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旦那様、愛するつもりがないのはお互い様でした  作者: maruko


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39話

「ホーリー」


「姉様、どうして?お一人で来るなんていくら王宮内でも不用心にも程がありますわ!」


私が咎めながら姉様に言うと姉様は所在無さげに「面目ない」と呟いたのだけど⋯その言い方に引っ掛かるものがあった。


既視感(デジャヴ)


(アレ?この感覚どこでだったかしら?)


私はそう思いながら姉様を見ていると、姉様はツカツカと部屋のソファにデンと沈んだ。


「まぁ座って!」


私が与えられた客室ですけど?とか思いながらも、王宮だから姉様が言うのもいいのかと思い直し、言われるまま姉様の対面へと腰掛けた。

何度となく言いあぐねてるという感じで目を泳がせているのが、全く持って姉様らしくない。

それでも辛抱強く待っていると、姉様は大きく息を吐いて拳を握っているのが見えた。


よっぽど言いにくいことなのかな、と思った私は背中を押すつもりで聞いてみる。


「姉様、どうしたの?《《また》》相談?」


決して嫌味のつもりではなかったけれど、つい口走ってしまった。

すると本当に目を何度も瞬いたのだけれど、信じられない!姉様が真っ赤になっている。

今まで一度も見たことがない、王妃の赤面!


私は目の前の姉様が別人になった錯覚を起こした所で「アレ?」と思った。


私の周りに居ますよね、偶に別人になる方、最近はない模様ですが、急に纏わり付くようになった方。


やはり既視感(デジャヴ)


「姉様?」


私はもう一度お声を掛けさせてもらったのだけど、姉様は泣きそうな顔をしています。

もう絶対姉様じゃないって確信できるの。

って思った瞬間、姉様の表情が変わりました。

いつもの様に人を喰ったような笑顔です。


どうしよう⋯⋯姉様が壊れた。


「ホーリー、私は壊れてなどいない」


「えっ?声に出てましたか?」


「いや、顔に書いてある。お前の表情は分かる」


「はぁ」


姉様は「クックッ」と笑ってから立ち上がり、ベッドサイドに移動して、そこの水差しから「ゴクゴク」と水を飲み始めました。


「何されてますの?」


私は心の中で悲鳴をあげながら、姉様の奇行に目を瞠りました。

王妃の品格は何処へやら、手の甲で口元を拭くとニヤッと微笑みました。


水差しを置いてソファに戻ると、再び真剣な面持ちでやっと話す気になったようです。


「はぁ~お久しぶりですぅ郷田花(ゴウダハル)で~す」


そう言って姉様が両手を前に出し左右に振りました。

私は、その仕草を凝視してその声が耳に入った途端、きっとそこらじゅうに響きわたったことでしょう。


「えーーーーーー」


体を仰け反らせ叫んでしまいました。






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