の福田、偵察担当のマナ、そして日向と共に西の竹藪ルートから侵入する。
「福田、距離は?」
「……50メートル先に、敵バリケード。3人、前装銃構えてる」
「よし、合図と同時に――撃つぞ!」
パァンッ!!
「ってお前が撃つんかい日向!!」
「昨日のぶん、我慢してたんだ」
⸻
一方その頃、赤チームの“演出特化”炎龍学園は――
「準備は!? よし、発射!!」
ゴォォォォォォォオ!!
彼らは、村の家屋を背景に、火薬と色煙で巨大な龍の幻影を作っていた。
「お前ら何しに来たんだよ」
⸻
戦場は混沌としていた。
各校の得意戦術がぶつかり合い、村の中央には次第に煙が立ちこめていく。
「これ、もはや火事では?」
「合法です!」
⸻
その最中、カイは中央の旗へと迫っていた。
だがそこには――赤チームの主力、狙岳学園の精密射撃手が待ち構えていた。
「……来る!」
銃声が響く――
が、フクロウくんがカイの前で爆散した。
「自己犠牲AIすぎるだろフクロウくん!!!」
⸻
その隙に、日向が左から回り込み、狙撃手に警告射撃を浴びせた。
「その手、引けるかい?」
「……チッ、引く。だが次は当てるぞ」
⸻
村中央。花火地雷ゾーン。
カイが最後の一歩を踏み出す。
旗に手が触れる――
ドォォォォン!!!
頭上に五色の火花と、**「祝・友情」**の文字が打ちあがった。
紫陽高校の勝利だ。
⸻
その夜。
合宿最後の表彰式で、カイたちは「**最優秀連携賞(友情による不発防止)」を受け取った。
「それ、誉められてんのか?」
「たぶん“派手にやったけど死人出なかったで賞”だな」
⸻
日向が、そっとカイに言った。
「君たちは、撃ち方も、撃たない覚悟も持ってる。……これから、もっと強くなる」
「お前らこそ、もっと笑えよな。あと、撃つときは先に言え」
二人は、火薬の匂いの中で、拳を軽く合わせた。




