33話
長く投稿が止まってしまって申しわけありませんでした
本日より再開いたします
どうぞよろしくお願いします( ᴗ ᴗ)⁾⁾
「両親の話しは聞いているか?」
「いえ執事からはフォルク様から直接聞いたほうが良いと言われましたので⋯⋯」
「そうか、そうだな。あの頃には既に私の体の異変に両親は気付いていたんだ。私にも不安を抱かせないようにしてくれてもいた。それに⋯こう言ってはなんだが別に不都合はなかったんだ。悪さをするわけでもなかった、ただ私の体を使って侯爵家の図書室に篭ったりする事が多かっただけだった、ただ私も全てを見ていられるわけでも無かった」
担々とした口調でフォルク様は語る。
彼の不思議な話を聞きながら私は“ゴウダハル様”の事を思い浮かべていた。
もしかしたらフォルク様の中には今までもゴウダハル様のような方が度々現れていたのではないかしら?
私の中で疑念は確信に変わってゆく。
何故なら“ゴウダハル様”は紛れもなく女性だったのに、フォルク様の続きの話しは男性のようだったからだ。
フォルク様は其処で私達の不思議に思った件を一気に解決した。
「ホリシオン、私には自分が殻に篭ったときの記憶が曖昧なんだ」
「それは全てを覚えていないという事に繋がるのですね」
フォルク様はゆっくりと頷いた。
「覚えてる部分と覚えていない部分、それの違いはよくわからない。なぜそんな事になるのかも。ただ両親に話したりした事を覚えてなかったりするから分かったことだ。だから相手から“こうだった”“こう言われた”と言われてしまうと覚えてなくても対応してしまうのだ」
なるほど、だからフォルク様は皆の言いなりになるしかなかったのね。
知らないと言う事は簡単でしらばっくれてもきっと誰も責めることはなかったのかもしれない。だけど記憶の曖昧なフォルク様は、それを他者に知られてはいけないという貴族の矜持が、覚えのない事を言われる度に頭を過ぎったのかもしれない。
貴族は弱みを見せてはならないのだから。
おそらく前侯爵夫妻がいた頃は二人がフォローもケアもしてくれていたのでしょうけど、一人になってしまったフォルク様には信頼できる人が側に居なかった。
その悩みを打ち明ける事も出来なくてきっとその場その場を相手の言うがままに肯定する事でやり過ごしていたのだろう。
厄介な体質を持ったフォルク様は私には被害者にしか見えないわ。
さてどうしたものかしら?
解決策がまるで見当たらない私は天を仰いだ。




