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6話

“ガタン”

その紙の文面を見た途端、礼儀も何もすっ飛ばして、私は怒りのあまり立ち上がりました。

何に怒るか?

それは勿論!


「姉様!こんな面倒くさそうな事!私の結婚を何だと思ってるのですか!」


私ホリシオンにも人並みの正義感はあります!

あくまでも人並みです。

ここでいう人並みとは、自分に降りかかるのであれば正義の元に立ち上がる!位の正義感ですわ。

皆、自分が可愛いですわよね!

私も自分は可愛い!

容姿の話ではありませんわよ。


()()()()()()()()()()()()()


それも降りかかればの話です。

態々そこに飛び込みつもりも呼び込むつもりも皆無です。


それを⋯⋯この方は⋯⋯。


「そう怒るな!」


暢気に王妃は言いますが、私はそれどころではありません。


「怒りたくもなります。姉様そもそも本人にご忠告差し上げればよろしいのではないですか?それで万事解決ですわ。態々結婚などする必要もありません。あぁサッセルン侯爵がしたければ他の方とすればよろしいのよ。私は御免被ります。それに私はもうすぐ留学する身ですの!婚約も結婚もお断りいたします」


私は一気に捲し立てそのまま踵を返して立ち去ろうとした時に、彼等が立ちはだかりました。

何処から湧いてきたのか王宮の騎士達です。


(くっ!何処までも用意周到な⋯)


予め私の行動パターンを見抜いて用意していたのかと思うと、悔しくて唇を噛み締めました。


「座れ」


何時もと違い低く唸るように威圧的に物言う女は、従姉の姉様ではなく正しく王妃に顔を変えてしまいました。

もうこれでは“頼み”ではなく“命令”です。


私の楽しみだった留学がどんどん離れていきます。

ずっとずっと行きたくて、やっとやっとお父様から許可をもぎ取ったのに⋯⋯。

私のこれまでの苦労⋯

涙が出てきそうです。


「ホリシオン様、申し訳ございません。もう少し話を聞いてください」


王妃とは違い宰相は下手に出た様に優しく言っているけれど、作った笑顔が胡散臭くて、もう絶望しかない。


「⋯⋯⋯何を聞けと?」


「事の経緯です」


今迄話していたのは経緯ではないの?

もう此処に座って2時間は経過しています。

これって“諾”と言うまで説得されるということなのでしょうか?

段々如何でも良くなってきました。


ただここにきて少しだけ我に返ったのは、この話を王妃が私のお母様に黙っているはずが無いという事です。

(お母様って正義感強かったかしら?)


そんな事を思っていたら何故か侍女ではなく、先程から側にいた騎士様がお茶のお代わりを注いでくれました。


訝しく思い周りをぐるりと見渡すと、このテーブルの周辺には、王妃と私以外男性しか居なかったのです。


まさかの囲い込み?


もう〜〜〜〜本当に面倒臭い!





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